2021年12月24日金曜日

過去最高の人数が炊き出しに並びました(FRIDAY/田中龍作ジャーナル)

 コロナ禍による庶民の困窮は悲惨を極めています。「反貧困ネットワーク」にSOSの連絡をしてくる人の6割が20代から30代の若者だということで、公園などで野宿して過ごしていた人たちが寒さに耐えられなくなって電話してくるということです。

 いまは女性の野宿者も増えているということです。コロナが始まるまでは『普通に働き、普通に暮らしていた』人が困窮しているのです。感染自体は瞬間的に収束したかに見えても「コロナ終息後の地獄」は変わりません。
 炊き出しで食料支援をしているグループの話によれば、11月27日の炊き出しには、史上最高の472人が並びました。19年の同時期は145人、昨年が293人でした。472人3分の1がホームレスの状態にある人で、あとの3分の2は『住む家はあるけれど、お金がない、仕事を失った』人たちということです。
 FRIDAYデジタルが、「過去最高人数が炊き出しに並ぶ『コロナ後の地獄』の現実」を報じました。
 田中龍作ジャーナルの「450食が35分ではけた 誰もが食料配布に並ぶ可能性」を併せて紹介します。
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【年末年始の支援情報付き】
過去最高人数が炊き出しに並ぶ「コロナ後の地獄」の現実
                     FRIDAYデジタル 2021年12月22日
コロナ禍の困窮…現場はいまだ「緊急事態」
「各地の炊き出しには大勢の人が並んでいる。新型コロナが広がってから1年9か月。感染は収束したようにみえますが、コロナによる困窮はまったく収束をみせず、さらに深刻化しています」
こう語るのは「反貧困ネットワーク」の瀬戸大作さんだ。
昨年よりも、かなり厳しい状況です。僕のところにSOSの連絡をしてくるのは、全体の6割が20代から30代の若者です。コロナ禍に仕事を失い、春、夏の間は公園で野宿して過ごしていた若い人たちが、ここにきて寒さに耐えられなくなって電話してくるんです」
もう、外で寝られる季節ではない。

2021年は、過去最高人数が炊き出しに並んだ年
炊き出しで食料支援をしている「特定非営利活動法人 TENOHASHI」代表の清野賢司さんは、
「先月、11月27日の炊き出しには、史上最高の472人が並びました。2019年の同時期は145人、昨年が293人。今年に入って、並ぶ人は右肩上がりに増え続けています。3分の1が、ホームレスの状態にある人で、あとの3分の2は『住む家はあるけれど、お金がない、仕事を失った』という人です。
先日の相談会にきた男性は28歳で、失業手当がまもなく切れる、貯金も底を尽きたと言います。『仕事が見つかるまで、なんとか生きるために並んでいます』と。あちこちの炊き出しを回って食費を節約しているんです。これまで、かろうじて踏みとどまっていた人がその綱渡りから転落していく、それが今の状況です」
「医療相談会にも過去最多の人が訪れました。風邪や腰痛といった体の不調だけでなく、心の相談が増えている。住まいのない方のためのワクチン接種も進めています」(認定NPO法人 世界の医療団·武石晶子さん)
民間の支援団体が、公園などを会場に行なっている「相談会」は、どこも利用者が増え続けているのだ。行政に繋がり、生活保護などの支援に辿りつける人ばかりではない。
「精神的な困難を抱えて、野宿生活をしている人がいます。そして今、女性の野宿者が増えているんです。この寒いなか、なんでこんなに多くの人が、公園で野宿しなければならないのか…」(瀬戸さん)

「いつも不況だった」女性の苦しみが炙り出された2021年
女性のための相談会を行なっている実行委員会のひとり「一般社団法人 エープラス」の吉祥眞佐緒さんは、きっぱりと言う。
「コロナで、女性不況という言葉が言われています。けれども、女性は今までだってずっと『不況』だったんです。それが、コロナ禍に顕在化しただけ。DVの相談も増えています
ある日突然、夫から『家を出ていってくれ』と言われるんです。子どもを連れて追い出される。かと思えばある日突然、夫が出ていった、というケースも。どちらにしても、収入のない専業主婦の妻は途方にくれます。相談窓口にたどりついても、交渉ごとに慣れていない女性は支援を諦めてしまう。そんな現状をみて『女性のための相談会』を行なっています。相談を受けるのも、ボランティアも全員女性です」
女性にとって、相談会に出向き、個人的なことを話すのは「ハードルが高い」と、吉祥さんは言う。12月25日、26日の2日間、新宿区の大久保公園で「女性による女性のための相談会」が実施される。ここでは、生活相談、医療相談を受け付け、食料や生活用品の用意もあるという。
「屋外の会場ですが、温かいお茶を用意しています。困っていることがある人は、どうか相談会にいらしてください」(同実行委員会)

