2018年5月30日水曜日

喜劇の国会 嘘しか言わない登場人物

 このところの安倍首相と閣僚それに官僚たちの国会対応は、まさに「喜劇の国会 登場人物は嘘しか言わない」に尽きます。安倍首相にまつわる話題において、「嘘」という要素が除外されることはあり得ないので、どうしても似た話の繰り返しになるのはご容赦ください。
 
 日刊ゲンダイは、
“犯人”とその周辺がどれだけ取り繕っても、誰が嘘を言っているのか、国民は先刻承知。嘘でゴマカせると思っているのは本人たちだけだ。とっくにネタバレしているのに、必死で嘘のストーリーを続けようとする。まるで三文推理小説の様相である
と断じました。
 
 これ以上何の説明も要りません。日刊ゲンダイの記事を紹介します。
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まるで三文推理小説 登場人がみんな嘘をつく喜劇の国会
日刊ゲンダイ 2018年5月28日  
(阿修羅 文字起こしより転載)
 “犯人”とその周辺がどれだけ取り繕っても、誰が嘘を言っているのか、国民は先刻承知。嘘でゴマカせると思っているのは本人たちだけだ。とっくにネタバレしているのに、必死で嘘のストーリーを続けようとする。まるで三文推理小説の様相である。
 
 加計学園が26日、愛媛県が発表した文書について、驚くべきコメントを報道各社にファクスで送り付けてきた。愛媛県の文書には、加計学園の獣医学部新設をめぐり、2015年2月25日に加計孝太郎理事長と安倍首相が15分程度、面談した際、安倍から「そういう新しい獣医大学はいいね」という発言があったと記載されている。この「加計学園からの報告」は嘘だったと自ら発表したのだ。
 
<当時の関係者に記憶の範囲で確認>したところ、〈獣医学部設置の動きが一時停滞していた時期であり、何らかの打開策を探しておりました。そのような状況の中で、構造改革特区から国家戦略特区を用いた申請にきりかえれば、活路を見いだせるのではないかとの考えから、当時の担当者が実際にはなかった総理と理事長の面会を引き合いに出し、県と市に誤った情報を与えてしまったように思うとの事でした>という。
 
 こういうのは「誤った情報」ではなく、一般社会では「嘘」と言う。しかも、ここでもまた「記憶の範囲」だ。新しい資料や記録が出てくるたびに、安倍や周辺が「記憶」で内容を否定する。モリカケ問題は、ずっとこの繰り返しだ。
 
「さすがに今回の弁明は筋が悪い。加計学園のコメントが本当ならば、事業者が嘘を言って、獣医学部新設に協力させ、愛媛県と今治市から100億円近い補助金を騙し取ったことになる。詐欺行為ですよ。愛媛県の中村知事も会見で怒りを爆発させていましたが、発表コメントが事実ならば、まずは県や市に謝罪をし、加計理事長が記者会見するのが筋でしょう。紙一枚で済ませていい話ではない。安倍首相を守ることだけにベクトルが向いて、ドツボにはまっているように感じます」(政治ジャーナリスト・山田厚俊氏)
 
■安倍の名前を騙った「詐欺を働く学園」
 森友学園の籠池前理事長が「安倍から100万円をもらった」と暴露した際、自民党は「総理を侮辱した」と憤り、籠池氏を証人喚問した。さらに安倍自身も、まだ公判も始まっていないのに、「籠池氏は詐欺を働く人物」と断罪。加計学園が安倍の名を騙って獣医学部新設を優位に進めたと自白した以上、学園の責任者や担当者を証人喚問しなければおかしい。果たして安倍は「加計は詐欺を働く学園」と糾弾するのだろうか。 
 
「愛媛県が文書を公表して以来、知事の説明は一貫して説得力があった。それで情報公開をかたくなに拒んでいた今治市も追い詰められ、ついには安倍官邸べったりの菅良二市長も、安倍首相と加計理事長の面談について加計学園側から伝えられていたことを認めざるを得なくなった。愛媛県の文書が正しいことがハッキリしたのです。
 
