2021年12月25日土曜日

オミクロン株で吉村知事が 寝屋川市長の迅速対応の手柄を横取り

 吉村洋文・大阪府知事の「やってる感」アピールは相変わらずで、大阪で渡航歴のない家族3人がオミクロン株に感染(市中感染)していたこと公表した際も遺憾なく発揮されました。

 オミクロン株陽性になった父は寝屋川市小学校の教員でした。吉村氏は、
その学校については全数検査をおこないます。現在すでに休校中です」「その学校の生徒さん、小学校の生徒全部検査をやる」などと、すべては自分のリーダーシップで万全の態勢をとった”かのような口ぶりでした。

 しかし実際は、すべては寝屋川市の広瀬慶輔市長(非維新)が20日、
〈全教職員の「全員スクリーニング検査」と、担当したクラスの「部分スクリーニング検査」等を行います〉〈全教員の検査結果判明までの間休校となります〉とツイッターに投稿し、21日には全教職員のPCR検査を実施しました。
 22日にオミクロン株感染が判明し、さらに別の教職員1人もコロナ陽性であることが判明すると、広瀬市長は〈さらに範囲を拡大して全校児童のスクリーニング検査を実施します〉〈全教職員の検査の結果、新たに担任教員1名(市外)の感染が確認されたことから、2名の教員が担当したクラスの児童全員の行政検査を実施し、結果に関わらず2週間の自宅待機となります〉
完璧な『寝屋川モデル』を実行したことを報告していました。それを吉村氏は、いわば自分が仕切ったかのように発表したのでした。

 それに対して記者から、「寝屋川市は以前からPCR検査、拡大検査に積極的な市町村だった。そういった前向きな姿勢がオミクロンの早期発見につながったのでは」と尋ねられると、「そこはあまり関係ない」として寝屋川市の独自方針で実施された全校児童への検査も「最終的には僕が判断」と語っただけでなく、何ら寝屋川市の取り組みを評価することなく「寝屋川市は関係ない」と否定したのでした。恐れ入る話です。
 そこまで広瀬市長の功績を無視したがるのは広瀬氏が「非維新系」だからなのでしょうか。いずれにしても驚くべき自己顕示欲で、また実に抜け目のない人です。これでは大阪のおばちゃんたちがひたすら吉村氏を応援するのもむべなるかなです。
 LITERAの記事を紹介します。

追記)抜け目がないと言えば、2000年代初頭、サラ金の武富士は反社会的な取り立てや業務の違法性などを指摘するメディアに対し、巨額な賠償金を要求する訴訟=言論萎縮を目的とした「スラップ訴訟」=を連発していましたが、その当時吉村氏は武富士側の最若手の弁護士でした。
 ⇒ 維新の会 消したい過去/吉村知事は、悪質サラ金「武富士」の弁護士だった・・今日の赤旗記事 
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
オミクロン株で吉村知事が手柄横取りのやってる感演出! 非維新の寝屋川市長の迅速対応を「僕の判断」、ネットでは“僕村”のあだ名
                             LITERA 2021.12.24
 大阪府に続き東京都や京都府など、感染力がこれまで以上に高いと言われているオミクロン株の市中感染例が相次いでいる。これが第6波のはじまりとなる危険は高まっており、さらなる対策が求められているが、そんななか、またも吉村洋文・大阪府知事の「やってる感」アピールが目につくようになってきた。
 吉村知事といえば、22日に府内で渡航歴のない家族3人がオミクロン株に感染していたことが確認されたと公表。これが国内初の市中感染事例となったわけだが、この日おこなわれた定例会見で吉村知事はこう述べた。
「今回、オミクロン株陽性になったお父さんについては、教員をされているということで、その学校については全数検査をおこないます。現在すでに休校中です」
「学校の教員をされていますので、その学校の生徒さん、小学校の生徒全部(検査を)やる」
 すでに休校措置をとっている、小学校の児童全員の検査もやる──。まるで“僕のリーダーシップで万全の態勢をとった”かのような口ぶりだが、しかし、これは吉村知事の手柄ではまったくない
 というのも、今回オミクロン株への感染が確認された小学校教員はすでに報道されているとおり寝屋川市の小学校に勤務しているのだが、寝屋川市では独自に「学校園・保育所における対処方針」を設けており、今回もそれに則って対応。そのため、20日に小学校教員のコロナ陽性が判明した時点で、ただちに全児童を下校させて完全休校の措置をとっていたのだ。
 実際、寝屋川市の広瀬慶輔市長は20日、自身のTwitterで〈全教職員の「全員スクリーニング検査」と、担当したクラスの「部分スクリーニング検査」等を行います〉〈全教員の検査結果判明までの間休校となります〉と投稿。21日には全教職員のPCR検査を実施し、22日には20日の陽性確認者がオミクロン株に感染しており、別の教職員1人もコロナ陽性であることが判明すると、広瀬市長は〈さらに範囲を拡大して全校児童のスクリーニング検査を実施します〉〈全教職員の検査の結果、新たに担任教員1名(市外)の感染が確認されたことから、2名の教員が担当したクラスの児童全員の行政検査を実施し、結果に関わらず2週間の自宅待機となります〉と報告していた。

