東北地方ではいまだに23万人もの避難民たちが不自由な仮設住宅暮らしを続けているのに、竹下復興大臣は8日のNHK日曜討論で、「2016年度からは復興事業費の一定程度を地元民に税負担を求めざるを得ない。その方が自覚が進む」と、耳を疑う発言をしました。
それはかつて無内容を絵に描いたような「被災者生活支援法」を制定した冷酷さを想起させるものでした。
政府は11~15年の集中復興期間に、国民の血税26兆3000億円を投じた復興予算を計上しましたが、昨年3月の時点で9兆円が余っていたということです。
経済ジャーナリストの荻原博子氏は
「安倍政権が復興に向け、有効な手だてを見いだせていないということです。なぜ、困っている人に予算を振り向けることを考えないのか。4年も経ってこの体たらく。被災地に目が向いていないのではないか」と酷評しています。
被災地がロクに復興しないのに、復興予算の余禄で東京だけ整備が進みピカピカになったと言われています。
原発の汚染水の始末も出来なければまともな大震災復興もできない、その一方で原発の再稼動や戦争国家への道にばかり熱心なのがいまの安倍政権です。
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使途デタラメ…安倍政権「復興予算26兆円」で自衛隊ヘリ改修
日刊ゲンダイ 2015年3月11日
3・11から4年。いまだに仮設住宅などで生活を送る被災者は約22万9000人にも上る。
政府は11~15年の集中復興期間に、26兆3000億円もの復興予算を計上しているが、その使い道は依然、メチャクチャだ。
「巨額の復興予算は、民主党政権当時からデタラメに使われてきました。復興予算は日本再生の名の下に、国立競技場の改修費やシー・シェパード対策、沖縄県の教育振興費など復興とは無関係なところにバンバン投入されていた。カネを集めたはいいが、使い道がなく、11年度分の1兆円は不用額として国庫に返納されています」(霞が関事情通)
デタラメな使い方は安倍政権になってから拍車が掛かり、防衛費にまで使っている。15年度予算案では、防衛省の輸送ヘリ改修費などに約14億円が盛り込まれていたことが発覚した。
自民党も復興と無関係なところに予算を使う一方、使い道がなく、昨年3月末時点で、9兆円もの予算が余っている。
言うまでもなく復興予算の原資は税金だ。国民は2037年まで、所得税の税額の2・1%分を被災地復興のために納付しなければならない。国民から徴収しておいて、9兆円も余らすとは、どういうことなのか。
経済ジャーナリストの荻原博子氏はこう言う。
「復興予算は当初、各省庁に、何でもアリの“お小遣い”として使われていました。国民から批判が噴出し、厳格化された。その結果9兆円もの予算が余った格好です。しかし、9兆円も余るということは、安倍政権が復興に向け、有効な手だてを見いだせていないということです。被災地では仮設住宅で厳しい冬をしのいでいる方が、まだまだ大勢います。なぜ、困っている人に予算を振り向けることを考えないのか。4年も経ってこの体たらく。被災地に目が向いていないのではないか」
竹下復興相は8日の「日曜討論」(NHK)で、「(16年度以降は)市町村も自立する強い意志を持ってほしい」と、被災3県の知事に負担増を迫っていた。予算が余っているのに、なぜ自治体に負担増を強いるのか。カネが余っているなら、国民に返すべきだ。