2021年12月10日金曜日

根拠のない断定で共産党を叩く異常  毎日新聞コラム「風知草」を批判する

 毎日新聞6日付のコラム「風知草」に、「共産党、政権参加なら=山田孝男」とのタイトルで、根拠も示さずただひたすら日本共産党を叩くという異常な記事が載りました。

 それに対して植木俊雄・広報部長が「 ~ 『毎日』コラム『風知草』を批判する」という記事を出しました。
 山田氏はコラム「風知草」で、第4回中央委員会総会の決定で、「総選挙後、支配勢力や一部メディアが喧伝する『野党共闘は失敗』という大キャンペーンは、事実にまったく反するデマ攻撃」と批判したことを、「宣伝口調の断定」と述べました。
 しかし「野党共闘は失敗」というのは、一部のメディアが「ためにする宣伝」であり 大きな成果を挙げたことは明らかです。決して「宣伝口調の断定」などではありません。
   ⇒(11月29日)「野党共闘失敗」論 まったくデマ 結果に見るこれだけの効果
 また山田氏は、共産党の綱領に対し「現実離れしている」と批判しました。
 その中で 日米安保条約解消については、日本の政府が米国いいなり政治に陥っている根本には日米安保条約という「現実」があるわけで、共産党は「国民多数の合意で日米安保条約を解消することを綱領に謳っており、植木部長は、そのどこが現実離れしているというのかと反論しています。そして共産党の綱領の立場が「現実離れ」しているというなら、どこがどう「現実離れ」なのかを、具体的に論ずるべきであると述べています。
 また山田氏は天皇制度について、共産党の綱領が、「現制度は、民主主義および人間の平等の原則と両立するものではなく、 その存廃は、将来、情勢が熟したときに、国民の総意によって解決されるべきものである」と謳っていることに対して、「綱領の感覚は、国民の8割近くが象徴天皇制を支持している現代の世論調査とは懸け離れている」と述べています。
 しかしそれは天皇の制度に対する共産党の将来の態度を述べたもので、現時点での中心課題、「天皇条項については、『国政に関する権能を有しない』などの制限規定の厳格な実施を重視し、天皇の政治利用をはじめ、憲法の条項と精神からの逸脱を是正する」としているのであって、これは多くの国民の同意を得られるす。
 実際 山田氏自身、志位委員長へのインタビューのなかで、安倍内閣13428「主権回復の日」に天皇夫妻を出席させるという「天皇のあからさまな政治利用について「良くなかった」と認めています。
 植木部長は、天皇の制度に対する共産党綱領の立場については、志位委員長が山田氏のインタビューに応えて約1時間かけて詳しく説明したことを明らかにし、この綱領の規定を一切無視して、将来の態度を述べた部分のみを引用し、「現代の世論調査とは懸け離れている」と断定するやり方フェアな議論といえないとしています。
 総じて山田氏の批判の論法は、根拠も示さずただひたすら共産党を叩くことに尽きているのですが、あまつさ(剰)え、太平洋戦争での戦争指導者たちが「過去の成功にとらわれた慢心、帝国は無敵・無謬という過信、人々の意思疎通の欠如、責任回避」に陥っていたとした上で、「教訓は現代の政治にも当てはまる」としてそれと同様であるかのように共産党の綱領を批判するに至っては、「度を超した漫罵」(志位委員長)というしかありません。
 植木部長は、歴史の教訓を言うのなら、1931年の「満州事変」以来、日本の侵略戦争をあおり、太平洋戦争では大本営発表を垂れ流し、国民を戦争に駆り立てていった毎日新聞をはじめ大手紙の責任こそ振り返るべきであると述べ、一部メディアの知的堕落、知的退廃の深さを感ぜずにはいられないと結んでいます。猛省すべきは山田氏の方です。
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根拠ない断定で、日本共産党を叩く異常 ―「毎日」コラム「風知草」を批判する
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 「毎日」6日付の山田孝男特別編集委員によるコラム「風知草」は、根拠のない断定で日本共産党を叩(たた)くという異常な内容となっています。
 山田氏はコラムで、日本共産党が第4回中央委員会総会決定で、「『野党共闘は失敗』という大キャンペーンは、事実にまったく反するデマ攻撃」と述べたことに対して、「宣伝口調の断定」と述べています。
 日米安保条約、自衛隊、天皇の制度などについての日本共産党綱領の立場を、「現実離れも、私から見れば度を超している」と断定し、「政権参加を狙うのなら現綱領の絶対視は改めるべき」と綱領の改定を迫っています。
 問題は、山田氏がこれらの断定をするさいに、何の根拠も示さず、ただひたすら叩くという態度をとっていることです。
 同コラム執筆のために山田氏が志位和夫委員長に行ったインタビューに同席したものとして、氏の態度がジャーナリストとして許されるのか、厳しく検証しておきたいと思います。

「野党共闘は失敗」という議論への反論は、「宣伝口調の断定」か
 4中総決定では、総選挙で野党共闘が確かな成果をあげたことを、「共闘勢力」で一本化した59選挙区で勝利したことをはじめ、具体的な事実を示して明らかにしています。
 わが党が4中総決定で、「野党共闘は失敗」と非難する大キャンペーンに反論したことが気に入らないなら、「宣伝口調の断定」という断定でなく、わが党が示した具体的事実に照らして論ずるべきではないでしょうか。

