2018年5月9日水曜日

09- 北の脅威後退も…防衛費より社会保障費を削る政権の筋違い

 安倍政権は誤ったアベノミクスにこれまで国費を数百兆円も投じました。しかしそれは大金持ちと大企業、投資家たちを大いに富ませただけで、国民は年収が15万円も下がり続け貧困に向かう一方でした。
 異次元の緩和は当然財政規律を破壊するので、政府は基礎的財政収支(プライマリーバランス)黒字化の目標時期を5先送りする方向ですが、経済政策の破綻がそんな次元の話で収まるものでないことは、既に多くの識者が指摘しているところです。
 
 第二次安倍政権が発足すると、安倍首相は世界中を回って中国脅威論を振り撒きました。しかし中国の存在は既に余りにも大きくて、そんな主張が受け入れられる余地はありませんでした。
 その後に言いだしたのが北朝鮮脅威論で、Jアラートシステムを作り、日本の各所で対ミサイル避難訓練まで行いました。まことに念の入った話ですが、北朝鮮は今世紀の初頭には日本を射程に入れるミサイル・ノドンを数百基所有していたのであって、この間、安倍首相を除いてそのことを脅威として騒いだ首脳は誰もいませんでした。
 要するに「脅威」は安倍首相の脳裏にあったのであり、中国であろうが北朝鮮であろうが、そこに「脅威」がありさえすれば安倍首相にとって防衛力の増強に恰好の口実になったのでした。9条改憲の格好の口実にもなるのでした。
 
 しかし世界の良識は南北宥和の実現をもたらしました。いまや安倍政治は一刻も早く正常な軌道に戻るべきで、まずは、米国の監視システムの充実には役に立っても、防衛上は無駄で効果のないイージス・アショアなどは、早速にも購入契約を取り消すべきです。それでなくても安倍政権になってからは防衛予算は膨張する一方でした。
 
 いまや安倍政権であろうとも民生の充実に進むしかない環境になったのですが、なぜか防衛予算を切り込むのではなく、今年度までだった社会保障費の自然増抑制を、19年度からさらに3年間継続することになりそうだということです。高齢化が進んでいるのでその分社会保障費が増えるのは当たり前のことで、それを削るのは国民生活の破壊です(浦野広明・立正大教授)。
 
 いい加減に軍拡志向、戦争志向はやめにして欲しいものです。日刊ゲンダイの二つの記事を紹介します・
 
追記)
 不思議なことに安倍首相は在韓米軍の削減にも反対だということです。かつて在沖米海兵隊がグアムに撤退するという話が出た時に大反対したのも、日本の右翼「安保で喰う人たち」でした。不思議と言えば、「戦後レジームからの脱却」を叫んで登場した安倍首相が、対米従属路線に邁進するだけで自主独立を全く志向しないのもそうです。
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北の脅威後退も…防衛費より社会保障費を削る政権の筋違い
日刊ゲンダイ 2018年5月8日
 削るところが違うだろう――。
 
 安倍政権が国と地方を合わせた基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)黒字化の目標時期を5年先送りし、2025年度にする方向だという。6月に新たな財政健全化計画を策定するが、北朝鮮の「核・ミサイル開発中止」を受けての財政健全化議論。防衛費を削減すればいいのに、切り込むのは社会保障費というからムチャクチャだ。
「16年度から今年度までだった社会保障費の自然増抑制を、19年度からさらに3年間継続することになりそうです。年間6300億~6700億円の自然増を5000億円以下に抑えたことで、高齢者の医療費の負担が増え、サラリーマンの介護保険料がアップされました」(厚労省関係者)
 
 安倍政権の下、防衛費は4年連続で過去最高を更新。18年度予算は5兆1911億円で、後年度負担というツケもさらに5兆768億円もある。安倍首相が北の脅威を煽りまくった結果である。
 安倍首相は6回の施政方針演説すべてで北への圧力を強調。今年1月も「北朝鮮の核・ミサイル開発は、これまでにない重大かつ差し迫った脅威であり、我が国を取り巻く安全保障環境は、戦後、最も厳しいと言っても過言ではありません」と訴えていた。
 
