2022年11月20日日曜日

家族取り消し権・刑事罰 統一協会被害 政府が新法概要提示

 政府は統一協会(世界平和統一家庭連合)の被害者救済のための新法の概要を18日、与野党の書記局長・幹事長に提示しました。その概要を見ると無謀な献金の強要が防止され、家族たちによる返還請求も可能になるかのように思われますが、統一協会の実態を知る弁護士によると、信者が献金する先は宗教法人世界平和統一家庭連合ではなく、実際には上位の信者個人に渡す形式を取っているので、献金の規制やその返還要求が実現できないのではないかと思われるということです。

 そうした点も手落ちのないようにしなくてはなりません。
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家族取り消し権・刑事罰 統一協会被害 政府が新法概要 小池氏「実効あるものに」
                      しんぶん赤旗 2022年11月19日
 政府は18日、統一協会(世界平和統一家庭連合)の被害者救済のための新法の概要を与野党の書記局長・幹事長に提示しました。新法は、霊感や威迫などで個人を困惑させて寄付を勧誘することや借金や住居などの処分による寄付の要求を禁止。禁止行為によって寄付してしまった個人が意思表示を取り消せる規定も盛り込みました禁止規定に違反する勧誘などを行い、国の勧告に従わない場合には刑事罰を適用します。
 また、家族の被害を救済する特例も提示。献金した本人が望んでいない場合でも、子どもや配偶者が、本来受けとれた生活費や養育費などの範囲で取り消し権を行使できるとしました。
 日本共産党の小池晃書記局長は会談で「統一協会による被害の救済は党派を超えた国会の責務だ。実効性のある法案にする必要がある。知恵を出し合って前に進めたい」と表明。今後、全党が参加する協議の場を設けるべきだと述べました。
 小池氏はまた、「二度と再び統一協会による被害を出さないためにも、自民党と統一協会との癒着については改めて党として調査を」と求めました。
 自民党の茂木敏充幹事長は「実効性ある法案というのはその通りだ」と発言。「今国会で成立させるために、早期に提出することを政府に求めたい」と述べました。

政府が雁した統¬協会被害者救済のための新法(概要)
 政府が18日、与野党の書記局長・幹事長に提示した統一協会(世界平和統一家庭連合)の被害者救済のための新法の概要は次のとおりです。
■対象
・個人から法人〈※〉に対する寄付〈※2〉を対象にする。
1 代表者や管理人の定めがある法人でない社団又は財団を含む。
※2 契約だけでなく単独行為として行う債務の免除や遺贈を合む。
■寄付に関する規制
 寄付の勧誘に関する一定の行為の禁止
・法人が寄付の勧誘をする際に、一定の行為〈※3〉をして個人を困惑させてはならないこととする。
※3 消費者契約法第4条第3項に規定する次の行為。
・不退法(退去を求めたのに退去しない)
・退去妨害(退去したいのに退去させない)
・勧誘することを告げずに退去困難な場所へ同行
・脅迫する言動を交え相談の連絡を妨害
・好意に乗じ関係の破綻を告知
・霊感等による知見を用いた告知〈※4〉
※4 霊感等による知見として、本人や親族の重要事項について、現在又は将来の重大な不利益を回避できないとの不安をあおり、又は不安を抱いていることに乗じて、当該不利益を回避するためには寄付をすることが必要不可欠であることを告げること。
 借入れ等による資金調達の要求の禁止
・法人が寄付の勧誘をする際に、個人に対し、借入れや、個人等が居住する建物等の処分により寄付資金の調進を要求してはならないこととする。
3 寄付の取消し
・個人は、法人が【】の禁止行為をしたことにより困惑して寄付の意思表示をしたときは、その意思表示を取り消すことができる。
・取消権の行使期間、は追認できるときから1年、意思表示をしたときから5年〈※5〉。
※5 霊感等による知見を用いた告知の場合は、それぞれ3年、10年。
 子や配偶者に生じた被害の救済を可能とするための特例
・寄付をした個人の家族は、民法の債権者代位権の特例〈※6〉として、扶養義務等に係る定期金債権〈※7〉のうち期限到来していない部を保全するために【3】取消権を行使できることする〈※8〉。
※6 民法の債権者代位は、期限が到来している債権を保存する場合でなけば行使することができい。
※7 夫婦聞の協力義務、婚姻費用、養育費、子の扶養に係る定期金債権(一定額の金銭などを定期的に給付させることを目的とする債権)。
※8 取消権行使により寄付の返還を実現した場合、定期金債権のうち期限が到来していない部分に相当する金額は供託させる。
5 不当な勧誘により寄付をした者に対する支援
・国は、日本司法支援センター(法テラス)と関係機関が連携した相談体制を整備するなど、不当な勧誘により寄付した者の支援に努める。
 勧告等の措置
・内閣総理大臣〈※9〉は、特別に必要があるときは、法人に対し、寄付の募集に関する業務の状況に関し、報告を求めることができることとする。
・内閣総理大臣は、【】や【2】の禁止行為を行い、引き続き行うおそれが著しい法人に対して、禁止行為の停止を勧告し、勧告に応じなかった場合には措置を命令することとする。
※9 【6】の内閣総理大臣の権限は、消費者庁長官に委任する。
 罰則
・【6】の措置命令違反などに刑事罰を適用する。
 その他
・法人が寄付の勧誘をする際には、寄付された財産の使途について誤認されないようにする等の配慮をしなけれぱならないこととする。
・この仕組みの運用にあたっては、法人の活動において寄付が果たす役割の重要性に留意する。