2015年3月21日土曜日

平和親善大使25人が文集

 昨年月、広島市に派遣された宇都宮市立中学校の年生平和親善大使25人による作文集A4判・110ページの冊子が完成しました。
 事前学習で地元の宇都宮空襲について学び、広島では、米国がなぜ原爆を投下したのかなどを生徒同士で討論しました。
 冊子には「戦争は何も生まない悲惨なもの」という、事前に学び、現地で見聞きした中学生たちの考えが集約されています。
 
 親善大使の派遣は2000年から始まり、毎回冊子にまとめられています
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戦争は何も生まない 広島訪問の平和親善大使25人が文集
 東京新聞 2015年3月20日
 平和について学ぶ親善大使として昨年八月、広島市に派遣された宇都宮市立中学校の二年生二十五人による二〇一四年度版の作文集が完成した。事前学習で地元の宇都宮空襲について学び、広島では、米国がなぜ原爆を投下したのかなどを生徒同士で討論した。「戦争は何も生まない悲惨なものではないか」。現地で見聞きした中学生たちの考えが集約されている。 (後藤慎一)
 
 A4判、百十ページにまとめられた冊子には、市立中学校二十五校から一人ずつ選ばれた親善大使の全員の作文を収録。原爆ドームを訪れたり、八月六日の平和記念式典に出席したりした様子などもカラー写真で報告されている。
 生徒たちは昨年七月に行った事前学習で、一九四五年七月十二日深夜から翌日未明にかけ、米軍が宇都宮市の中心市街地を標的にした空襲について学習。少なくとも六百二十人が犠牲になった空襲への理解を深めた上で広島入りした。
 
 広島での最終日には、グループごとに自由討論をした。当時のトルーマン米大統領の声明や、広島に原爆を投下した米爆撃機「エノラ・ゲイ」の乗組員の談話、原爆投下をめぐるさまざまな世論などを踏まえ、意見を交わした。
 「戦争を終わらせるためだけに原爆を落とすというのはあまりにも残酷」「アメリカの人は人間として心が痛まないのか」。作文集には自由討論で出た生徒たちの声があふれ、「日本は国民の命を守るという気持ちが足りなかったことが原爆投下につながった」と、率直な疑問もつづられている。
 「『戦争は何も解決しない』という言葉に深く共感できた」と平和への思いを書いた文章も多く見られ、自由討論を指導した担当教諭は「ただ単にかわいそう、ひどいという感情だけでなく、多面的、多角的な見方や、さまざまな考え方を受け入れ話し合うことで、より平和への意識が高められた」と記している。
 
 冊子は、宇都宮市立図書館や地区市民センターに約二百部が配布され、図書館で閲覧できる。広島の原爆被害者から話を聞いた「平和語り部講演会」の様子も掲載されている。
 平和親善大使は宇都宮市が二〇〇〇年から始めた事業で、昨年は八月五~七日に広島市を訪問。毎回、事業報告の冊子に生徒たちの作文集を載せている。
 
写真
平和親善大使の中学生たちの作文集が掲載された冊子
              =宇都宮市で