2021年12月12日日曜日

12- 「政治とカネ」核心は政党活動費(植草一秀氏)

 植草一秀氏が、「『政治とカネ』核心は政党活動費」とする記事を出しました。

 2009年の政権交代を主導した小沢一郎氏と鳩山由紀夫氏は、日本政治の根本的な刷新をして欲しくない体制側(米国の意向を含む)によって人物破壊工作の標的にされました
 検察によってでっちあげられた「西松事件」と「陸山会事件」は、メディアを総動員した「小沢叩き」となり、体制側(とそれに従属する検察)の狙いは見事に成功しましたが、余りにもデタラメな二つに訴訟騒ぎはそのまま検察の一大汚点になりました。
 この謀略事件を仕立てられたなかで小沢一郎氏は「政治とカネ」問題を根本的に解決する企業団体献金全面禁止という画期的提案をしました。しかし鳩山由紀夫首相が体制側の「人物破壊工作」を受けて退場したのちは、菅直人・野田佳彦政権によって闇に葬られました。
 爾来、日本政治の腐敗がまったく変わらぬまま今日を迎えています
 目下、「文通費問題」が俎上にあがっていて維新が正義の味方を演じていますが、維新にはとてもそんな役割を演じる資格はありません。日割りにすることは当然としても、維新がしているようなセルフ寄付、セルフ領収書というような茶番で収まる話ではありません。
 植草氏は、この機会に「政治とカネ」問題の根幹を刷新することが必要不可欠だとのべていますが、共産党以外に果たしてそれが出来る政党はいるのでしょうか
 本来であれば公正な委員会を立ち上げるべきなのですが、それもまともな政権の下でなければ到底無理です。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「政治とカネ」核心は政党活動費
               植草一秀の「知られざる真実」 2021年12月11日
「政治とカネ」問題こそ最優先の政治課題。
2009年に小沢一郎氏の公設第一秘書が突然逮捕された。
西松建設関連の政治団体からの寄付を事実通りに記載して提出したことが「虚偽記載」だとして検挙された。
西松建設関連の二つの政治団体である新政治問題研究会と未来産業研究会から寄付を受けた政治家資金管理団体数は二桁にのぼる。
二階俊博議員の資金管理団体も含まれていた。
すべての資金管理団体が二つの政治団体からの寄附として収支報告書に記載して提出していた。
そのなかで、小沢一郎氏の資金管理団体の収支報告だけが「虚偽記載」とされた。
しかも、秘書がいきなり逮捕・勾留された。
これが悪名高い「西松事件」。
麻生内閣の漆間巌官房副長官は「この件は自民党には波及しない」と発言した。
2010年1月13日にこの事件の第2回公判が開かれた。
西松建設元取締役総務部長の岡崎彰文氏が証言した。
岡崎氏は二つの政治団体には事務所もあり、専従職員もおり、政治団体としての実体があったと証言した。
この結果、小沢氏の資金管理団体収支報告が完全に適法、合法であったことが明らかになった。

検察は直ちに公訴を取り下げるべきだったが、さらなる暴走に突き進んだ。
この国の刑事司法腐敗は目を覆うばかり。
日本政治の刷新を妨害するために検察権力が不正利用された。
西松事件で空前絶後の失態を演じた検察は小沢氏資金管理団体が2004年10月に代金決済し、2005年1月に移転登記を終えた世田谷区所在不動産の取得を2005年の収支報告書に記載して提出したことを「虚偽記載」だとして、再び小沢一郎氏資金管理団体の会計責任者らを逮捕、勾留した。
西松事件第2回公判の2日後のことだ。
これが悪名高い「陸山会事件」。
現職衆議院議員の石川知裕氏までが逮捕、勾留された。
この事件も公判で、商法と会計学の専門家が2005年の収支報告書に記載して提出するのが適正であるとの専門家意見を述べたから、完全な合法、適法措置であったことが明らかにされた。

日本政治刷新を妨害するために2009年の政権交代を主導した小沢一郎氏と鳩山由紀夫氏が人物破壊工作の標的にされた。
日本政治が完全腐敗していることが改めて確認された事案だった。
小沢一郎氏は2009年5月11日に民主党代表を辞任する意向を表明。
メディアによる小沢氏批判が猖獗を極め、衆院総選挙に悪影響が生じることを回避するため、節を曲げて辞意を表明したものだ。
引責辞任ではなく、その結果、党幹事長の地位にあった鳩山由紀夫氏が後継代表に就任できた。

この謀略事件のなかで小沢一郎氏は「政治とカネ」問題を根本的に解決する画期的提案を示した。企業団体献金全面禁止を提案したのだ
これが2009年8月衆院総選挙に向けての民主党政権公約の重要支柱のひとつになった。
企業献金が許されるため、資金力で圧倒的優位な大資本が政治を支配してしまう。
与党政治家は大資本が提供する巨大資金によって賄賂政治に陥ってしまう。
これが「政治とカネ」問題の根幹だ。
ところが、2010年6月に鳩山内閣が民主党内クーデターによって破壊され、既得権勢力傀儡政権である菅直人内閣、野田佳彦内閣が樹立されると、企業団体献金全面禁止公約は闇に葬られた。
爾来、日本政治の腐敗がまったく変わらぬまま今日を迎えている。
前置きが長くなったが、今次臨時国会で「文書通信交通滞在費(文通費)」の制度変更が検討されている。
10月31日に総選挙があり、10月に衆議院議員の地位にあった日数が1日なのに丸々1ヵ月分の文通費が支払われるのはおかしいとの声が発せられ、論議を呼んだ。
日割りにすることは当然だが、「政治とカネ」問題の根幹はこれにとどまらない。
「政治資金規正法」が制定された目的は「政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにする」ことであり、同法は、政治資金が「国民の浄財であることにかんがみ、収支の状況を明らかにする」と定めている。
ところが、政治資金のゆくえに巨大な闇が存在する。
この闇に光を当てることなく「政治とカネ」問題は解消しない。
維新が正義の味方を演じているが、維新も「政治とカネ」の闇を抱え込んだままだ。
この機会に「政治とカネ」問題の根幹を刷新することが必要不可欠だ。

鳩山友紀夫元首相との対談(アジア共同体研究所主宰YouTube動画「UIチャンネル」)
https://bit.ly/39BTgmd 
10月5日発売の鳩山友紀夫元首相、孫崎享氏、前川喜平氏との共著『出る杭の世直し白書(ビジネス社)
https://amzn.to/3hSer8a のご高覧も賜りたい。
             (以下は有料ブログのため非公開)