立憲民主党(立民党)の新しい代表に泉健太氏が選ばれました。泉氏は国民民主党(国民党)に最も近く、かつては前原誠司氏と親密な関係にありました。代表に選ばれた後、メディアから野党共闘・政策協定についての考え方を問われ、「あれは衆院選に限定されたものと考えている」と答えました。
代表選中にはそういう発言はなかったと思うので、初めて本心を披歴したということでしょうか。それは、繰り返し反共を叫び、立民と国民両党の再統一を主張している連合の芳野会長が大喜びするものですが、果たして立民党の総意なのでしょうか。
共産党の志位委員長が、4野党の政策協定は「今後も継続されるものである。立民党には引き続きそれを維持して欲しい」という趣旨の発言をしたのは極めて当然のことです。
植草一秀氏が、「水と油同居 元祖民主へ回帰寸前」とする記事を出しました。
かつての民主党はいわば健全な野党精神を持った部分と自民党に連帯したい部分とが同居していました。それが先年立民党と国民党に分かれてようやくスッキリしたばかりでしたが、それをまた旧来の民主党に回帰しようとする動きだという指摘です。
そのなかで、「泉健太氏は4人の候補者のなかでもっとも右寄りに立つ人物。共産党を含む野党共闘に対しても否定的な考え方を有すると考えられる。連合と連携する姿勢も明確」と述べ、「そもそも連合の支配権をもっているのは、労働者全体の6%でしかない大企業御用組合の『六産別』で、労働者を代表する存在ではなく既得権勢力の一部、その立場を代表しているのが国民党だ」と断じています。
そして「立民党が大多数の労働者市民の側に立つ政党であるなら、連合と袂を分かつことが必要だし、連合と共に歩むということであれば、国民党と違いがなくなるので立民党はそこに合流するのが適切だ」とし、「一般労働者の利害を代表する中核政治勢力が共産党以外に不在になれば新たな政治勢力の創設が求められるが、それに適合するのはれいわ新選組で、そこにより大きな市民勢力の結集が求められる」と述べています。
どうなるのかここしばらくは立民党の動きから目が離せません。
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水と油同居元祖民主へ回帰寸前
植草一秀の『知られざる真実』 2021年11月30日
立憲民主党が新代表に泉健太氏を選出した。
泉健太氏は4人の候補者のなかでもっとも右寄りに立つ人物。共産党を含む野党共闘に対しても否定的な考え方を有すると考えられる。連合と連携する姿勢も明確。
連合は共産党との共闘を「あり得ない」と明言している。
これが「連合」の総意だとすれば、連合はもはや労働者を代表する組織ではない。
連合加盟の労働者は約700万人。全労働者の1割に過ぎない。
連合の支配権を確保しているのは「六産別」電力、電機、自動車、鉄鋼、機械・金属、繊維・流通等の各産業の大企業御用組合連合だ。六産別所属の労働者が約400万人。
大企業御用組合の労働者は既得権勢力の一部。労働者全体の6%でしかない「六産別」は労働者を代表する存在ではなく、既得権勢力の一部だ。
立憲民主党が大多数の労働者市民の側に立つ政党であるなら、連合と袂を分かつことが必要。
連合と共に歩むということであれば、立憲民主党は既得権勢力の政党になる。この位相に立つのが国民民主党。
国民民主党と違いがなくなるわけで、立憲民主党は国民民主党と合流するのが適切だ。
立憲と国民と維新で第二の守旧政党を創設するのが分かりやすい。
他方、多くの主権者、労働者、市民は、これらの勢力と立場を異にする。
一般労働者の利害を代表する中核政治勢力が不在になった。新たな政治勢力の創設が求められる。
この位相に位置するのがれいわ新選組。より大きな市民勢力の結集が求められる。
泉新代表の下で立憲民主党は野党共闘のあり方を見直すだろう。
泉氏の選挙区である京都府では立憲民主党と共産党が敵対している。
立憲民主党は野党共闘を否定し、自民党と共同歩調を歩むスタンスを示している。
これが国政に反映されるだろう。
守旧勢力としての立憲民主党を支持する主権者は激減するだろう。
同時に、連合の再編も必要になる。連合六産別は旧同盟の系譜を引く。
革新勢力の大同団結を妨害することがそもそものミッション。
旧総評系の労働組合は六産別が仕切る連合に加盟し続ける意味を失っている。
連合は大企業御用組合連合と労働組合連合に分割されるべきだ。
一般労働者の利害を代表する労働組合連合を支持母体のひとつとする新しい革新政党が求められる。
政党の分化は基本政策路線の相違に基くべき。
戦争法制
原発
消費税
に対する基本路線が明確であることが必要。
連合六産別は戦争法制を容認し、原発稼働を容認し、消費税増税を容認する色彩を濃厚に有する。完全な守旧勢力。
したがって、連合六産別を支持母体とする政党も守旧勢力ということになる。
日本の主権者は新たな革新勢力の核を見出さねばならない。立憲民主党議員のうち、立憲民主党の連合路線に賛同できない人々は離党して新党を創設するべきだ。
泉氏が率いる立憲民主党は守旧勢力としての本質を鮮明に浮かび上がらせるのがよい。
共産党は立憲民主党との共闘のあり方を根本から見直す必要がある。
れいわ新選組、社会民主党も立憲民主党との共闘関係を、解消を含めて見直すべきだ。
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