国連の人種差別撤廃委員会は8月29日、日本政府に対し、沖縄の人々は「先住民族」だとして、彼らの権利の促進や保護に関し、沖縄の人々の代表と一層協議していくことを勧告し、琉球・沖縄の言語や歴史、文化についても、学校教育で教科書に盛り込むなどして保護するよう対策を促しました。
沖縄は太平洋戦争後アメリカの統治下に置かれ、日本復帰後も狭い島に多大な米軍基地が集中する「現代的な形の人種差別」状態(2010年国連の対日勧告)に置かれています。
かつては沖縄は琉球王朝国家でしたが、いまから120年前の1894年(明治27年)に日清戦争勝利に乗じて勝手に日本領とした歴史もあります。特に為政者はこうしたことに無頓着であってはなりません。
22日に開かれた国連の「先住民族の権利の履行」をテーマにした分科会で、沖縄県選出の糸数慶子参院議員が行った名護市辺野古の新基地建設についての発言を紹介します。
(関係記事)
9月25日 糸数議員、国連で演説 先住民族世界会議
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糸数さん発言要旨 国連先住民族会議
琉球新報 2014年9月25日
(沖縄)県選出参院議員の糸数慶子さんは22日に開かれた「先住民族の権利の履行」をテーマにした分科会で登壇し、名護市辺野古の新基地建設について発言した。要旨は次の通り。
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先住民族の権利を履行するという、日本政府の概括的な立場は歓迎したい。しかし日本政府が琉球民族を先住民族と認めていないことは大変遺憾に思う。
国連先住民族権利宣言18条の意思決定に参加する権利を強調したい。この権利は、同宣言3条における自己決定権の行使の一形態だ。琉球民族は長年、沖縄の米軍基地に反対してきた。日本の面積の0・6%を占めるにすぎない琉球・沖縄に、在日米軍専用施設の74%が集中している現状は明らかな差別だからだ。
しかし日本政府はこの意見を全く考慮せず、むしろ辺野古と高江に新たな軍事施設を建設しようとしている。琉球民族の多くが反対する基地建設の強行は、意思決定に参加する先住民族の権利に明白に違反するとともに国連宣言30条の軍事活動の禁止にも違反する。
従って日本政府に、琉球・沖縄の先住民族の意見を尊重するよう要求する。