■それでも小野寺防衛相は防衛力整備を強調
 ところが、今や、朝鮮半島の南北融和で差し迫った脅威は影を潜めた。防衛費にちょっとメスを入れれば、年1700億円程度の社会保障費の自然増削減は避けられる。例えば、北のミサイル迎撃のために配備を決めたイージス・アショア2基は計2000億円。キャンセルすれば、自然増を賄えてお釣りがくる計算だ。
 
 社会保障に詳しい立正大客員教授の浦野広明氏が言う。
高齢化が進んでいるのですから、その分、社会保障費が増えるのは当然です。それを削ることは国民生活の破壊です。他にも安倍政権は、財政健全化の名目で年金支給の68歳への引き上げ、75歳以上の医療費負担増などをもくろんでいます。健全化というなら、防衛予算など不要不急なものから削減するのがスジ。言いにくくても、不要な武器のキャンセルを米側と交渉すべきです。防衛費を減額する補正予算を組むことも検討すべきです」
 小野寺五典防衛相は、7日の参院決算委で、朝鮮半島の融和ムードは認めた上で「北朝鮮が何か約束をしたわけではない」と防衛力整備を進めることを強調。当たり前の見直しも、安倍政権ではムリか。 
 
 
安倍首相はなぜ在韓米軍の削減や撤退に反対するのか?
日刊ゲンダイ 2018年5月8日
 東アジアの平和や安定を最も望んでいないのは安倍首相だった!? トランプ米大統領が安倍と4月に会談した際、韓国、北朝鮮の将来の統一を見据え、在韓米軍の削減や撤退の可能性を示唆していた――と、5日の読売新聞が報じた。米紙ニューヨーク・タイムズも、トランプが在韓米軍の規模削減を検討するよう国防総省に指示していたと報道。初の米朝首脳会談に向けた“地ならし”が着々と進んでいる様子がうかがえるが、そんな在韓米軍の縮小について「東アジアの軍事バランスを崩す」として待ったをかけているのが安倍だ。
 
〈「制裁」だの「圧迫」だのという陳腐な言葉を並べ立てて行動していると、仲間外れの立場から抜け出せなくなる〉
〈米国のボスに請託し、周辺大国に懇願しながら、あらゆる権謀術策を使っているが、その悪い癖を捨てない限り、1億年経っても我々の神聖な地を踏むことは出来ない〉
 6日付の朝鮮労働党の機関紙「労働新聞」は、南北会談や米朝会談などの枠組みから完全に蚊帳の外に置かれた日本をケチョンケチョン。
 パーティーに呼ばれてもいないクセに、主役気取りで「上から目線」発言を繰り返す安倍政権のトンチンカンぶりをこう皮肉っていたが、安倍首相が在韓米軍の規模縮小に反対する理由も意味不明である。
 仮に南北統一が実現すれば、もはや「北の脅威」も、在沖米軍の存在意義も薄れる。そもそも、安倍首相の主張は、米国を中心とした連合軍から「押しつけられた憲法」による統治体制を見直す「戦後レジームからの脱却」だったハズだ。南北統一で「戦後レジームからの脱却」が実現する可能性が高まるのであれば、安倍首相が横ヤリを入れる必要はないだろう。
 
 在沖米軍の現状を見ても、米軍はいまだに治外法権状態だ。2016年4月に発生した米軍属兵士による女性暴行殺人事件でも、那覇地裁は殺人罪などで無期懲役刑を受けた元海兵隊員ケネス・フランクリン・シンザト被告に賠償金の支払いを命じる決定を出したが、米側は米軍の直接雇用ではないとして支払いを拒否している。
 南北統一で、アジア諸国に駐留する米軍の規模が縮小し、今の最悪の状況が少しでも改善されるかもしれないのに、なぜ、安倍首相は反対なのか。元外交官の天木直人氏はこうみる。
在韓米軍が縮小された場合、将来は東アジアなどで中国軍が台頭する機会が増えるかもしれない。そう考えて安倍首相は日米軍事同盟の必要性を訴え、在韓米軍の縮小に難色を示しているのでしょう。他方、それは日本の主権を放棄していることにもつながります。結局、すべてを米軍任せだからです。今こそ、平和憲法を軸に自立した外交を目指すべき時ではないでしょうか
 
 単にカネをバラまくことが最善の外交だと勘違いしている安倍政権。無為無策のツケが今後、どう表れるか分からない。