2021年12月9日木曜日

09- 岸田政権のオミクロン株「水際対策」は穴だらけ

 読売新聞の調査によれば、岸田政権のオミクロン株水際対策を国民の89%が支持しているということです。何とも驚きですが、これは当初「全世界からの外国人の新規入国を停止する」などの派手な方針を出したことが影響していると思われます。実際にはそうした荒っぽい方針は順次修正されました。

 その一方で、では空港での検疫は厳格なのかとなると明確に否です。
 その一つはウイルス検査に抗原定量検査を用いていることで、検疫所はPCR検査と同等の精度があるからと拘っていますが、PCR検査が抗原定量検査よりも圧倒的に精度が優れていることは自明のことで、ウィルス数が十分に多ければ同等ということもできますが、感染者を1人も見逃してはいけない空港検疫が抗原検査で十分とはとても言えず、ここでも一度官僚が決めたことは変えないという悪しき習慣が見て取れます。
 もう一つは検疫所施設待機指定国別に3日、6日、10日と差があることで、その意味が分かりません。確率的に説明できるという考え方は、やはり感染者を1人も見逃してはいけないという条件に反するものです。せめて10~14日の隔離期間を取って万全を期するべきでしょう。

 日刊ゲンダイの記事を紹介します。
 LITERAも1日付で下記の記事を出しています。興味のあるかたはクリックして原文にアクセスしてください。
  ⇒ 空港検疫ではいまだ精度の低い抗原検査…ザルだらけの対策なのに、外国人排斥でやってる感
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岸田政権のオミクロン株「水際対策」は穴だらけ 空港検疫その場しのぎで市中流入が秒読み
                          日刊ゲンダイ 2021/12/07
「慎重すぎるのではないかとの批判は私が全て負う覚悟だ」ーー。新型コロナウイルスの水際対策について、6日召集された臨時国会の所信表明で岸田首相は得意げだった。読売新聞の世論調査では岸田政権の水際対策を「評価する」との回答が89%に上っている。ところが、よく見ると、水際対策は穴だらけ。このままでは早晩、オミクロン株が市中に流入しかねない。
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 6日、羽田空港でイタリアに滞在歴のある男性のオミクロン株の陽性が判明した。滞在歴ナミビア、ペルーに続き、国内3例目だ。この3例からもいろいろな国にオミクロン株が拡散していることが分かる。どこの国からの渡航者もオミクロンウイルスを保有している可能性があるのだ。
 しかし、検疫所の施設待機は指定国別に3日、6日、10日と差がある。3日や6日ではウイルスが潜伏したままの自宅待機になりかねない。指定国以外は14日間の自宅待機で許されている。
 しかも、デルタ株などオミクロン株以外の一部指定国は4日からワクチン接種を条件に施設待機は免除されることになった。「施設不足」を理由とするが「慎重すぎる」どころか、その場しのぎの対応である。
 水際対策の入り口である空港検疫の検査について、抗原定量検査を続けていることも大問題だ。PCR検査なら数個から数十個のウイルス量で陽性を検知するが、抗原は500個以上必要だ。感染初期や無症状者はウイルス量が少なく、抗原は不向きとされるが、厚労省は「無症状者はPCRと同等」と言い張り、昨年7月末にPCRから抗原へ切り替えている

安倍・菅時代が酷すぎて岸田首相がよく見える
 オミクロン株1例目のナミビア人外交官と同じ先月28日に入国した10歳未満の男児のコロナ陽性が確認された。空港検疫の抗原検査では陰性だったが、2日に1回行うPCR検査で陽性が判明し、4日に厚労省が公表した。抗原検査をすり抜け、PCRで判明した事例に見える。オミクロン株かどうかは現在、解析中だ。
「潜伏期間の関係でウイルス量が少なく空港検疫では陰性になった。空港検疫でPCR検査を行っていても同じ結果だったと考えられます」(厚労省検疫所業務課)
 確かに、機内で感染した場合、直後の空港検疫ではウイルス量が少なすぎるため、PCRでも陽性が感知できないこともある。
 西武学園医学技術専門学校東京校校長の中原英臣氏(感染症学)が言う。
PCR検査は抗原検査よりも圧倒的に精度が優れており、取りこぼしは少ない。空港検疫の検査は水際対策の肝です。岸田首相は『最悪の事態を想定』や『慎重すぎる対応』を掲げるなら、厚労省の主張をうのみにせず、より確実なPCRに戻すべきです」
 安倍元首相、菅前首相のコロナ対応があまりにもひどかったので、岸田首相がよく見えるのも危険なことだ。野党は臨時国会で岸田首相の詰めの甘さを徹底追及すべきだ。