新人の大石あきこ衆院議員(れいわ)が一躍勇名を馳せたのは、NHK日曜討論での維新批判の鮮やかさでした。
21日、大石氏は臨時国会を総括する会見で、文書通信交通滞在費のあり方を巡って議論が進んだものの結局法改正までには至らなかったことについて、「使い道不明瞭、領収証なしで、ずっと運用していた維新が騒ぎだして、臨時国会の貴重な時間を使ったのは万死に値する」とバッサリと斬りました。そして吉村府知事についても「私のブーメラン返しで、ぶっ刺さる事態に維新が陥った。本質そらしの身を切る改革だ」とこき下ろしました。
さらに維新の馬場伸幸共同代表の本会議質問にも、「極悪であった。岸田政権に身を切る改革、国会改革できるのかと迫っていたが、馬場さん自身も『政党助成金で飲食している』と身内から言われているのに関係なしで、大演説していて、これは凄いと」と皮肉りました。
同席した山本太郎氏も維新についてのコメントを求められましたが、それは「家元の方から」と大石氏に譲りました。
大石氏はさらに「自分は大阪を変えれば、日本社会全体は変わると思っている」と徹底的に維新を追及していく構えを示したということです(以上 東スポ)。
これまでは向かうところ敵なし?のように見えた「維新の欺瞞路線」は、先の衆院選で突如、山本太郎氏と大石あきこ氏というれいわの2人の論客が立ち現れて、前途を立ち塞がれたという感じです。
そもそも吉村知事が注目されるようになったのは去年、新型コロナの感染拡大で5月末まで延長された緊急事態宣言下で、休業要請などの解除を判断するための府独自の指針「大阪モデル」を5月5日に発表したことが切っ掛けでした。
それは一見すると見事に出来上がっていましたが、現実に直面すると変更に次ぐ変更を余儀なくされるという実効性のないものでした。それどころか、維新の新自由主義政策で保健所と公立病院病床を徹底的に削減したことで、今年の4,5月と8,9月には決定的な医療破綻を起こし、累計3000人余の大半が病院に罹れないまま命を落とすという大惨状を呈しました。
それにもかかわらず吉村氏が「先頭を切ってやっている」というイメージを、在阪のメディアが連日報じたせいで「イソジンでのうがい」や「大阪ワクチン」(さらには「大阪都構想」騒ぎ)などが悉くウソと失敗の連続であったのに、それは無視して大阪のおばちゃんたちが熱烈に支持したことで衆院選では大躍進をしました。まさに異常な事態でした。
ところで維新の会の代表で大阪市長である松井一郎氏は、吉村氏の影に隠れた感じがしますが、彼のスケジュールの多くは「公務なし」となっていて、週に1回も登庁していないこともザラにあるということです。
今度の大阪市北区の雑居ビル4階の心療内科クリニックが放火されて25人が死亡した事件でも、松井氏は不在だったのかその渦中では全く登場せず、20日の午後になってようやくTVに登場し他人事のようなことを口にしたということです。
これは過去においてもそうであったということで、松井氏は維新の会の党勢拡大には熱心なようですが、市政には全く関心をもっていないようです。これも実に異様な事態です。
LITERAが報じました。
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大阪ビル放火が起きても登庁せずコメントなし…松井市長のサボりぶりに批判! 市民の安全に無関心な態度は過去の災害でも
LITERA 2021.12.20
またも痛ましい事件が起こった。先週17日の午前10時すぎ、大阪市北区の雑居ビル4階の心療内科クリニックから出火し24人が死亡。警察は殺人と放火の疑いで捜査している男性の氏名を公表したが、その容疑者も火災で重体の状態だ。
詳しい動機などについては今後の捜査の進展が待たれるが、今回の事件は2019年に京都アニメーションで起こった放火殺人事件を彷彿とさせる無差別の放火テロであり、大阪市でいえば2008年に発生した個室ビデオ店放火事件の死亡者16人を超える惨事となった。
ところが、これほどの事件が発生したというのに、スルーしつづけていた男がいる。大阪市の首長である松井一郎市長だ。
