2015年3月19日木曜日

ワシントン帝国にひび、EUのアメリカ離れ+

 2月のウクライナ停戦は、アメリカの意向を無視してフランスとドイツが、ロシアと協調して、内戦で劣勢にあるキエフ政権を説いて実現させたものでした。その後アメリカの策動で停戦は事実上揺らいでいますが・・・
 
 中国がやはり米国の意向を無視して設立するアジア投資銀行に対して、先にイギリスが参加を表明して世界に衝撃を与えましたが、さらにドイツ、フランス、イタリアも参加をいい出しているようです。オーストラリア、韓国、スイスなども参加する可能性があるということです。日本だけはアメリカのいうことに留まっていますが、孤立することになりそうです。
 
 アメリカはこれまで世界銀行、開発銀行、IMFなど配下の銀行を使って敵対国の口座を凍結するなどして金融面での覇権を行使してきましたが、中国が主導する銀行への参加国が拡大していけば、そうしたことも出来にくくなります。
 
 Paul Craig Robertsが「ワシントン帝国に、ひび」とするブログを発表しました。
 アメリカが昨年から行っているロシア経済封鎖がEU各国に深刻なダメージを与えたことから、各国も自主性を発揮するという思いがけないアメリカ離れの展開になりました。
 
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 18日の櫻井ジャーナルも併せて紹介します。
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ワシントン帝国に、ひび
マスコミに載らない海外記事 2015年3月18日
Paul Craig Roberts 2015年3月17日
ワシントン傀儡のEU諸国も、気骨を見せはじめたのかも知れない。イギリス、ドイツ、フランスと、イタリアが、ワシントンの命令に逆らって、中国が主導するアジア投資銀行への参加を言い出していると報じられている。オーストラリア、日本、韓国、スイスと、ルクセンブルグも参加する可能性がある。
 
ワシントンは、アジア開発銀行や世界銀行等、配下の開発銀行を、IMFと共に、金融、政治覇権を行使する為に利用している。こうした銀行は、アメリカ経済・政治帝国主義の決定的要素だ。
中国が主導する銀行は、もちろん、遥かにeffective効果的。中国は、銀行を、実際に各国を支援し、それによって、仲良くなり、信頼を醸成するだろうが、ワシントンは配下の銀行を、力による支配の為に利用しているのだ。
この新銀行はBRICS銀行と共に、国々にワシントンの支配からの逃げ道を提供するのだ。
 
悪の帝国にひびが入りはじめたのだ。ロシア-中国同盟が、潜在能力を展開し、覇権主義のワシントンが、ロシアの勃興を妨げようとして、各国の存在を危うくしていることを、ヨーロッパ各国が理解すれば、ひびは益々広がろう。狂ったアメリカとイギリスのネオコン・ナチスと、各国民に混じった連中の手先は、人類に対する世界史上最大の脅威だ。悪の帝国の崩壊が早ければ早いほど、世界はより安全になるだろう。
 
こういう記事がある。
 EU allies defy US to join China-led Asian Bank  
 
Paul Craig Robertsは、元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリプス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えていた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOSTが購入可能。
 
記事原文のurl:
 
 
米支配層がウクライナの合法政権をクーデターで倒した結果、中露同盟が成立して米の没落は加速    
櫻井ジャーナル 2015年3月18日
 アメリカ/NATOはネオ・ナチを使ったクーデターでキエフをはじめとする西部地域を制圧、東部や南部では民族浄化を展開して多くの住民を虐殺、建造物を破壊してきた。戦闘はキエフ側が劣勢で、アメリカの好戦派は必死にテコ入れ、NATOを使ってロシアを脅そうとするが、逆効果。
 
  ウクライナの経済はクーデターの前から厳しい状況。だからこそ、大統領だったビクトル・ヤヌコビッチは良い条件を出してきたロシアに接近したわけだが、クーデター後は戦争もあってさらに悪化、破綻状態。その結果、ウクライナ国債の価格は下落したが、それを買い占めているファンドが存在する。フランクリン・テンプルトンは額面総額50億ドルの国債を買ったという。このファンドを操っているのがロスチャイルド家だということから注目されている。
 
  安値で国債を買いあさり、満額で買い取らせるというのが「ハゲタカ・ファンド」のやり口。ウクライナにはIMFがカネを貸しているが、そのカネでファンドの要求通りに支払うことができる。IMFは債務者に対して緊縮財政で庶民へ回るカネを減らし、規制緩和や私有化の促進で巨大資本に大儲けさせるということを世界中で繰り返してきた。ウクライナでも同じ事をするつもりだろう。
 
  キエフで反ヤヌコビッチの抗議行動が始まって間もない2013年12月13日、アメリカの国務次官補を務めるビクトリア・ヌランドは米国ウクライナ基金の大会で演壇に登場し、1991年からウクライナを支援するために50億ドルを投入したと発言している。その際、彼女の背後には巨大石油企業シェブロンのマークが飾られていた。ウクライナに目をつけていたのはエネルギー産業だけでなく、遺伝子組み換え作物で問題になっているアグリビジネスのモンサントやカーギルなども食い込もうとしている。
 
  エネルギー分野では、ロシアのウラジミル・プーチンにもプランがあった。ポルトガルのリスボンから日本海に面したロシアの都市、ウラジオストクを高速鉄道でつないで物資を輸送、さらに、中国、朝鮮、韓国へと伸ばすことも想定されていたようだ。
 
  このプランはウクライナのクーデターで挫折したが、ロシアは中国やトルコとの関係を強め、天然ガスの取り引きを膨らませることを決めた。ロシアと中国との関係強化は経済だけでなく軍事にも及び、強固な同盟関係に入ったと見ることもできる。中東/北アフリカやウクライナでアメリカが行ったことを見た中国はアメリカと距離をおきはじめた。
 
  その象徴的な出来事がアメリカ財務省証券の手持ち残高の減少。今年1月の残高は、中国が1兆2391億ドル(365億ドル減)、ロシアが822億ドル(496億ドル減)、日本は1兆2386億ドル(372億ドル増)だ。
 
  すでにロシアは貿易の決済にドルを使わなくなっているようで、その流れは中国、それ以外のBRICS諸国、つまりブラジル、インド、南アフリカに広がりそうだ。中国とロシアはSCOで、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、ウズベキスタンともつながっている。
 
  中国は自国の通貨「元」を基軸通貨にしたいようだが、ここにきて注目されているのは同国の提唱で設立が予定されているAIIB(アジアインフラ投資銀行)。米国の意向を無視してフランス、ドイツ、イタリアが参加へ動くとイギリスも同調、ルクセンブルグも加わると表明した。オーストラリア、韓国、スイスも参加する可能性がある。
 
  アメリカは環太平洋でTPP(環太平洋パートナーシップ)協定、EUでTTIP(環大西洋貿易投資協定)を結び、巨大資本が国の上に立つ体制を築こうとしている。ISDS条項によって参加国政府の手足が縛られ、庶民は奴隷化する。日本の政治家はそうした協定へ入ろうと熱心で、マスコミはそれを後押しする。
 
  かつて、中国(清)との経済戦争に敗れたイギリスは麻薬のアヘンを売りつけるために戦争を仕掛け、さまざまな利権を手に入れて略奪した。その片棒を担いだのがイギリスの後押しで成立した薩摩藩や長州藩を中心とする日本の勢力。東アジアを侵略、支配、略奪した。同じことをしかねない連中が現在の日本を動かしているが、今の中国と清を混同すると手ひどい反撃を受けるだろう。