日米安保条約の解消――どこが「現実離れ」かを具体的に論ずるべきではないか
 党綱領に対する批判も同じです。
 わが党は、国民多数の合意で日米安保条約を解消することを、綱領路線の根本にすえています。これは「現実離れ」した主張でしょうか。
 沖縄県民の民意を無視した米海兵隊のための辺野古新基地建設。青森県での人家間近への米軍機の燃料タンク投棄。全国で横行する米軍機の無法な低空飛行訓練。安保法制にもとづく海外で戦争する国づくりの動き。これらは私たちに突き付けられた「現実」であり、異常な米国いいなり政治の根本には、日米安保条約という「現実」があります。
 わが党綱領の立場が「現実離れ」しているというなら、どこがどう「現実離れ」なのかを、具体的に論ずるべきではないでしょうか。

天皇の制度――党綱領の一部を抜き出し「世論調査と懸け離れている」と断定
 天皇の制度についての党綱領に対する批判も同じです。
 山田氏は、「現制度は、民主主義および人間の平等の原則と両立するものではなく、(中略)その存廃は、将来、情勢が熟したときに、国民の総意によって解決されるべきものである」という党綱領の一節を引き、「(と書く)綱領の感覚は、国民の8割近くが象徴天皇制を支持している現代の世論調査とは懸け離れている」とのべています。
 しかし、山田氏が引用した党綱領の一節は、山田氏の引用の中でも明示されているように、天皇の制度に対するわが党の将来の態度をのべたものです。党綱領では、山田氏が引用した一文の前に、現在、わが党が最も力をそそぐべき中心課題について、次のように明記しています。
 「天皇条項については、『国政に関する権能を有しない』などの制限規定の厳格な実施を重視し、天皇の政治利用をはじめ、憲法の条項と精神からの逸脱を是正する
 この現在求められる中心課題については、多くの国民の同意を得られる内容ではないでしょうか。山田氏自身、志位委員長へのインタビューのなかで、「主権回復の日」(2013年4月28日)に天皇夫妻を出席させた安倍内閣による天皇のあからさまな政治利用について、「良くなかった」と認めたものでした。
 この綱領の規定を一切無視して、将来の態度をのべた部分のみを引用し、「現代の世論調査とは懸け離れている」と断定するやり方が、フェアな議論といえるでしょうか

自らのインタビューへの志位氏の回答を一切無視し、「現実離れ」とひたすら叩く
 天皇の制度にたいする党綱領の立場については、山田氏のインタビューにこたえて、志位委員長が詳しく説明していました。志位氏は、山田氏の質問にこたえて、つぎのような党綱領の立場を、約1時間かけてのべました。
 ――天皇の制度については、日本国憲法に明記されている「国政に関する権能を有しない」などの制限規定の厳格な実施と、憲法から逸脱した政治利用を許さないことが、党の基本的立場であること。
 ――天皇の制度は憲法上の制度であり、将来の問題として、この制度の存廃は、情勢が熟したときに、国民の総意によって解決されるべきものであること。
 ――こうした綱領の立場は、天皇の地位の根拠を「主権の存する日本国民の総意に基く」と明記した日本国憲法第1条にも合致したものであること。
 ――山田氏は、志位氏へのインタビューのなかで、天皇を「超越的なもの」ととらえる特異な天皇論を執拗(しつよう)に主張しましたが、現憲法では天皇の地位は主権者である国民の総意に基づいており、主権者の上に天皇を置く議論は日本国憲法では成り立たず、それは戦前の大日本帝国憲法のものであること。
 ところが、山田氏は、志位氏のこうした説明を一切紹介することなく、党綱領の立場を「現実離れ」と断定しています。志位氏は、ツイッターへの投稿で山田氏のこうした態度を、次のように批判しています。
 「私の言い分を紹介した上で自説を述べるなら理解できる。それを一切無視し『現実離れ』とひたすら叩く。これでジャーナリストと呼べるか」

戦争指導者と重ね合わせて共産党攻撃――「度を超した漫罵」
 山田氏は、太平洋戦争での戦争指導者たちが、「過去の成功にとらわれた慢心、帝国は無敵・無謬(むびゅう)という過信、人々の意思疎通の欠如、責任回避」に陥っていたとし、「教訓は現代の政治にも当てはまる」として、党綱領を批判しています。志位氏は、ツイッターで、山田氏のこの姿勢について、次のように批判しています。
 「Y(山田)氏も日本共産党が侵略戦争に命がけで反対を貫いた事実を知らないはずはなかろう。こともあろうに戦争指導者と重ね合わせて共産党を攻撃するとは、度を超した漫罵ではないか」
 「共産党に対しては何を言っても許される。そんな空気が蔓延(まんえん)してしまったら日本の民主主義は危うくなる。巨大メディアに強く警鐘を鳴らさないわけにはいかない」
 歴史の教訓を言うのなら、1931年の「満州事変」以来、日本の侵略戦争をあおり、太平洋戦争では大本営発表を垂れ流し、国民を戦争に駆り立てていった「毎日」をはじめ大手紙の責任こそ振り返るべきでしょう。
 軍部の行動を賛美し、絶対視した大手紙の報道こそ、「帝国は無敵・無謬」という国民の認識を生んだのであり、今日の日米同盟「絶対視」に通じるものがあると、厳しく指摘しないわけにはいきません。
 志位氏は、山田氏のコラムについて、ツイッターで、「Y(山田)氏は以前、派遣労働での私の国会質問に注目を寄せ、私はある信頼をもってインタビューを受けた。それだけに今回のコラムは無残な思いがする」とつづっています。
 今日の一部メディアの知的堕落、知的退廃の深さを感ぜずにはいられないコラムというほかありません。  (植木俊雄 日本共産党広報部長)