寝屋川市の広瀬市長が主導した全校検査・迅速な休校を吉村知事が自分の判断のようにPR
 寝屋川市の広瀬市長といえば、まだ市内で新型コロナの感染者が確認されていなかった昨年2月下旬の段階からいち早く感染者が学校等から出た場合の休校・休園措置を決定したほか、昨年5月から自宅療養者や濃厚接触者で自宅待機中の人、その同居家族を対象に食事を無料で届ける配食サービスを開始。昨年市内すべての児童や生徒にタブレットを配布するなど環境を整備し感染拡大期にはオンライン授業を実施したり、ワクチン接種でも高齢者の年齢や施設ごとに細かく優先順位を設け、独自の基準によって保育士や教員などの優先順位を引き上げるなどの「寝屋川モデル」を実行してきた。
 このように、広瀬市長はコロナ対応で先進的な取り組みを数々おこなってきたのだが、なぜかメディアは後手後手でしかない吉村知事ばかりをクローズアップ。しかも、広瀬市長は維新王国の大阪にあって「非維新」の首長であるため、吉村知事は寝屋川市の取り組みを評価して学ぶことすらしてこなかった。つまり、今回の全校検査および休校措置は「非維新」の首長のもとでおこなわれたものであって、断じて「吉村知事のリーダーシップ」「維新の実行力」などではないのだ。
 実際、維新のドンたる松井一郎代表が市長を務める大阪市では、市内の小学校で16日に教職員の感染が確認され、翌17日は2限で休校となったが、土日を挟んで20日からは再開。翌21日になって児童2名の感染者が新たに判明したが、濃厚接触者の確認と校内消毒のために22日を休業としただけで、23日には臨時休業を解除し再開している。ようするに、オミクロン株の市中感染が確認されたあとも、大阪市では全校児童がすぐさま検査を受けたり教職員の検査結果判明まで休校といった措置がとられていなかったというわけだ。
 にもかかわらず、寝屋川市ですでに休校措置をとっていることをあたかも自身の手柄のように語った吉村知事。だが、さらに絶句したのは、昨日23日14時すぎからおこなわれた囲み会見での発言だ。この場で吉村知事は、国立感染症研究所のクラスター班が大阪入りしていることを踏まえた上で、こんなことを言い出したのだ。
「今回、学校の全生徒に対する検査もそうですけども、まずは専門家である国立感染研のクラスター班の意見を受けて、最終的には僕が判断するということで、検査の範囲とか、そういうことを受けていま(検査を)進めています」
 どう考えても寝屋川市の取り組みのなかでおこなわれた全児童への検査実施について、吉村知事はなんと「専門家のアドバイスを受けた上で最終的に僕が判断しておこなった」と言い出したのである。

「寝屋川市のPCR検査への取り組みが早期発見に」の質問に、吉村知事は「関係ない」
 いや、それだけではない。記者から「オミクロン株の市中感染が明らかになり、たとえば学校や施設関係、市中感染を疑った場合に、これまでよりも広範な検査などの方針強化をする予定はあるか」と質問されると、吉村知事は「それはもうすでに実行しています。濃厚接触者でなくても検査を広くする方針を僕もつねに判断してますし」「先程申し上げたとおり、学校の先生だけじゃなくて濃厚接触者じゃないだろうという生徒も全員検査に含めています」と、またも手柄の横取りのような発言をおこなった挙げ句、記者から「寝屋川市は以前からPCR検査、拡大検査に積極的な市町村だったと思うが、そういった検査に対する前向きな姿勢自体が今回のオミクロンの早期発見につながったという考えか」と尋ねられると、吉村知事はこう答えたのだ。
「いや。これは、今回の市中感染の方は、自らが発熱が出たので通常の検査に行かれて、そこでデルタのマイナスとわかったので、その日のうちにゲノム解析をしたということになるので。そこはあまり関係ないかなと思っていますね」
 ようするに、吉村知事は寝屋川市の独自方針のもとで実施された全校児童への検査を「最終的には僕が判断」などと語ったばかりか、幅広くPCR検査を実施してきた寝屋川市の取り組みを評価することもなく、今回オミクロン株をキャッチしたことも「寝屋川市は関係ない」と否定したのだ。
 何かあると「僕が」「僕が」と自己アピールを繰り広げる吉村知事に対し、ネット上では「僕村」というニックネームが付けられてきたが、この発言はいかにもそれを象徴するものだろう。
 だが、吉村知事の問題は、この手柄の横取りだけではない。吉村知事はオミクロン株の大阪府内での市中感染が判明した22日の会見で、現在実施中の「大阪いらっしゃいキャンペーン2021」について、「このたび兵庫、京都、奈良、和歌山と同意をいたしまして、近接府県に広げるということになりました」と発表。このキャンペーンはワクチン接種者あるいは検査で陰性であったことを証明すれば府内で宿泊・日帰り旅行をすると料金が最大5000円割引、最大3000円のクーポンが付くというものなのだが、ブレイクスルー感染が増加していることを考えれば安全とは言い難く、昨年の「Go Toキャンペーン」同様、感染拡大を助長しかねない施策だ。しかし、23日の夕方におこなわれた会見でも、吉村知事は「感染状況を見て知事として適切な時期に判断したい。いま何か中止する判断はない」と断言したのである。
 府民には「オミクロン株の市中感染がある前提で対策を」と呼びかけながら、旅行促進のキャンペーンはやめない ─ 。この反省なき吉村知事の態度は、どんな結果をもたらすのか。不安は募るばかりだ。(編集部)