2022年11月21日月曜日

「祝福2世」の養子問題 被害者、再発防止訴え 野党国対ヒアリング

 18日、旧統一協会が信者間で行っているとされる独自の養子縁組について、野党が国会内でヒアリングを行いました。
 養子に出された元2世信者20代女性は4歳のころに育ての母から「あんたはよその家から来た」といわれて初めて知ったと言い、「どうして私だったのか。教団は当事者に説明してほしい」「養子であることに葛藤し、悩みが増えていった」「生活の中で、養子であることがネックとなり、思い悩むことが日常的にある」と語り現在メンタルヘルスの治療中だと打ち明けました。
 統一協会によると、1981年から今年5月までの約40年で7455人の養子縁組が行われたということですが、信者の感覚ではもっとはるかに多いのでないかということです。
 しんぶん赤旗が報じました。この問題を巡っては、厚生労働省と東京都が実態調査に乗り出す方針を示しています。

 毎日放送の鈴木エイト氏とのインタビュー記事を併せて紹介します。
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「祝福2世」の養子問題 被害者、再発防止訴え 野党国対ヒアリング
                      しんぶん赤旗 2022年11月19日
 統一協会(世界平和統一家庭連合)問題に関する野党国対ヒアリングが18日、国会内で開かれ、親が信者の「祝福2世」が別の信者家庭に養子に出されていた問題で、当事者の20代女性の音声が流され、「(自分は)何のために生まれ、生きているのか。一生苦しみ続ける」と訴え、再発防止を求めました。
 女性は4歳のころに育ての母から「あんたはよその家から来た」と聞いたのが養子だと知った最初だと説明。「養子であることに葛藤し、悩みが増えていった」「養子に関することが自分の中核的な所で影響していたと、ここ数年で気付いた。生活の中で、養子であることがネックとなり、思い悩むことが日常的にある」ほか、メンタルヘルスの治療中だと打ち明けました。
 養子縁組あっせん法は「児童の福祉の増進に資することが目的」と規定。協会には同法違反の疑いが指摘されています。女性は「なぜ私だったのか。教義のためではなく、子どもの幸せのために行ったと具体的に法律に則り(協会は)説明して」「今まで協会がやってきた養子に対して、法律で裁けるなら裁いてほしい」と訴えました。
 信者の親が1億6千万円献金した「祝福2世」の鈴木みらいさん(仮名、30代)が「協会内の養子を6人知っている。(協会は養子の数を)745人とマスコミに回答したが、実際ははるかに多いと思う。日本人の信者家庭から海外(西洋)在住の日本人信者家庭に養子にいったのを見てきた」と証言しました。


「親は養子に出すこと前提に出産」旧統一教会・元2世信者小川さゆりさん(仮名)衝撃告白...鈴木エイト氏「"神の子"産むために避妊しない」
                        毎日放送 2022年11月19日
 旧統一教会の国会ヒアリングで元2世信者の小川さゆりさん(仮名)は自らのきょうだいが次々と旧統一教会のもとで養子縁組に出されていたと告白しました。小川さんは「信者である親の事情で子どもの人権が無視されている」と問題提起しました。鈴木エイト氏は「旧統一教会では合同結婚式で結ばれた祝福カップルの子供は“神の子”」とされ、妊娠の段階から養子縁組のあっせんが推奨されるといいます

“神の子”を産むため避妊しないケースも
ー旧統一教会が都道府県からの許可を受けずに養子縁組のあっせんを行っていた可能性があるとして、厚労省などは事実関係の確認を行う方向であることを明らかにしました。旧統一教会をめぐる養子縁組についてどのような問題点がありますでしょうか?
「『神の子』という概念があり、既に親子関係が崩壊している、信者は多くの『神の子』を産むために避妊をしないケースもあります。合同結婚式で祝福を受けた祝福カップルから生まれた子どもは『神の子』ということで非常に特別な地位にあるわけなんです。何らかの事情で子宝に恵まれないところに斡旋、融通する、捧げるという話もありましたね。まるで『神に捧げる生けにえ』のような形で神の子を大きな宗教団体の中の一つの家庭という概念で回しているという見方もできるんですよね」

ーそして生まれた子どもは『妊娠の段階から、養子縁組のあっせんが推奨されている』ここが問題だということですか?
養子を3人以上、差し出し、捧げた夫婦や7人以上子女を産んだ家庭が表彰されるなど教団側が推奨しているのが背景にあるんですよね」

教団メールでの生々しいやり取り「家族なら手差し伸べるのが当たり前」
ー養子縁組に関する教団内部であった実際のメールのやり取りを今回鈴木エイトさんに提供していただきました。読んでいきますと『養子を求めている方がいます。私が所属している教会にはお子さんに恵まれていない家庭が多くいます。皆さんの周りで養子のことで前向きに考えてくださる方がいましたら個人メールをいただけませんでしょうか?』『子どもの生まれない祝福家庭のために養子縁組を積極的にすすめられました。自分の子どもをあげるというのは簡単にできることではありません。しかしここは家庭ではないか、家族ではないか、家族なら困っている人に手を差し伸べるのは当たり前、多くの人が喜んでそうしたのです』という文面を見ていると養子縁組の推奨が行われていたのではないかなと感じられますね。
「(このメールなどから)教団がどのように養子縁組を斡旋してきたかを如実に表れている文面だと思うんですよね」

ー厚生労働省は『都道府県から許可を受けずに養子縁組のあっせんを継続的に行っている場合は、法律に違反する可能性もある』として、東京都と連名で質問書を提示し、今週中に回答を求める方向で調整しています。厚生労働省の対応はいかがでしょうか?
「先日も厚労省は、2世に対して宗教虐待が行われてるんじゃないかという通知を全国に出しています。その後、厚労省が非常に今回スピーディーに動いてるってことは評価できるところだと思います」

「助けてほしい…」養子に出された人たちがツイッターに相次ぐ書き込み
ー旧統一教会側へ取材を行ったとこころ次のような回答がありました。「1981年~去年までで745人の養子縁組があった」としていますこの養子縁組は、合同結婚式が盛んに行われていた1980年~90年代がピークで今は減ってきているということです。さらに「信者から子どもが欲しいという声があって任意で授かっていく形、それらを紹介しているあっせんではなく紹介だ」ということです。また、斡旋しているのか?という質問に対しては「促したり、制度とかではない、金銭の授受も一切ない」ということで斡旋については否定しています。そして阿部克臣弁護士によりますと、『無許可で斡旋をしていたら刑事事件として罪に問える可能性はある』ということです。養子縁組あっせん法が施行されたのが2018年ですから、これより前の事例まで当のは難しいのではないかという話もあります。養子縁組の問題に関しては以前からこういう指摘はあったんですか?
「ここ多少盲点となっていまして僕もこれほど養子問題が進行している複雑になってることは正直言って把握できてなかったんですね。ただTwitterなどを見ると養子に出された未成年の人が『死にたい』『助けてほしい』という声が非常によく上がっているのを最近よく見るようになって、こんな重大な問題がまだまだあったことに少し驚いています」

    (2022年11月17日MBSテレビ放送『よんチャンTV』より)