2018年5月22日火曜日

22- 米上院 拷問者をCIA長官として承認

米上院がCIA長官への就任を承認した血まみれのジーナには
国境を超えた情報機関の闇世界  
櫻井ジャーナル 2018年5月20日
 アメリカ上院はジーナ・ハスペルのCIA長官就任を承認した。2002年の終わりからタイに設置されていたブラックサイト、つまりCIAの秘密刑務所で所長を務め、拷問を指揮していた「血まみれのジーナ」の長官就任を民主党の議員も賛成している。
 
 ハスペルの長官就任には個人的な問題と組織の問題がある。個人的な問題は彼女が拷問を指揮していたということだが、彼女が歩いてきたCIAの破壊工作、有り体に言えばテロを担当する部門の問題もある。
 前にも書いたように、その部門の源流はジェドバラ。第2次世界大戦後、その人脈の一部は特殊部隊員となったが、OPCという秘密機関へも流れている。当初、CIAは情報の収集と分析のみを行うことになり、破壊活動を担当する部門は設置されなかった。そこで、ウォール街の好戦派たちはCIA長官の指揮系統の外にOPCを作ったのだ。
 OPCは1951年にCIAへ入り込んで作戦局の中核になり、73年に工作局、今はNCS(国家秘密局)になっている。ハスペルはこの分野を歩き、2013年2月から5月にNCS局長代理を務め、2017年2月からはCIA副長官を務めていた。
 この部門が行ったことには報道統制を目的としたモッキンバード、ZR/RIFLEなど要人暗殺工作、イラン、グアテマラ、チリ、ウクライナを含む数多くの国における軍事クーデター、軍事侵攻を正当化するための偽旗作戦、個人や集団をコントロールする技術の研究開発を行ったMKウルトラなどがあり、その一端は1970年代の半ばに議会の調査で判明している。
 その後、情報機関やその後ろ盾の勢力は内部告発を困難にするようルールを変更、活動をCIAの外部へ移した。フランス、サウジアラビア、エジプト、モロッコ、そして王政時代のイランの各国情報機関は1976年にサファリ・クラブなる連合体を組織したが、その組織を主導することになるのはCIAの人脈だった。議会の調査もあり、表面には出なかっただけだ。
 その後、この仕組みはCIA人脈が各国を支配する道具として機能する。そのCIA人脈は1980年代にソ連の情報機関KGBの中枢と手を組むことに成功した。今でもロシアでその人脈は生きており、金融部門を抑えている。KGBの傍流だったウラジミル・プーチンのグループにとって最大の問題だろう。
 
 すでにCIAの破壊活動人脈は既存の国という枠組みを超えて動いている。ハスペルの背後にはそうした世界が広がっていることを忘れてはならない。
 
 
民主党、拷問者をCIA長官として承認
マスコミに載らない海外記事 2018年5月21日
Paul Craig Roberts 2018年5月19日
 アメリカでも国際刑事裁判所でも、拷問監獄を運営していたかどで被告席につくべき人物が一体どうしてアメリカ中央情報局(CIA)長官に任命されたのだろう? 拷問者が秘密作戦の責任者に任命されるのなら、人権擁護に関するワシントン言説に何の意味があるだろう?
 
 ワシントンの侵略から自国を守ろうとしたセルビア指導者ミロシェビッチは、ワシントンによって、戦争犯罪法廷、ワシントン侵略の犠牲者だけを裁判する場所に送られた。彼は獄死したが、ワシントンに殺されたという人々もいる。裁判所は、彼をアメリカによるぬれぎぬから無罪にして終わった。だが死者に対しては、ほとんど役に立たない。
 
 だが今やワシントンは、本物の犯罪人、争う余地のない“人類に対する犯罪”をおかした人物をアメリカ上院で、CIA長官として承認した。これは、ワシントンの政府の偽善、二重基準と、徹底した虚言癖について多くを物語っている。
 
 共和党議員の一部は最高拷問者に反対票を投じたが、拷問者をCIAのトップに据えたのは民主党議員だった。
 彼らの言い訳を聞こう。
 ウェストバージニア州のジョーマンチンはこう述べた。ハスペルはアメリカの安全を優先事項にしている。彼女は“信じられないほど素晴らしい公僕だ。”
 ノースダコタ州のハイディ・ハイトカンプは、トランプは仕事に最適の長官を選んだとのべた。ハイディは、議会にハスペルの職務をしっかり監督させるつもりだといったが、もし職務がアメリカの慣行として奉じられているように見える拷問であれば曖昧な発言だ。
 インディアナ州のジョー・ドネリー上院議員は、ハスペルは“経験に学んでおり、CIAは彼女の指揮の下で、アメリカが深刻な国際的脅威や挑戦と対決するのを支援できる”と信じていると述べた。
一体何の脅威? 一体どのような挑戦だろう? たわごとだ。ちょっと待っただ。裁判官の前の犯罪人が、こういうのを想像願いたい。“私の過去の犯罪から私は学んだので、アメリカを支援できる立派な市民として、私は適任です。”
 フロリダ州のビル・ネルソンは、道徳的人物としての破綻をハスペルと直接会って、彼女は職務に適しているという結論に至ったとごまかした。
 
 ニューズウイークによれば この四人のアメリカ民主党上院議員は、困難な再選に直面しており、嘆かわしいトランプ支持者をなだめるために、ハスペル承認に賛成投票したのだ。言い換えれば、この四人の上院議員は、彼がシリアとロシアとの和平に賛成で、アメリカが世界の警察官でいることに反対すると言ったのでトランプに投票した「哀れな連中」が、拷問者をCIA長官として承認させたいと望んでいると考えたのだ。民主党は、トランプ支持者を恐れたがゆえに、拷問者を支持したのだ。もしトランプ支持者が拷問者を職に就けたがっているなら、上院議員は面目にかけてトランプ支持者に反対すべきなのだ。
 
 ジャンヌ・シャヒーン上院議員(民主党、ニューハンプシャー州)は、ハスペルが二度と拷問しないと信じていると述べた。被告席の殺人者が言う“裁判官”“私は二度と人殺しはしません。plumb警察署長に任命してください。”
 
 バージニア州のマーク・ウォーナー下院情報問題常設特別調査委員会副委員長は、もしトランプが拷問するように命じたら、彼女は命令を拒否するはずだと請け合って、ハスペル就任を認めた。言い換えれば、ウォーナーは、実際に拷問を行ったハスペルではなく、トランプを拷問と結びつけているのだ。
 アメリカが他の国々を解放するやら、人権を擁護するやら、道徳的良心があるやら、世界に対する光だやらなどと、頼むから、もう言わないで欲しい。
 
 Paul Craig  Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリプス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。