日刊ゲンダイが面白い記事を載せました。
先日、4-6月期のGDPをマイナス6・8%から7・1%に0.3ポイント下方修正しましたが、それは年末に消費増税10%アップを決定するための布石だというものです。
マイナス0.3ポイントに相当する中身は、4-6月期の民間設備投資が計画よりも2兆358億円もマイナスになったというもので、これほど巨額な修正は1994年までさかのぼって調査してもなく、これまでの修正額は最高でも1500億円程度でした。
その経過を示したものが添付のグラフで、赤線部分が過去の修正実績を示しています(右側が目盛)。これを見ても明らかなように14年度の「4-6月期」だけが異様に突出しています。
仮に民間企業が“やる予定”だった企業投資を4―6月期ではなく、7-9月期に“やったこと”にすれば、4―6月期は落ち込み、その代わりにその分7-9月期は増え、その差引で伸び率を大きく見せかけることができます。
そうだとすればあまりにもやることが狡猾というしかなく、国民のみならず世界をも欺くものです。
7-9月期を注目する必要があります。
消費税率アップは財務省にとっての至上命題であって、彼らには「景気がどうなるか」というような感覚は元々ないといわれています。莫大な戻し税を受けられる財界も同様です。
消費税の増税は財政の健全化に向けた国際公約であるとの主張もありましたが、それなら何故法人税を下げたうえ、来年度国家予算を100兆円超(=赤字国債多発)にするという放漫財政を続けるのでしょうか。元々財務省には財政健全化というような考え方もないからです。
消費税アップについての時事通信の世論調査も併せて紹介します。
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消費増税の布石 民間設備投資「2兆円下方修正」のイカサマ
日刊ゲンダイ 2014年9月11日
政府統計の信用はズタズタ
マイナス6・8%から7・1%に下方修正された4-6月期のGDP。これは7-9月期のGDPを高くするための“仕掛け”だ。GDPは対前期比で成長率をはじき出すので、直前の発射台を低くすれば、その分、成長率が高くなる。安倍政権は7-9月期のGDPを見て、年末、消費増税10%の判断をするというから、そのための布石なのだが、驚くのは早かった。民間設備投資にもとんでもない“仕掛け”が施されていたのである。
「衝撃的な下方修正です。これでは日本の政府統計そのものが信用されなくなりますよ」
RFSマネジメント・チーフエコノミストの田代秀敏氏もあきれ返ったのが、今月8日に発表された民間企業設備投資だ。下方修正されたGDPの2次速報の中に盛り込まれていたのだが、驚くべきは修正された規模である。ナント、2兆358億円もマイナス修正したのである。
■修正幅は大きくても1500億円程度
これがいかに大きいかはこれまでの修正値を見ればわかる。修正が大きいときだって、その幅は1500億円程度だった。それも当然で、民間企業設備投資は全体で70兆円程度。GDPは0・3%の下方修正だったから、こちらも2000億円程度で収まるのがフツーだ。それが10倍超の大幅下方修正なのである。
「驚いて、94年までさかのぼり、こんな修正があったかどうかを確認しましたが、もちろん、ありませんでした。日本の経済統計は世界に冠たるものだと評価されていますから、世界も驚いていると思います」(田代秀敏氏=前出)
問題はなぜ、こんなことになったのかだ。民間企業投資は「やる予定」と聞いて、カウントしていたら、「やらなかった」ことがある。とはいえ、GDPの修正と同じような思惑があるのも間違いない。
「“やる予定”だった企業投資を4―6月期ではなく、7-9月期に“やったこと”にすれば、4―6月期は落ち込み、7-9月期は増える。いってこいで伸び率を大きく見せかけることができます。消費増税の決断に合わせて、都合よく統計数字をいじっているのだとすれば、それは二流国家のやることです」(田代秀敏氏=前出)
安倍政権はあまりにもやることがこすっからい。
消費税10%、賛成2割=慎重・反対論根強く-時事世論調査
時事通信 2014年9月12日
時事通信の9月の世論調査で、来年10月に予定される消費税率10%への引き上げについて尋ねたところ、「予定通り10%とすべきだ」と答えた人は20.9%にとどまった。「当面見送るべきだ」は39.2%、「引き上げに反対」が37.6%で、増税への根強い抵抗感が改めて浮き彫りとなった。
安倍晋三首相は7~9月期の経済指標などを踏まえて12月に増税の是非を最終判断する方針。4月の消費税率8%引き上げによる消費の落ち込みが長期化する懸念が広まっており、景気が回復するかが焦点だ。