2018年5月5日土曜日

憲法9条への自衛隊明記で「徴兵制も可能となる」 伊藤真弁護士が指摘

 伊藤真弁護士は3日、沖縄での憲法講演会で、自民党案が憲法9条に「自衛隊」表記を盛り込もうとしていることについて、「9条が書き換えられることと同じだ。追加された条文が優先されるようになる」と危惧し、国を守るという名目であらゆる人権が制約され「徴兵制も可能となる」と警鐘を鳴らしました。
 
 日本で徴兵制が認められないのは、戦力不保持を定めた憲法9条のもとで徴兵制を採用する余地はないからですが、もう一つ、憲法18条の「何人も~意に反する苦役には服させられない」ことからも徴兵制度は認められません。
 
 万一憲法9条に自衛隊が明記されれば、「制限のない集団的自衛権の行使」に移行するのは時間の問題です。アメリカは、自衛隊を無償で使える傭兵と見做し有能な尖兵として使う筈です。もしもアメリカが戦争を始めれば現行の自衛隊の規模では対応できなくなるので、徴兵制度が現実の課題になります。
 そういう状況下では「自衛のための兵役を『苦役』視するとは何事だ」という論調が、大手を振るう事態になる可能性は大いにあります。
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憲法9条への自衛隊明記で「徴兵制も可能となる」 伊藤真弁護士が指摘
沖縄タイムス 2018年5月4日
 日本国憲法が施行されて71年となった3日、憲法講演会(主催・沖縄県憲法普及協議会など)が宜野湾市民会館で開かれた。法律家や行政官を育成する「伊藤塾」を主宰する伊藤真弁護士が講演。安倍晋三首相が憲法9条への自衛隊明記を表明していることを受けて、石垣島や宮古島への陸上自衛隊配備などを念頭に「沖縄の基地負担への影響が大きい」と指摘した。改憲の動きに対し、萎縮せずに反対の声を上げるよう呼び掛けた。
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 講演会には約千人(主催者発表)が参加。「武力によって平和を創造することはできない」とし、日本国憲法の精神や米軍基地のない平和を求める沖縄の心を大切にし、真の平和をつくっていくことを掲げた「憲法宣言」を採択した。
 
 伊藤氏は、自民党案が憲法9条に「自衛隊」表記を盛り込もうとしていることに「9条が書き換えられることと同じだ。追加された条文が優先されるようになる」と危惧。その上で、国を守るという名目であらゆる人権が制約され「徴兵制も可能となる」と警鐘を鳴らした
 
 また、昨年の憲法記念日に安倍首相が「『自衛隊が違憲かもしれない』などの議論が生まれる余地をなくすべきである」と発言したことに、「民主主義や言論の自由の否定だ」と批判した。
 
 誰もが政治や憲法に無関心ではいられても「無関係ではいられない」と強調。「この国を、この島を、この地域をどのようにしたいのか、ビジョンを持つことが大事だ」と語った。