今国会で期待されているのは統一協会の高額献金を規制する被害者救済新法の成立ですが、1日の第4回与野党協議会で、自公両党は今国会の成立は困難として先送りを立民党と維新の会に提案したということです。
ブレーキ役になっているのが公明党で、宗教団体への献金にメスを入れられと創価学会の活動に支障を来しかねないという懸念からと見られます。
ところが規制法を成立させたくないのは自民党も同様で、今国会で高額献金を規制する新法まで成立させてしまうと、教団側が憤激してこれまでは隠されていた情報を暴露し始めるかも知れない惧れがあるのでそれは避けたいというのが本音だということです。
こんな風に自公が自分たちの事情で高額献金の規制に踏み込みたくないというのでは、大山鳴動してネズミ1匹ということになります。これでは統一協会の思うつぼで、実効性のある規制など掛けようがありません。
これが自公両党の実態であるなら 元2世信者の小川さゆりさんの願いも叶いようがありません。嘆かわしいというしかありません。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
旧統一教会問題めぐる「高額献金」規制新法に自公“急ブレーキ”…被害者そっちのけご都合主義
日刊ゲンダイ 2022/11/04
被害者救済は進まないのか──。旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)問題を巡り、今国会の焦点となっているのが、高額献金を規制する被害者救済新法。今月1日の第4回与野党協議会で自公両党は今国会の成立は困難として先送りを立憲民主党と維新の会に提案した。
協議会後の会見で立憲の長妻昭政調会長は「今国会は難しい、難しいという発言が異口同音にあった。(協議会の)1、2回目と比べると後退したという印象だ」と頭を抱えた。なぜ、自公両党はトーンダウンしたのか。
◇ ◇ ◇
“ブレーキ役”となっているのが公明党だ。宗教団体への献金にメスを入れられると、支持母体である創価学会の活動に支障を来しかねない。
山口那津男代表は1日、「(一般の)宗教団体や公益性のある団体は寄付などによって運営している」として、過度な寄付規制がないよう牽制。石井啓一幹事長も2日、「拙速に決めるのではなく、後々、問題にならないようにしなければいけない」と慎重姿勢を示した。
野党は被害者より支持母体を優先する公明党を批判。安住淳国対委員長は2日、「支援団体を気にするのではなく、国民や被害を受けている人たちのために政治が前に進んだことを示さなければならない」と言い、維新の藤田文武幹事長も同日、「公明が相当、後ろ向きだと聞いている。支持母体を気にしているのではないか」と語った。
自分たちの事情を優先させて、被害者救済の視点が欠落
公明党が矢面に立っている格好だが、自民党も高額献金の規制は先送りしたいのが本音だ。
「岸田政権は年内にも質問権に基づく調査に着手し、どこかのタイミングで解散命令請求に踏み切らざるを得ないかもしれない。もし、今国会で高額献金を規制する新法まで成立させてしまったら、教団側には、自民党は何も守ってくれないと映り、これまで外に出してこなかった情報を暴露し始めるかも知れない。自民党としては今国会は消費者契約法の改正にとどめ、教団を刺激したくないのでしょう」(永田町関係者)
「関係を断つ」としながらも、自民党は教団への「配慮」は続けているようだ。新法先送りもその一環なのだろう。立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)が言う。
「自公両党は自分たちの事情を優先させて、被害者救済の視点が完全に欠落しています。解散命令請求と並んで高額献金の規制新法は多くの国民が注目している。時間切れ、先送りでは世論が黙っていないでしょう。実効性ある規制が整備できるよう、野党は下手な妥協はせず、被害者優先の立場を最後まで貫くべきです」
元2世信者の小川さゆりさん(仮名)は2日に自民党の会合に出席し、新法の今国会成立を改めて訴えた。会期末は12月10日。時間がない。
適菜収「それでもバカとは戦え」
意味不明な“お壺ね様”発言を垂れ流す 三浦瑠麗の発言は「言論」ではない
日刊ゲンダイ 2022/11/05
あさっての方向からの統一教会(現・世界平和統一家庭連合)擁護の連発で、ネット上では「お壺ね様」「壺サーの姫」といった愛称で親しまれている三浦瑠麗。
安倍晋三と統一教会の深いつながりが発覚すると、論点をずらしたり、問題を隠蔽・矮小化するいかがわしい連中が次々と訳の分からないことを言い出したが、中でも必死だったのが三浦である。
三浦はYouTubeチャンネル「日経テレ東大学」(10月29日配信)に出演。山上徹也容疑者の家庭に起きた献金問題について「たくさんあった財産がなくなったっていうのは、これはそんなに同情すべきかっていうのがあって。みんな1億円の資産ある人なんていないですからね、そんなに」
「あるいはそれを競馬でスったって同じじゃないですか。統一教会のいろいろな手法は批判されるべきだけど、統一教会なら救ってあげて、競馬なら救わないって法はないでしょ。そういう議論ができないってことは、やっぱり結局、本質には関心ないんですよ」と発言。
意味不明。統一教会を擁護するにしても、ここまで変だと意図が見えづらい。
なんでもいいから自民党に恩を売っておこうという魂胆なのか、常識とかけ離れたことを言って冷たい視線を浴びることに快感を覚えているのか。ここまで無防備だと統一教会が送り込んだ工作員とも考えにくい。自己承認欲求が制御できなくなり、ツイッター上でバイトテロや奇矯な行動に及ぶ連中と同じなのかもしれない。
三浦の発言は昔から一貫して変だが、統一教会問題に関しては度を越している。国会を無視し閣議決定だけで安倍の国葬を強行したことが問題になっているのに、「ほんとにそんなことしても票は増えませんよ」と政局に絡めて野党を批判したり。下劣極まりない。
しまいには三浦はツイッターで「ま、好きにしたらいいですよ。このまんまいやーな感じが漂うのは日本のために良くないと思うけど、政治の世界だけが日本ってわけじゃ無論ないしね」と開き直った。
言論の自由は最大限に尊重されるべきだが、三浦の発言は言論ではない。公道に糞を垂れ流す自由はない。残念ながら世の中には一定の割合で三浦のような人物が存在する。問題はこのようなメルヘンの世界の住人の妄想を世の中に垂れ流すメディアである。
◆本コラム待望の書籍化!重版決定!kindle版も発売中です。
「それでもバカとは戦え」(日刊現代・講談社 1430円)
適菜収 作家
近著に「ニッポンを蝕む全体主義」「日本人は豚になる」「思想の免疫力」(評論家・中野剛志氏との対談)など、著書45冊以上。「適菜収のメールマガジン」も始動。詳細は適菜収のメールマガジンへ。本紙連載が書籍化「それでもバカとは戦え」好評発売中