河北新報社と東北大が行った宮城県内被災者アンケートで、国や自治体への要求は、前年に引き続いて「医療費の緩和」がトップで回答者の60.8%、次が「医療福祉の充実」54.1%、3位が「生活資金の支援」42.4%でした。
震災から2年後の2013年2月調査では(1)「住まい再建資金の支援」、(2)「医療費の緩和」、(3)「復興方針の明確化」の順でした。
今回、医療・福祉に関する要求が1、2位を占めたことで、被災者の多くが健康面で不安を抱えていることが浮き彫りになりました。
3位に「生活資金の支援」が浮上したのは、生活再建のために想定外の支出を強いられており、相対的に生活困窮が進んでいることの反映と見られます。
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<震災4年>「生活資金支援を」が上位に
河北新報 2015年3月10日
東日本大震災の発生から4年を前に、河北新報社と東北大災害科学国際研究所は、宮城県内で被災者アンケートを行った。震災2年目に始まった継続調査は、時間の経過に応じて復興の段階を把握する試みだ。調査の設計と集計を担当した災害研の佐藤翔輔助教(災害社会情報学)の分析を交え、被災者の意識の変遷を探った。
◎国や自治体への要求
国や自治体への要求は、前年に引き続いて「医療費の緩和」がトップで回答者の60.8%が挙げた。以下「医療福祉の充実」(54.1%)「生活資金の支援」(42.4%)が続く。復興の進展に伴う被災者ニーズの変化が読み取れた。
震災から2年後の2013年2月調査では(1)「住まい再建資金の支援」(55.9%)(2)「医療費の緩和」(49.7%)(3)「復興方針の明確化」(39.0%)-の順だった。未曽有の被災規模で、復興の方向性が見えにくい時期が長く続いた事情を反映している。
今回は、医療・福祉に関する要求が1、2位を占めた。仮設住宅の老朽化や入居者の高齢化を受け、被災者の多くが健康面で不安を抱えていることが浮き彫りになった。
一方で住宅再建に関する公的支援は一通り行き渡り、被災地では災害公営住宅の整備が進んでいる。そのため、2年前との比較では「住まいの再建資金の支援」が1位から4位、「復興方針の明確化」が3位から7位にそれぞれ後退した。
新たなまちづくりの進展を踏まえ「コミュニティーの再生支援」を求める意見は2倍以上に増えた。
<分析/想定外支出で進む困窮>
3位に浮上した「生活資金の支援」は、震災前と比較した世帯収入を聞いた質問で「あまり変わらない」との回答が47.2%に達したことと相関している。被災者は生活再建のために想定外の支出を強いられており、相対的に生活困窮が進んでいると言えそうだ。