中国のネットメディア大手が3日、日本が戦後、中国に対して行ってきたさまざまな援助の功績を伝える特集を掲載し、ネット上で大きな関心を集めています。
「日本は、中国を傷つけただけなのか」と題した特集のなかで、6年前の四川大地震の際に被災地に入った日本の国際緊急援助隊の活動を写真付きで紹介し、2008年までの30年間に日本が行った政府開発援助の総額が、2248億人民元(約3兆8400億円)に上ることなどを伝えました。ユーザーの反応は、まだ日本に対して「怒りを覚える」と答えた人が、「よい特集だと思う」と答えた人の4倍近くに上りましたが、客観的な事実を知ってもらうことは意義のあることです。
◇ ◇
中国の習近平国家主席は3日、「抗日戦争勝利69年」をテーマにした座談会で演説し、「軍国主義が勢いを盛り返すことは絶対に許さない」などと安倍政権を強くけん制したものの、「中国と日本が長く平和友好関係を保つことは両国の国民の利益にかなう。中国の政府と国民はこれまでどおり中日関係の発展に力を注ぐ」と、日中の友好に言及しました。
◇ ◇
中国の程永華駐日大使は、4日夜、東京都の日中友好協会などが主催して開かれた講演会で、300人の聴衆を前に、日中関係は「歴史や領土の問題でいま相互不信が深刻になっているが、日中関係は最も重要な2国間関係の1つであり、両国に大きな利益をもたらしたことを思い出すべきだ」と、両国の関係を改善すべきだとの考えを強調しました。
こうした中国側の機運に対して、日本政府側も何かひと言あって然るべきなのではないでしょうか。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
中国メディア 日本の援助功績を掲載
NHK NEWS WEB 2014年9月3日
中国政府が、9月3日を「抗日戦争勝利記念日」と定め、盛大な記念式典を開くなか、中国のネットメディア大手が、日本が戦後、中国に対して行ってきたさまざまな援助の功績を伝える特集を掲載し、ネット上で大きな関心を集めています。
これは中国のIT企業「テンセント」が、スマートフォン向けに配信しているニュースの中で、「日本は、中国を傷つけただけなのか」と題し、特集として掲載したものです。
特集では、6年前の四川大地震の際に被災地に入った日本の国際緊急援助隊が、遺体に向かって黙とうしている姿や、中国の緑化のために力を注いだ故・遠山正瑛氏の活動などを写真付きで紹介しているほか、日本が中国に対して、2008年までの30年間に行った政府開発援助の総額が、2248億人民元に上ることなどを伝え、日本の功績を強調しています。
3日は、中国政府が定めた「抗日戦争勝利記念日」で、習近平国家主席も出席して盛大な記念式典が開かれたほか、共産党系の新聞は、日本に対して厳しい評論を掲載しただけに、特集はネット上で、大きな関心を集めています。
特集について中国のネットユーザーの反応は、「怒りを覚える」と答えた人が、「よい特集だと思う」と答えた人の4倍近くに上りましたが、書き込みの中には、「日中友好を心から期待する」とか、「日本から学ぶべきこともたくさんある」などといった意見も少なくありませんでした。
中国国家主席 けん制も友好言及
NHK NEWS WEB 2014年9月4日
中国の習近平国家主席は3日、「抗日戦争勝利69年」をテーマにした座談会で演説し、「軍国主義が勢いを盛り返すことは絶対に許さない」などと安倍政権を強くけん制しました。
一方で「日本との友好」にも言及し、日中関係が悪化しているなか、習主席の公の場での発言としては異例で、注目されます。
9月3日は、第2次世界大戦で日本が降伏文書に署名した翌日に当たり、中国政府はことしから、「抗日戦争勝利記念日」と定めました。
3日午前は、北京郊外にある「抗日戦争記念館」で記念式典を開き、習近平国家主席をはじめ、共産党の最高指導部のメンバー7人全員が出席しました。
そして午後には、共産党などが「抗日戦争勝利69年」をテーマにした座談会を北京の人民大会堂で開き、習近平国家主席が演説しました。
この中で習主席は、「われわれは最大の決心と努力で、抗日戦争の勝利の成果と戦後の国際秩序を断固守り抜き、侵略の歴史を否定しわい曲することや、軍国主義が勢いを盛り返すことは絶対に許さない」と述べました。
中国政府は、安倍総理大臣の靖国神社参拝や集団的自衛権の行使容認などを巡り、「日本が右傾化している」と繰り返し主張していて、一連の行事で安倍政権を強くけん制しました。
一方、この演説で習主席は、「中国と日本が長く平和友好関係を保つことは両国の国民の利益にかなう。中国の政府と国民はこれまでどおり中日関係の発展に力を注ぐ」と述べました。
習主席の発言内容は中国政府の一貫した立場ですが、日中関係が悪化しているなか、習主席が公の場で「日本との友好」に言及したのは異例で、注目されます。
駐日中国大使「日中関係は最も重要な関係」
NHK NEWS WEB 2014年9月4日
中国の程永華駐日大使は、4日夜、東京都内で講演し、日中関係について「最も重要な2国間関係の1つであり、両国に大きな利益をもたらしてきたことを思い出すべきだ」と述べました。
この講演会は、東京都の日中友好協会などが東京都と北京市の友好都市提携から、ことしで35年になるのを記念して、4日夜開かれたもので、およそ300人が出席しました。
このなかで、中国の程永華駐日大使は「ことし4月に東京都の舛添知事が18年ぶりに北京市を公式訪問するなど、両都市間の交流が深まっている」と指摘しました。
そして、日中関係について「歴史や領土の問題で相互不信が深刻になり、厳しい局面が続いている」としたうえで「日中関係は最も重要な2国間関係の1つであり、両国に大きな利益をもたらしたことを思い出すべきだ」と述べ、改善すべきだという考えを強調しました。