日米合同委員会の議事録はこれまで公開されたことはなく、委員会の存在自体がこれまで殆ど報じられてきませんでした。
同委員会は日米地位協定の運用を協議する機関で、各省庁から選ばれた日本の官僚と在日米軍のトップが委員になって月2回、60年以上に渡って定期的に協議を行っているものです。
協議の対象は米軍の待遇に限るものではなく広い分野に及んでいるとされ、実際は協議というよりも米軍からの指示を伝達する会合であるとされています。
要するに米軍占領時代の遺物というべきもので、米国務省で太平洋局日本部長などを務めたリチャード・スナイダー氏が、1970年代にそれが異様な会合であることを知り、「米軍が日本官僚に指示を与える占領中にできた異常な関係をやめるべきだ」と提言しましたが、結局米軍部に押し切られたという経緯があります。
そういうものであるため日本ではなるべく表面化しないように努め、それを改革しようというような動きは全くありませんでした。実際、スナイダー氏が廃止するように提言したときも、米軍側は「合同委員会はうまく機能しており、日本側から変更を求める兆候もない」と反論したのでした。
ところが、昨年11月、韓国では「米韓合同委員会」の合意内容について、「軍事機密や米軍の内部情報」を除いて、基本的に公表することになりました。それは韓国の市民が訴訟などを通じて合同委員会の内容を公開するよう働きかけた結果だということです。
独立国家として大いに見習うべきことで、日本もこれを機に、少なくとも会議内容は韓国と同様に最大限公開するように改めるべきです。
天木直人氏のブログを紹介します。
お知らせ
都合により23日の記事の更新は午後からになります。
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朝鮮戦争を戦っている韓国ですら見直した密室の合同委員会
天木直人のブログ 2018年3月21日
これも私が注目した記事だ。
そしてやはり日米同盟がらみの記事だ。
今度は東京新聞である。
きょう3月21日の東京新聞「私説 論説室から」で五味洋治記者が書いていた。
昨年11月、韓国政府と在韓米軍が発表したと。
両者が定期的に開いている「米韓合同委員会」の合意内容について、「軍事機密や米軍の内部情報」をのぞいて、基本的に公表する事にしたと。
驚いた。
韓国も在韓米軍との間で合同委員会を定期的に開いていたのだ。
いや、考えて見ればそれは当然だ。
何しろ韓国は今でも米軍とともに朝鮮戦争を戦っている国だ。
日本政府が在日米軍と定期的に日米合同委員会を開いているぐらいだから、米韓合同委員会がないはずがない。
しかし、米軍と朝鮮戦争を戦っている韓国でさえ、米軍と交渉し、その開催日時、場所、合意内容の一部を公表するようになったのだ。
市民が訴訟などを通じて合同委員会の内容を公開するよう働きかけた結果だという。
ひるがえって日本はどうか。
月2回開催されていると伝えられている日米合同委員会であるというのに、その内容はもちろん、日時、場所、参加者など、一切秘密のベールに包まれたままだ。
これで対米外交で韓国に勝てないはずだ。
文在寅韓国大統領の仲介で米朝首脳会談が実現し、安倍首相がはしごを外されるわけだ。
五味記者は次のようにその記事を締めくくっている。
「ここまで在日米軍に遠慮する理由は一体何なのか」と。
外務省にいて、見て来た私が答えよう。
明確な理由は何もない。
ただ、そうしないと面倒だというだけのことである。
米国の事になると、すべての省庁の官僚たちが、文句を言いながら皆外務省に従って来ただけのことだ。
偉くなる連中が皆そうして来たのを見習って、半世紀以上たってしまった、ただそれだけの事である (了)