火災は前述したように17日の午前10時すぎに発生し、11時前には日本テレビが「大阪・北新地でビル火災「逃げ遅れ」情報も」と報道。11時半前後にはNHKをはじめ各社がビル火災の速報を出し、一時は「心肺停止27人」とも伝えられていた。
さらに同日夕方には、ぶら下がり取材に応じた岸田文雄首相が「大変悲惨な事件が発生した。まずは実態をしっかり把握し、原因・経緯について明らかにすることによって再発防止に努めなければならない」「亡くなられた方々のご冥福をお祈りし、負傷や被害を受けられた方々に心からお見舞いを申し上げる」とコメント。19日には金子恭之総務相が、全国の消防に対して同じような雑居ビル3万棟を対象に避難経路などを点検するよう要請した。
しかし、事件が発生した当の大阪市の市長である松井氏は、事件発生日の17日、午前11時18分と11時21分の2回、〈維新の会国会議員の皆さん、文通費の使途公開はマストです〉などと文書通信交通滞在費についてのツイートをしただけ。その後も会見がおこなわれることはなかった。
また、この週末も、松井市長は毎日新聞などの調査で日本維新の会に「期待する」と答えた人が48%、支持率が22%にのぼったことを伝える記事を引用リツイートし、〈維新の会国会議員の皆さん、今の日本維新の会支持率はあくまでも期待値です!! 先ずは文通費改革実行で実績を積み上げて下さい〉と投稿しただけだった。
自分が首長をつとめる市で世間を震撼させる火災が起こったというのに、それを無視して国政の文通費問題、維新アピールを発信しつづける……。しかも、消防の動きはおろか、被害者へのお悔やみや動揺する市民へのメッセージは一切なく、だ。
いや、もっと言えば、火災発生当日に松井市長が文通費についてTwitterに投稿した時刻は、この火災で「逃げ遅れた人がいる」とメディアが伝えていた、まさにそんな緊迫した状況下だった。その上、大阪市HPで公開されている市長の日程では、17日は「公務日程なし」となっていたのだが、夕方になっても夜になっても松井市長のコメントや動向がメディアで伝えられることがなかったことからも、松井市長が火災事件を受けても登庁することはなかったと考えられるのだ。
松井一郎大阪市長は週明けようやく登庁し「対応がうまくいったんだろうなと思っていた」と他人事
松井市長といえば、週に1回も登庁していないこともザラにあり、その実態が明らかになると「税金泥棒はどっちだ?」という批判の声も上がってきたが、まさかこんな緊急事態が起きてもサボり続けるとは……。
実際、本日午後になってようやく松井市長はカメラの前に姿を現し、今回の火災について「痛ましい事件」として被害者にお悔やみの言葉を口にしたが、自らは再発防止策について発言することはなし。記者からは「先週の金曜日(松井市長には)公務がなかったので、あらためて伺いたいのだが、実際に火災のあとにどういうふうに報告があり、どういう指示を出されたのか」という質問が飛んだのだが、すると、松井市長はこう答えたのだ。
「まず、すぐに、えー、所管のほうから連絡いただいて、そのときは『30分で消し止められた』という報告でした。だから、まあ、30分なんでね、早期に初期の対応うまくいったんだろうな思ってましたけど、その後、報道等でもあるようにね、大勢の方が亡くなったっていう報告を受けました。で、我々とすれば、犯罪被害者のみなさんに、被害者のみなさんにいかに寄り添えるかということを考えて、いま対応しているということです」
たしかに大阪市消防局によると、火災について覚知したのは17日の10時18分、鎮圧は10時46分となっている。だが、前述したようにその後には逃げ遅れた人の救出活動がおこなわれ、また前述したように20人以上の人が心肺停止という深刻な状態にあることも1時間もしないうちに報じられ、さらに居合わせた人の証言から事件性も指摘されはじめていた。にもかかわらず、松井市長は「(鎮圧まで)30分で対応がうまくいったんだろうなと思っていた」などと悠長に答えたのだ。
しかも、記者が「公務がなかったからあらためて伺うが」と言及したことを考えても、「大勢の方が亡くなった」という報告を受けても松井市長は登庁してマスコミに情報発信することもせず、いまごろになって「被害者にいかに寄り添えるか対応している」など言い出したのだ。繰り返すが、文通費問題や維新への期待が高まっているというニュースについては反応する暇があったというのに、である。
