2022年11月3日木曜日

03- 統一協会が批判の萎縮を狙いスラップ訴訟 弁護士ら声明 報道を激励

 統一協会を巡る報道や番組出演者の発言が名誉毀損にあたるとして協会側がテレビ局などに合計6600万円の損害賠償請求訴訟を起こした問題で弁護士らが1日に会見し一連の提訴を批判する声明を公表しました。

 声明は、統一協会による提訴について「同協会を批判する言論を威嚇し、萎縮させる目的で提起されたスラップ訴訟だ」と指摘し、すべての報道機関に「萎縮することなく、視聴者・市民の知る権利に真摯応えて、ジャーナリズムの本領を発揮されるよう要望する」としています。
 しんぶん赤旗の記事と声明文を紹介します。
 声明文は澤藤藤統一郎弁護士のブログから借用させていただきました。
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統一協会 批判萎縮狙う訴訟 弁護士ら声明 報道を激励
                       しんぶん赤旗 2022年11月2日
 統一協会(世界平和統一家庭連合)を巡る報道や番組出演者の発言が名誉毀損(きそん)にあたるとして協会側がテレビ局などに損害賠償請求訴訟を起こした問題で1日、弁護士らが会見し一連の提訴を批判する声明を公表しました。1969年に司法修習生となった同期のグループ「23期・弁護士ネットワーク」が呼びかけ、全国の弁護士212人、研究者29人、ジャーナリスト5人など271人が賛同人です。
 声明は、統一協会による一連の提訴について「(同協会を)批判する言論を威嚇し、萎縮させる目的で提起されたスラップ訴訟だ」と指摘。すべての報道機関に「萎縮することなく、視聴者・市民の知る権利に真摯(しんし)に応えて、ジャーナリズムの本領を発揮されるよう要望する」としています。

 統一協会は9月以降、読売テレビなど4社、霊感商法問題を追及してきた紀藤正樹弁護士やジャーナリストの有田芳生氏ら4人に計約1億円の賠償を求め提訴しました
 スラップ訴訟について、声明は「被告とされた者に心理的負担と応訴費用の経済的負担を余儀なくさせるだけでなく、被告以外の周辺にも言論萎縮の効果をもたらす」と悪質性を指摘。「被害を救済し防止する運動の妨害をもくろむものだ」と批判しています。
 声明を呼びかけた弁護士らは1日、東京都内で記者会見を開きました。化粧品販売大手DHCからスラップ訴訟を起こされた経験がある澤藤統一郎弁護士は、声明には報道機関を激励する目的もあるとして「統一協会批判の言論を自主規制することがあってはならない」と強調しました。


(声明文)
                              2022年11月1日
「報道機関各社は旧統一教会からのスラップ訴訟に萎縮することなく
  市民の知る権利に真摯に応えた報道姿勢を堅持されたい」

 本年9月29日、旧統一教会(現名称「世界平和統一家庭連合」)が、テレビ番組での出演者の発言を同教会に対する名誉毀損として、各テレビメディアと発言者である各弁護士を被告とする3件の損害賠償請求訴訟を提起しました。賠償請求金額は合計6600万円、謝罪放送の請求もされています。
 私たちは、この訴訟提起を看過し得ない重大事と受けとめました。その主な理由は下記の3点にわたるもので、報道機関各社をはじめとする関係者に適切な対応を要請するだけでなく、広く社会に大きな問題ととらえていただくよう訴えます。

 第1の理由は、各提訴とも報道機関を標的とした表現の自由への挑戦であり、市民の知る権利に蓋をしようとする企てだという点にあります。
 旧統一教会は、各訴訟において被告として特定した報道機関だけでなく、あらゆる分野のメディアに対して、旧統一教会問題追及の言論を威嚇し牽制して、批判を封じようとしているものと指摘せざるを得ません。
 最近の旧統一教会と政権与党との癒着をめぐる報道には、目を瞠らせるものがあります。日本の政治構造の根幹にも関わる重大な問題として、多くの人々が関心をもって関連報道に注視してきました。
万が一にも、報道機関各社が本件各提訴に萎縮して、旧統一教会批判の報道や番組編成に支障が生じるとすれば、日本の民主主義の行方にも関わるものとして憂慮せざるを得ません。放送に限らず各分野における報道機関は、是非とも、この重大な時期に重大な報道を萎縮することなく、視聴者・市民の知る権利に真摯に応えて、ジャーナリズムの本領を発揮されるよう要望いたします。

 第2の理由は、本件提訴がいわゆる「スラップ訴訟」であることです。
 正確な定義は困難ですが、「自分を批判する言論を威嚇し萎縮させる目的で提起される民事訴訟」をスラップ訴訟と言って間違いはありません。多くの場合、その目的のためにスラップは高額請求訴訟となります。直接被告とされた者に心理的負担と応訴費用の経済的負担を余儀なくさせるだけでなく、被告以外の周辺にも言論萎縮の効果をもたらします。
 状況から見て、本件3訴訟は、被告とされた報道機関と発言者を威嚇することで旧統一教会批判の言論封じを目的とした、典型的なスラップ訴訟と考えざるを得ません。民事訴訟本来の役割は、法的正義の実現であり、また社会的弱者の権利救済にあります。本件のごとき民事訴訟の濫用を、法の適正な運用に関心をもつ者としてとうてい看過し得ません。
 私たちは、スラップ訴訟を成功させてはならないと考え、その被害者に状況に応じた適切な支援を惜しみません。

 第3の理由は、本件各訴訟がいずれも、旧統一教会によるさまざまな被害を救済し、あるいは防止しようという運動の妨害を目論むものだからです。
 各訴訟の被告とされている弁護士は、旧統一教会の霊感商法被害救済を求めて闘ってきた人、あるいは現時点で旧統一教会のあり方を批判する立場を鮮明にしている人です。その人たちを被告として高額の損害賠償を請求することは、現在高揚しつつある旧統一教会による種々の被害救済・防止の施策や運動の進展を牽制し妨害することを意味しています。
 霊感商法被害・高額献金被害・二世信者被害等々の旧統一教会による種々の被害の救済や防止策が、社会的な注目の中で行政をも巻き込んで進展しつつある現在、これを妨害しようという提訴を許してはならならず、全ての関係者に毅然たる姿勢の堅持を期待いたします。

 私たちは、以上の理由から、旧統一教会が提起した各訴訟の被告となった各弁護士、報道機関各社を激励するとともに、全ての報道機関・メディアに対して旧統一教会への正当な批判報道に萎縮することがないよう訴え、ひろく社会に同様のご支援をお願いする次第です。

                      23期・弁護士ネットワークと
                      賛同の弁護士・研究者・ジャーナリスト