内部告発サイト「ウィキリークス」が25日、TPP協定の「投資家・国家間紛争(ISD)条項」が盛り込まれた投資分野の条文案とする資料を公開しました。
ISD条項は、多国籍企業が投資先の政府によって不利益を被ったと考えた場合、政府を相手取って国際法廷に訴訟を起こす権利(=投資家が国家を訴える権利)を認めるものです。
しかもその国際法廷に当たるものは世銀の一室で3人かそこらのアメリカの弁護士で構成されるもので、そこから各国の政府に命令を発することになるので、日本国憲法第76条1項(司法)に反するものとして、日本でもTPPが話題になった時点から大問題にされてきました※1。
※1 2013年7月30日 TPPのISD条項は憲法違反
ウィキリークスによる公表を受けて、TPP反対運動を広げる米消費者団体パブリック・シチズンの国際貿易担当のロリ・ワラック氏は25日、「米国の法律を超える特権を企業に与える条項だ」と撤回を求めました。
26日付の米紙ニューヨーク・タイムズは「米国の左派も右派も反発するだろう」と伝え、与党議員からも懸念の声が上がっているということです。
一方、日本政府と与党は何故かISDについてもずっと沈黙を守ってきました。これもまた売国の行為です。他力本願になりますが、いまやアメリカの反対運動に期待するしかありません。
なお、ロリ・ワラック氏※2はこれまでTPPに関して、しばしば日本にも重要な情報や連帯のメッセージを寄せ、来日して各地で講演をしたこともあります(以前の記事ではローリー・ワラックと記述)。
※2 2013年10月3日 TPP:ローリー女史から日本国会議員にメッセージ
しんぶん赤旗の記事を紹介します。
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TPP条文案にISD(投資家・国家間紛争)条項
告発サイト公開 米でも懸念の声
しんぶん赤旗 2015年3月29日
【ワシントン=島田峰隆】内部告発サイト「ウィキリークス」は25日、環太平洋連携協定(TPP)交渉の投資分野の条文案とする資料を公開しました。資料は1月20日付で全55ページ。多国籍企業が投資先の政府によって不利益を被ったと考えた場合、政府を相手取って国際法廷に訴訟を起こす権利を認めた「投資家・国家間紛争(ISD)条項」が盛り込まれています。
TPP反対運動を広げる米消費者団体パブリック・シチズンは、暴露された文書は本物と確認できたと発表。国際貿易担当のロリ・ワラック氏は25日、「米国の法律を超える特権を企業に与える条項だ」と撤回を求めました。TPPが実施されると、米国内で活動する約9千の外国企業が米政府を訴える権利を持つといいます。
米紙ニューヨーク・タイムズ26日付は「オバマ大統領が推進するTPPは、投資の“期待”を裏切る行為を米政府がとれば外国企業が政府を訴えることを認めている」「米国の左派も右派も反発するだろう」と伝えました。
与党議員からも懸念の声が上がっています。シューマー上院議員(民主)は同紙に対し「たばこ規制など米政府がつくる幅広い法律に外国企業が訴訟を起こす可能性がある。極めて深刻だ」と指摘。ブラウン上院議員(同)も「米通商代表部(USTR)は、米国は訴訟に負けたことがないというかもしれないが、今後はもっと多くの訴訟が起こされる」と述べました。