翁長沖縄県知事は23日、沖縄防衛局に対して海底作業の全面停止を指示し、作業を停止し7日以内に報告しなければ、岩礁破砕に関する「許可を取り消すことがある」と警告しました。
しかし防衛局は24日、辺野古沿岸部に投入した大型コンクリート製ブロックの設置は県の許可の「対象外」とする政府の説明文書を県水産課に提出し、知事の指示を無視する形で24日も海底ボーリング調査を続けました。
沖縄防衛局はまた、24日、行政不服審査法に基づき、知事の指示の取り消しを求める審査請求と、審査請求裁決までの間は指示の効力停止を求めた申し立てを農水相に行いました(知事の停止要求が沖縄県漁業調整規則に基いているからと思われます)。
菅官房長官は記者会見で、翁長知事の指示について「この期に及んで・・・」と述べましたが、もともと知事選で大敗して死に体になった仲井真知事が退任間際に出した工事許可を、「唯一の根拠」にして工事を始めたところに問題の根源があるのであって、本末転倒の批判です。
沖縄県が岩礁破砕許可を取り消した場合、政府は「取り消し無効」を確認する行政訴訟に踏み切るといわれています。そうなれば地元住民に寄り添うことなく強硬に基地建設を進める政府の正体が明らかになるだけの話です。
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沖縄防衛局 辺野古調査を続行 知事の停止指示無視
東京新聞 2015年3月24日
沖縄防衛局は二十四日、米軍普天間(ふてんま)飛行場(宜野湾(ぎのわん)市)の移設先、名護市辺野古(へのこ)沿岸部で埋め立てに向けた海底ボーリング調査を続けた。翁長雄志(おながたけし)県知事は二十三日、海底作業の全面停止を指示したが、防衛局が無視した形。
防衛局は二十四日、辺野古沿岸部に投入した大型コンクリート製ブロックの設置は県の許可の「対象外」とする政府の説明文書を県水産課に提出した。県はブロックが岩礁破砕許可の区域外でサンゴ礁を損傷したとして問題視している。
辺野古沿岸部では二十四日朝から、ボーリング調査に使う沖合の台船の近くに船が集まり、台船上に数人の作業員の姿が確認された。
翁長氏は二十三日、防衛局に対し、作業を停止し七日以内に報告しなければ、来週にも海底の岩石採掘と土砂採取などの岩礁破砕に関する「許可を取り消すことがある」と警告した。
作業停止指示の無効申し立て=政府、
沖縄知事に対抗-辺野古移設
時事通信 2015年3月24日
政府は24日、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設に向けた海底ボーリング調査を続行した。翁長雄志知事が移設作業を停止するよう指示したことをめぐり、関連法を所管する林芳正農林水産相に、取り消しを求める審査請求などを行って対抗。菅義偉官房長官は記者会見で、知事の指示について「違法性が重大かつ明白で、無効なものだ」と非難した。
沖縄県は、前知事が出した岩礁破砕許可の取り消しや、工事差し止め訴訟で抵抗する構え。翁長知事は記者団に「作業継続という結果は大変遺憾だ。指示を真摯(しんし)に捉え、適切に対応してもらいたい」と政府の姿勢を批判した。移設をめぐる政府と県の対立は一層深まった。
24日の参院外交防衛委員会では、中谷元防衛相が「沖縄県知事の指示は無効であり、現在行っている作業を中断する理由とはならない」と表明。防衛省沖縄防衛局は同日、政府側の作業には法令上の問題がないとする文書を沖縄県に提出した。
防衛局はこの中で、沖縄側が問題にする辺野古沖への大型コンクリート製ブロック投下について、(1)地殻そのものを変化させる行為ではなく、岩礁破砕に当たらない(2)県の岩礁破砕許可の対象外(3)沖縄県内で国を事業者として行われた他の工事でも許可手続きの対象外-などと説明した。
沖縄防衛局は同日、行政不服審査法に基づき、知事の指示の取り消しを求める審査請求と、審査請求裁決までの間は指示の効力停止を求めた申し立てを農水相に行った。仮に沖縄県が岩礁破砕許可を取り消した場合、政府は「取り消し無効」を確認する行政訴訟に踏み切ることも検討する。
政府としては4月下旬の安倍晋三首相の訪米を控え、在日米軍再編計画を着実に進める姿勢を米側に示す必要がある。ただ、法廷闘争に発展すれば政府と県の全面対決となる。政府関係者は「国が負けることはない」と自信を示すが、今夏に予定する埋め立て着工が遅れる可能性もある。