2014年9月11日木曜日

集団的自衛権テレビはどう伝えたか 「放送を語る会」が調査

 
 市民や放送関係者でつくる「放送を語る会」、安倍政権による集団的自衛権の行使容認について、テレビはどう伝えたかをモニター調査した結果を公表しました期間5月15日7月6日 約50日間)。
 
 それによるとNHKの「ニュースウオッチ9」「際立って政府広報的」で、キャスターは「日本への脅威を抑止する」などと、政権同様の認識を示す一方、批判的な識者は番組に登場させませんでした。
 「クローズアップ現代」(NHK)に至っては、閣議決定まで一度もテーマとして取り上げませんでした。
 
 対照的に「報道ステーション」(朝日系)「報道特集」(TBS系)は、批判的な識者・論者も数多く登場させ「ジャーナリズムの精神に基づく優れた報道を貫いた」と高く評価されました。
 「NEWS23」(TBS系)「サンデーモーニング」(TBS系)もそれぞれ国民に、批判的な視点を提供したと評価されました。
 
 NHKの「ニュースウオッチ9」の姿勢が一貫して政府寄りということは常に指摘されるところですが、公共放送がこういうことでは大変に問題です。
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集団的自衛権テレビはどう伝えた 「放送を語る会」が調査
NHKは「際立って政府広報的」ジャーナリズム精神の発揮こそ
しんぶん赤旗 2014年9月10日
 安倍政権による集団的自衛権の行使容認について、テレビはどう伝えたのでしょうか。市民や放送関係者でつくる「放送を語る会」は、テレビ報道番組のモニター調査の結果を公表しました。期間は安保法制懇報告を受けた安倍首相の記者会見(5月15日)から、閣議決定後の7月6日までの約50日間です。
 
 調査に当たっての基本視点は「ジャーナリズムによる政府の監視」が果たせているか。過去の侵略戦争の反省から「武力行使を正当化するような政治や、社会の空気に対し、テレビジャーナリズムが抵抗し、批判することが極めて重要」という原点からです。全体の傾向として「ジャーナリズム本来の目的に沿って報道しようとする番組」と「政府広報に近い番組」の二極対立が「かつてなく鮮明になった」のが特徴の一つ、と分析しました。
 
政権同様の認識
 「際立って政府広報的」と批判されたのがNHKでした。
 「ニュースウオッチ9」の5、6月の報道は自民・公明両党の与党協議の動向に終始。集団的自衛権行使に世論は賛否拮抗(きっこう)しているにもかかわらず、番組として行使容認の在り方を検証していません。首相会見、政府高官のスタジオインタビューなど、政府与党の紹介が「およそ7割」。キャスターは「日本への脅威を抑止するという性格が強まる」(7月1日)と、政権同様の認識を示します。一方、批判的な識者の登場はありませんでした。
 
 対照的に「報道ステーション」(朝日系)は与党政治家や安保法制懇のメンバーの主張を伝える一方、海外で活動する日本のNGOや海部俊樹元首相ら、批判的な識者・論者も数多く登場させました。歴史的事実の中で考えようという姿勢は「デイリーニュースの中では抜きん出ていた」と評価しました。
 
 同様に「NEWS23」(TBS系)についても「解説者の岸井成格氏が閣議決定へ向けた与党協議に早くから批判的であり、番組も貴重な証言や国民の批判を比較的丁寧に伝えようとしていた」と評価しました。一方で「岸井氏に頼り、局としての調査報道にあまり重きを置かないスタンスのよう」といった指摘もあります。
 
批判的視点網羅
 「ジャーナリズムの精神に基づく優れた報道を貫いていた」と高く評価されたのが「報道特集」(TBS系)でした。(1)集団的自衛権容認に対し、取材した事実を対置して検証(2)海外の視点を含む、憲法の原点からの批判が展開された(3)懸念し、反対する市民の声を重視した―が主な特徴です。その結果「反対と明言してはいないが、批判的に捉える重要な視点をほとんど網羅」できたといいます。
 
 「サンデーモーニング」(TBS系)は、出演者のコメントで集団的自衛権問題での批判的視点を提供しました。
 
 「新報道2001」(フジ系)が集団的自衛権を扱ったのは2回。批判的な出演者はおらず「これほど翼賛的な番組も珍しい」との分析でした。
 
 「クローズアップ現代」(NHK)は閣議決定まで、一度もテーマとして取り上げませんでした。「国家の在り方を変えるほどの重大な問題で『不作為』の態度は問題」としています。
 
対象番組
 【NHK】「ニュース7」「ニュースウオッチ9」「クローズアップ現代」【日本系】「NEWS ZERO」「ウエークアップ!ぷらす」【朝日系】「報道ステーション」「報道ステーションSUNDAY」【TBS系】「NEWS23」「報道特集」「サンデーモーニング」【フジ系】「新報道2001」