2022年11月20日日曜日

20- 安倍元首相銃撃から4カ月 遠のく公判 容疑者の鑑定留置をなぜ延長するのか

 安倍元総理が銃撃され死亡した事件の山上哲也容疑者は、刑事責任能力の有無を調べるため今年7月から鑑定留置されています。当初の留置期間予定は11月29日でしたが、奈良検察は鑑定留置期間の延長を申請し、奈良簡裁は2月6日までの延長を認めましたが、弁護人側が「通算6か月以上もの期間は余りに長すぎ、必要性及び相当性に大いに疑問がある」異議を申し立て、奈良地裁は準抗告申し立ての一部を認め、留置期間を1月10日までに短縮する決定を出しました。
 鑑定(留置)は容疑者の刑事責任能力に疑問を持つ弁護人側が申請するのが普通なのですが、このケースでは検察側が異常に長い期間の鑑定留置を申請しました。山上容疑者は明確な目的を持ち、用意周到に準備をして、現場で犯行に及びました。一連の行動は非常に合理的で、刑事責任能力は100%認められると見られていたので奇異な感じは否めません。
 鑑定延長の理由は不明ですが、公判に入るのを出来るだけ遅らせたいという政治的目的からではないかとの見方があります。ただ鑑定留置延長自体が人権を抑圧するという訳ではない点は救いです。MBSニュースと日刊ゲンダイの記事を紹介します。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【速報】山上徹也容疑者の鑑定留置の期間「約1か月の短縮」を決定…来年1月10日まで 弁護側の準抗告を認める 奈良地裁 安倍元総理銃撃事件
                         MBSニュース 2022/11/18
 11月18日、安倍元総理が銃撃され死亡した事件で逮捕・送検された男の鑑定留置期間の延長決定について、弁護人らが決定を不服として奈良地裁に準抗告を申し立てていましたが、奈良地裁は準抗告申し立ての一部を認め、鑑定留置の期間を1月10日までに短縮する決定を出しました。
    【写真を見て振り返る】発生当時の銃撃現場の様子
 今年7月、奈良市で安倍晋三元総理が参院選の遊説中に銃撃され、死亡しました。殺人の疑いで送検された山上徹也容疑者(42)は、刑事責任能力の有無を調べるため今年7月から鑑定留置が行われていましたが、奈良地検は鑑定留置期間の延長請求を行い、17日に来年2月6日までに延長する決定が出ていました。
 山上容疑者の弁護人らは決定を不服として11月18日に奈良地裁に準抗告の申し立てを行っていました。弁護人らは「通算6か月以上もの期間は余りに長すぎ、必要性及び相当性に大いに疑問がある」としています。
 奈良地裁は18日、鑑定留置の期間について来年2月6日までとしていた期間を1月10日までに短縮する決定を出しました。理由について奈良地裁は「鑑定には相当程度期間を要すると認められるものの、当初から通常よりも長期の期間が設定されたなかで、1月10日以降の期間について延長することは現時点で相当性が明らかではない」としています。


安倍元首相銃撃から4カ月、遠のく公判…山上容疑者の「鑑定留置」なぜ2カ月延長するのか
                          日刊ゲンダイ 2022/11/18
 安倍元首相銃撃事件発生から4カ月。山上徹也容疑者(42)が法廷に立つのは年明け以降に持ち越された。事件の全容が解明される日が来るのか。
 奈良地検は17日、殺人容疑で送検された山上容疑者の刑事責任能力の有無を調べる鑑定留置を約2カ月延長すると発表。期間は来年2月6日までとした。刑事責任能力の有無や、事件当時の精神状態を調べる鑑定留置は事件発生から17日後の7月25日から実施され、今月29日までの予定だった。

 地検は理由を「捜査上の必要」としており、詳しくは明らかにしていないが、なぜ延長が必要なのか。元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士はこう言う。
「鑑定留置は3カ月程度のケースが多い。当初の4カ月の時点でも長い印象でした。この事件は裁判員裁判となることが想定されますから、一般市民の裁判員が被告の刑事責任能力に疑問を抱くことがないように鑑定留置を慎重に実施する必要性は高いと思います。鑑定留置は腫瘍を見つけ出す診断とは性質が異なり、内心を探る作業。精神科医によって鑑定結果に違いが出ることも珍しくありません。結論に至らなかった、あるいは複数の医師による鑑定が必要だと判断した可能性もある。もっとも、山上容疑者は明確な目的を持ち、用意周到に準備をして、現場で犯行に及んだ。一連の行動は非常に合理的で、刑事責任能力は100%認められるとみています
 山上容疑者は犯行理由のひとつに旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の存在を挙げている。事件によって半世紀を超える教団と自民党、とりわけ清和会(安倍派)との癒着が明るみに出て、いまなお世論は批判の嵐だ。政治的な影響はあるのか、ないのか

 一方、山上容疑者周辺は当初から鑑定留置に疑問を抱いていたという。
「山上容疑者は検事や精神科医に対しても普通に受け答えしているようです。そもそも、鑑定留置を決めたのは刑事責任能力うんぬんよりも、世間の沈静化を待つためではないのか。延長は検察の筋書き通りの展開にならなかったためではないか。そんな気がしてなりません」(山上容疑者の関係者)

 世間は一刻も早い真相究明を待っている。