2018年5月8日火曜日

08- 安倍応援団は「野党は国会放棄」とすり替え攻撃

 森友・加計学園疑惑の問題での政府の不誠実な対応に業を煮やした野党の審議拒否が功を奏し、自民党は柳瀬元首相秘書官の国会招致に応じざるを得なくなりました。
 これまで秘密保護法、戦争法、共謀罪法などの審議では、野党の質疑にまともに答弁できなかったにもかかわらず、一定時間が経過するとそれを口実にして、数を頼んでの強行採決を繰り返して来ました。まともに答弁できなかったのは法務大臣が無能のせいだけでなく、そもそもが野党の指摘する通りの反動立法であったからでしたが、自民党の数を頼んだ横暴は留まるところを知りませんでした。
 
 そんな自民党が折れざるを得なくなった主な理由は、国民の80%がモリカケ問題での政府の説明は納得できないとしていることでした。自民党のコアな支持層は30%ほどいるので、その一部を含めて残る国民の100%が納得していないということで、これは大きな圧力になりました。
 それにしてもすべて安倍首相自身に端を発していることが国民に周知されているのに、良くシラを切り通せるものです。良く、ウミを出し切る(出し切らせる)などと言えるものです。ベネディクトが指摘した「恥の文化」は安倍氏には無関係のようです。
 安倍首相は「息をするようにウソを吐く」と言われ、鉄面皮と形容されます。トーマス・カーライルは「羞恥心は、あらゆる徳の源泉である」と言っていますが、恥を知らない人間は正に無敵です。
 
 ところが安倍応援団の夕刊フジや八代英輝弁護士杉田水脈議員などは、野党の欠席戦術は「税金泥棒」「逃げ」などと批判しています。それこそは安倍陣営の得意のすり替え戦術で、一向に真相究明に向かわない安倍政権を擁護するものです。
 
 自民党が折れざるを得なくなったもう一つの理由は、内閣支持率が急落したため何が何でも首相を守ろうという気持ちが弱まったということです。
 そういう点で内閣支持率(の低下)は何よりも重要なのですが、これまではいつの間にか支持率が回復してしまうということがありました。日本人は淡白だからで済まされることではありません。
 カーライルには「この国民にしてこの政府あり」という名言もあります。「政治は結局、国民のレベルに応じて為される」というわけです。肝に銘じておきたいものです。
 
 LITERAの記事を紹介します。
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安倍応援団の「野党の国会放棄」スリカエ攻撃に騙されるな! 
不正の真相解明から逃げているのは安倍政権のほうだ
LITERA 2018年5月7日
 ようやく大型連休が明けたが、今年のゴールデンウィーク中には信じられないような事態が2つも起こった。加計学園幹部や愛媛県、今治市職員らとの面談について柳瀬唯夫・元首相秘書官の記憶が蘇るという珍事と、麻生太郎財務相の「セクハラ罪っていう罪はない」「殺人とか強制わいせつとは違う」発言だ。
 
 麻生財務相の発言は即刻罷免にすべき暴言にほかならないが、当の安倍首相にはまったく問題視する姿勢はなく、昨日もゴルフに興じて「天気が良くて気持ちよかった」とコメントする有り様。柳瀬元首相秘書官の件にいたっては、与党は参考人招致を主張。「膿を出し切る」どころか、膿を放置しつづけて毒が全体に蔓延しているような状態だ。
 
 だが、そうした安倍政権による問題の放置は責められることもなく、なぜか「野党の国会放棄」という批判に転嫁している。
 たとえば夕刊フジは「野党欠席戦術「税金泥棒」」「何と17連休」などと報道。こうした伝え方はテレビも同様で、福田淳一・財務省事務次官のセクハラ問題で野党議員が抗議をおこなった際に『ひるおび!』(TBS)で八代英輝弁護士が「自分たちの職場である国会を放棄して財務省に行ってパフォーマンスをすることがこういった行動の目的なのかと言われると僕には違和感があります」とコメントしたように、野党による「国会放棄」として非難されてきた。
 