言っておくが、2008年に個室ビデオ店放火事件が起こった際には、午前3時ごろに火災が発生したが、同日午前8時半すぎには当時の平松邦夫・大阪市長が現場を視察し、「大変たくさんの方が亡くなられたので現状を確認するためにきた」「これまで聞いた限りでは、この店に消防法や建築基準法など法令上の違反は見当たらないということだったが、避難経路や火災報知器の設置状況などがどういう状態だったのか確認したい。また、大阪市として同じようなビデオ店にすぐにでも一斉に立ち入り検査をして問題がないか調査したい」と語るなど、すぐさま対応をおこなっていた。松井市長とは雲泥の差だろう。
それだけではない。記者からの「市の消防局も当時動いていたと思うが、市長のほうはどのような報告を受けていたのか」という問いに松井市長は「まず消防のほうからは、現在、小規模な複数のテナントが入る、そして入口が一カ所である、そういうビルについては約5400件、今回の火災を受けて、避難経路等のみなお……(言い直して)確認を、していただくということで、いまもう動き出しております」などと回答したが、これについて別の記者が「5400件というのは金子総務大臣が言った6万件のうち5400件が大阪市ということか」「総務省の指示を受けてではなく大阪市として独自で(確認を)やっているのか」と質問。だが、松井市長は「どっちがどっちでもいいんじゃないの? うん。総務省から指示されたのはもちろんやっています」などと回答。まるで他人事のような態度をとったのだ。
もちろん、再発防止には法改正などが必要になってくることも考えられるかもしれず、松井市長の対応だけではどうにもならない部分もあるかもしれない。だが、検証を通して国に対し再発防止策を提言することは当然できるし、そのためにも平松市長のように現場を視察することも重要な仕事だ。だが、そうした市長の仕事をまるでせず、党勢拡大のための発信しかしていなかったのである。
大阪府知事時代には台風対応を放り出し、沖縄で選挙応援→万博のためヨーロッパ外遊に出かけた松井一郎
市民の命と安全を守ることには目を向けることもなく、党勢拡大で頭がいっぱい──。あまりにも市長として無責任だと言わざるを得ないが、松井氏の「市民・府民軽視」はいまにはじまった話ではもちろんない。
実際、松井氏が大阪府知事を務めていた2018年9月には、大阪は台風21号の直撃を受け、家屋倒壊や冠水、停電や倒木などの被害に見舞われたが、松井氏はとくに南部で大きな被害が出た同月4日まで目立った情報発信をほとんど何もせず、自ら陣頭指揮を取るべき災害対策本部も設置せず。さらには、府内で停電がつづくなど多くの府民が不自由な生活環境に置かれているさなかに、松井氏はなんと沖縄県知事選の自公候補・佐喜真淳氏を応援するために沖縄入りし、挙げ句、9日からは万博開催地投票対策と称してイタリア、デンマーク、ハンガリーの3カ国を回る1週間の外遊に出かけてしまったのだ。しかも、台風被害により関西国際空港が使えないため、わざわざ愛知の中部国際空港セントレアから出発したのである。
さらに、記憶に新しいように、大阪では昨年の10月下旬からコロナの新規感染者数が右上がりとなっていたというのに、松井市長は吉村洋文・大阪府知事と一緒になってわずか5年前に否決されたばかりの「都構想」の2度目の住民投票の運動にかまけ、案の定、11月には人口比でいえば東京を上回る感染拡大を招いた。
しかも、松井市長が言語道断なのは、このように市民の命と安全を守るという責務を果たそうともしないくせに、市民に要請しているコロナ対策を破って「維新30人大宴会」に参加していた件について、いまだに市民に対して謝罪の一言も口にせず開き直っていることだ。
一体どうしてこのような男やその輩どもが支持されてしまうのか──。大阪市をめぐっては、カジノ建設予定地である夢洲の土壌改良などに約800億円を市が負担するという概算をまとめたというが、大阪市民はこの男にお灸をすえなければ、ますます増長し、安全面でも経済的にも市政は取り返しがつかないことになるだろう。そして、これが維新代表の実態なのだということを、全国の有権者は忘れないでほしい。(編集部)