「特定秘密保護法」「新安全保障法(戦争法)」「共謀罪法」の三大反動法を制定し終えた安倍政権は、経済界の要望に応えて今度は、生産性向上の美名の下で労働者を安く酷使する「働かせ法」の制定を目論んでいます。
小泉・竹中政権時代に非正規労働者採用の規制を大幅に緩和した結果、いまや非正規労働者は労働者全体の3分の1を占めるに至り、そうした人たちは将来における賃金アップの可能性もないままの低賃金に喘いでいます。その改善は何もないままに、そこにさらに労働法の改悪を覆いかぶせようとするわけです。
残業代をタダにすることを目的とした裁量労働制こそは、政府のデータ捏造がバレて一旦は取り下げざるを得なくなりましたが、同趣旨の高度プロフェッショナル制度は取り下げようとしません。
現時点では年収1075万円以上の労働者という歯止めがついていますが、その範囲は省令で定めるものなので、政府(厚労省)の一存でいくらでも変更することが出来る仕掛けになっています。
安倍首相が当初強調した「同一労働・同一賃金」の実質は影も形もありません。
日本共産党が、「『働かせ方』大改悪をやめさせ まともな働き方改革を実現するために」として「労働基準法等改正大綱」を発表しました。
註)改正大綱全文は、文中の太字部分をクリックすると「労働基準法等改正大綱(全文)」にジャンプします)
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「働き方」共産党が対案 残業上限月45時間、「高プロ」削除など
山下副委員長会見「まともな改革を」
しんぶん赤旗 2018年5月12日
日本共産党の山下芳生副委員長・働かせ方大改悪阻止闘争本部責任者は11日、国会内で記者会見し、「『働かせ方』大改悪をやめさせ、まともな働き方改革を実現するために」と題した「労働基準法等改正大綱」を発表しました。笠井亮政策委員長、高橋千鶴子衆院議員が同席しました。
山下氏は、政府が審議入りを強行した「働き方改革」一括法案は「長時間労働を増大させ、過労死を促進するなど財界の要求に沿った“働かせ方大改悪”といわざるをえない」と指摘。「労働時間データをねつ造し、野村不動産の過労自殺を隠してきた安倍内閣に、『働き方』改革を語る資格はない。野党や労働組合など諸団体、広範な市民と力をあわせて、法案阻止に全力を尽くす」と表明しました。
党として「8時間働けばふつうに暮らせる社会」の実現へブラック企業規制法案などを提案してきたことを紹介し、今回の大綱は政府の一括法案への対案だと説明しました。
大綱では、政府案の「高度プロフェッショナル制度」(残業代ゼロ制度)は労働時間規制を適用除外し、過労死を促進・合法化するとして削除します。
裁量労働制についても、何時間働こうが事前に決めた時間を労働時間とみなすため、長時間労働の温床になっていると指摘。違法な適用が広がる企画業務型は廃止し、要件と運用を厳格化します。
残業時間の上限は、政府案では「月100時間未満」など過労死水準を法的に容認しているとして現行告示の週15時間、月45時間、年360時間を労基法に明記。終業から始業まで休息を確保する11時間の「インターバル規制」を明記します。
使用者に実労働時間の正確な把握・記録を義務付け、「サービス残業」は残業代を2倍にします。
パワハラ規制では、企業に対し厚労省が助言、指導、勧告、企業名公表を実施。セクハラについても規制を強化し、「被害者の人権とプライバシーを守る企業の責務」などを定めます。
山下氏は、「大綱を各党や労組、市民にも届け、共同を広げて、一括法案を必ず阻止する力にしていきたい」と語りました。
共産党案のポイント
・高度プロフェッショナル制度の削除。企画業務型の廃止など裁量労働制を見直す
・残業時間上限を月45時間、年360時間とし、連続11時間の休息時間を確保
・実労働時間を正確に把握・記録させ、サービス残業代は2倍にする
・パワハラ・セクハラへの規制強化
・同一労働同一賃金と均等待遇を明記し、正規と非正規、男女の格差をなくす
・雇用対策法改定案から「生産性の向上」「多様な就業形態の普及」を削除し、雇用対策法を変質させない。