 さらに、ネット上では、『新世紀エヴァンゲリオン』の主人公・碇シンジ役などで知られる声優の緒方恵美氏がこのようなツイートをした。
〈国会の1日分の運営費・交付金て、いったいどのくらいの額面に? それを何十日もかけて審議するのと、某問題の赤字額と比べたら…?
 悪いことは悪い。追求も必要かもですが、その時間をかけて、もっともっと議論して欲しい、本当に必要な議題は山のようにあるはず。
 本当に国民を思う議論を。どうか。〉
 
 人気声優の投稿ということもあってこのツイートは大きな話題を呼んだが、すると、安倍首相の子飼い議員である自民党の杉田水脈議員が〈「逃げちゃダメだ!逃げちゃダメだ‼」 野党は逃げないで。〉と飛びついた。
 ……「逃げちゃダメだ!」って、それはそっちにこそ向けられる台詞だろう。そもそも野党6党は、麻生財務相の辞任と柳瀬元首相秘書官をはじめとする関係者の証人喚問、財務省の公文書改ざん問題の調査結果の4月中の公表、自衛隊日報隠蔽問題の真相究明の4つを要求。「膿を出し切る」と啖呵を切ってきたのだから然るべき対応をおこなうのが筋というものだが、しかし政府はすべてにおいてゼロ回答状態だ。
 
国民の野党アレルギーにつけこんで不正をうやむやにする安倍政権
 しかも、国会運営費のことを問題にするのであれば、昨年から1年間、安倍政権は国会を愚弄してきたことを振り返らなくてはならない。森友問題では改ざんした文書で説明をおこなって嘘を吐きつづけ、加計学園問題でも虚偽の答弁を連発し、自衛隊イラク派遣の日報も発見から1年以上も国民から隠されてきた。1年間も欺かれつづけて議論もゼロからのスタートとなった、その責任はすべて安倍政権にあるのだ。
 
 その上、政府が逃げるがために麻生財務相の暴言は止まず、セカンドレイプと言うべき女性の人権を踏みにじる発言が副総理から発信されつづけるという異常な事態に陥っている。国際社会に対しても日本の女性蔑視体質をあらためて再認識させた発言だ。
 だいたい、柳瀬元首相秘書官が面談の事実を認める方針に転換したのは、記憶が蘇ったからでも何でもなく、野党の審議拒否が効いた結果だ。もし、審議を続行させていれば嘘を突き通した可能性も高く、非難されるとすれば、一向に真相究明をしようとしない姑息な安倍政権の姿勢のほうだろう。
 
 だが、安倍応援団メディアやコメンテーターたちの問題のすり替えによって、国民はすっかり騙されてしまった。現に、日本経済新聞がおこなった世論調査では、野党6党が国会審議を拒否していることについて「適切ではない」と答えた人は64%にものぼった。
 しかし、これこそが安倍政権の常套手段なのだ。ここまで不祥事と暴言がつづけば、普通は引導を渡す。しかしそうしないのは、安倍政権が国民を舐めているからだ。つまり、どんなその場しのぎのデタラメや嘘でも、信じられない暴言でも、強弁をつづければそのうち国民が批判することに疲れてきて、問題がうやむやになり、批判が落ち着くと踏んでいる。そして、国民に野党アレルギーがあるのをいいことに、責任を野党になすりつけようというのである。
 
 公文書改ざんと腹心の友への利益誘導という安倍首相夫妻による政治の私物化が招いた民主主義を根幹から崩す大問題に、副総理による明確な女性差別発言。これらを不問に付してしまえば、異常に慣れきって正常な判断がなされない状態になっている証拠だ。公文書の改ざんや隠蔽を許し、麻生財務相の発言を「いつもの放言」だと受け止める、そんな狂った常識の社会で生きていくことこそをこの世の地獄と言うのではないだろうか。
(編集部)