寒い路上で寝る人がいないように
コロナ禍にあって、民間の支援団体の活動は根気強く進められているが、「そろそろ限界に近づいている」という。年末年始、住まいのない人のための支援を東京都に要望した
「役所が休暇に入る期間、路上の人、困っている人の行き場がなくならないように、年末年始は各団体が支援の場を開設します。隙間なく相談会などを行うことで、誰ひとり取りこぼさないようにしたい」(瀬戸さん)
東京都内では「年越し大人食堂」(12/30、1/3開催)、「年越し支援コロナ・被害相談村」(12/31、1/1)、「TENOHASHI」(12/29、31、1/2)など、いくつかの民間団体が、日程、時間をずらして相談会を実施する。
「この間まで『普通に働き、普通に暮らしていた』人が、困窮しているんです。コロナ収束後の地獄です。寒空の下、公園で眠る人がいてはいけない。このままでは、国が潰れてしまう。これはもう、ひとごとではないと感じています」(瀬戸さん)
一見「落ち着いた」ように見える今。聞こえてくる悲鳴に、われわれの社会はどう答えるべきだろうか。

【2021-2022@東京 年末年始に利用できる支援情報】
12月25日(土)、26日(日)女性による女性のための相談会/11:00〜17:00(受付終了16:30、雨天でも開催)場所:新宿大久保公園 
連絡先:sodanforher@gmail.com
12月27日(月)、28日(火)、29日(水)、30日(木)東京都による一時宿泊場所提供の受付[公]/10:00〜17:00(28日のみ 〜20:00)
場所:TOKYOチャレンジネット(新宿区歌舞伎町2-44-1 東京都健康プラザハイジア3階)
12月29日(水)TENOHASIよる炊き出し・相談会・衣類配布/15:45〜衣類配布、17:00〜医療・生活相談(18:30受付終了)、18:00〜炊き出し(なくなり次第終了)場所:東池袋中央公園
12月30日(木)、1月3日(月年越し大人食堂2022(四谷)/12:00〜17:30 場所:聖イグナチオ教会 (※会場としてお借りしている聖イグナチオ教会へのお問い合わせはお止めください)食事提供、衣類配布、相談会
12月31日(金)、1月1日(土)コロナ被害相談村/11:00〜16:00(31日は〜17:00) 場所:新宿区立大久保公園 食糧支援、相談会
1月2日(日)東京都による一時宿泊場所提供の受付[公]/10:00〜17:00 場所:TOKYOチャレンジネット
TENOHASIよる炊き出し・相談会/17:00〜医療・生活相談(18:30受付終了)、18:00〜炊き出し(なくなり次第終了)場所:東池袋中央公園


450食が35分ではけた 誰もが食料配布に並ぶ可能性
                    田中龍作ジャーナル 2021年12月11日
 昭和の栄華を象徴する池袋サンシャインシティの裏手にひっそりとたたずむ東池袋中央公園。
 毎月第2・第4土曜日、ここで食料・衣料の配布と医療・生活相談が行われる。(主催:NPO法人TENOHASI)
 夜の帳が下り始めた公園に足を踏み入れた田中は驚いた。大蛇がくねったように人々は列を作っているのだ。午後6時ちょうど開始の食料配布を待っているのである。
 一番乗りは60代の男性。常連だそうだ。会場設営のボランティアスタッフよりも早く来ているという。「僕たちが来るのは午後2時ですからね。その時はもういらっしゃってます」。男性スタッフは舌を巻く。
 食料を求める列にひときわ若い男性がいた。30代という。水質調査会社にいたが3年数か月前に辞めた。
 以来、貯蓄を取り崩しながらのネカフェ暮らしだった。そうこうしているうちに体を壊した。歩けないほどの腰痛に襲われ、自律神経系の病気にも見舞われた。貯蓄は尽きた。
 ニッチもサッチも行かなくなっている時に東池袋中央公園の生活相談を知った。10月の最終週に福祉とつながることができた。今は生活保護を利用しながらの暮らしである。

 スーツ姿の男性(60代)もいた。ジワジワと収入が減っていったのだろうか。それともいきなり収入が途絶えたのか。いずれにしろ生活が苦しいことだけは確かだ。
 スタッフによると、用意する食料は回を追うごとに増えているそうだ。
 きょう11日、用意していた450食(酢豚弁当、パン、フルーツ)はわずか35分ではけた。
 「私もいずれ並ぶ側に入るのかなあ」。田中が一人ごちると、やさしそうな女性スタッフは「皆、そうです。安心感なんてありませんよ」と応じた。
 国会を揺さぶっている文通費も大事な問題だが、食事にありつけない人々が増える一方であることに、政治は目を向けなければならない。
   ~終わり~