 そうなると、『面談はなかった』と言っているのは安倍首相だけということになって、政権は窮地に陥る。それで、“腹心の友”で共犯者の加計理事長に言い含め、学園の担当者が嘘をついたということにしたのでしょう。こんなミエミエの隠蔽工作で国民が簡単に騙されると考えているとすれば、度し難い。あまりに醜悪で、論評にも値しません」(政治評論家・本澤二郎氏) 
 
ひとつゴマカすとつじつま合わせの嘘が重なっていく 
 ひとつ嘘をつくと、つじつま合わせのために嘘の上塗りを続けることになる。安倍政権の場合、あまりに嘘を重ね過ぎて、つじつまも合わなくなってきた感がある。
 野党から、安倍が「加計理事長と15年2月25日に会っていない」と断言する根拠をただされ、内閣官房が出した回答書には、こう書かれていた。
〈ご指摘の点については、総理より「ご指摘の平成27年2月25日に加計理事長とお会いしたことはありません。」と申し上げているところに尽きるものと存じます〉
 安倍がそう言っているから正しい――。どうなっているのだ、この国は。自民党幹部も「総理の発言を信じる」と言うばかり。安倍の発言を裏付ける証拠は何ひとつ出てこない
 
「2月25日の加計理事長との会談について、安倍首相は『記録がない』ことを免罪符にしていますが、本来は会っていない記録を出すべきなのです。身の潔白を示す記録が残っていないことに怒るなら分かりますが、『記録はなかった』とドヤ顔で言うのはおかしい。森友問題もそうですが、やましいことがないのなら、官僚に『資料をすべて出せ』『備忘録でもいいから探し出せ』と指示すればいいだけの話です。
 都合の悪いことは“なかったこと”にしようとするから、隠蔽や廃棄、改ざんという国民への背任行為の連鎖になる。日大アメフト部の問題を見ても分かるように、危機管理の要諦は、まず自分たちの非を認めて、そこまでしなくてもというまで謝ることですが、安倍政権の対応は危機管理以前の問題です」(山田厚俊氏=前出)
 
 危機管理は初動が大事だ。事実を認めてゴマカさないこと。森友問題も加計問題も、安倍が最初に「慎重さが足りなかった」と非を認めて謝っていれば、ここまで長引かなかっただろう。
「私や妻が関係していたとすれば、これはまさに私は間違いなく総理大臣も国会議員も辞めるということはハッキリと申し上げておきたい」と最初に大見えを切ってしまったから、次から次へと嘘で上書きする羽目に陥った。主犯は「官僚が勝手にやったこと」と責任転嫁。官僚は天下りや昇進の見返りがあるから黙って罪をかぶる。その被害者は国民だということに気づかなけばならない。
 
■すべての嘘の起点は首相を守るため
 佐川前理財局長に虚偽答弁させ、柳瀬元首相秘書官を記憶喪失にし、加計学園の担当者を詐欺師に仕立て上げる。すべての起点は安倍の保身だ。安倍を守るために、モリカケ疑惑の主要な登場人物は嘘しか言わない。これでは国会審議も成り立たない。国会を空転させたのは、審議拒否した野党ではなく、嘘つき政府の方なのだ。
 前出の本澤二郎氏が言う。
政府が見苦しい嘘で急場をしのぐような場当たりを続けていたら、国が滅びる。嘘はいけないと安倍首相に進言する側近もいないことが致命的です。自民党議員もいい加減、安倍降ろしの声を上げるべきですよ。安倍首相を守るか、民主主義と政治への信頼を守るかの瀬戸際に来ているということが分かっているのでしょうか。安倍首相は今や裸の王様なのです。皆が勇気を出して『王様は裸だ』と言わなければいけません。安倍首相は部下や親友に嘘をつかせ、外交をやってるフリでロシアに逃げたものの、何の成果もなかった。北朝鮮問題で、トランプ政権がどんな方針を打ち出しても盲目的に支持する場当たり外交にも唖然とします」
 米国の北朝鮮に対する圧力を支持する。交渉を支持する。首脳会談を支持する。会談中止を支持する。交渉再開を支持する……。日本国としての一貫性はどこにもない。国際社会は冷笑だろう。
 
 こんな政府で国民は恥ずかしくないのか? 国民からも国際社会からも信用されない日本の首相。この期に及んで、嘘で逃げ切り、総裁3選なんて話がまことしやかに語られるようじゃ、日本は再起不能だ。