若松市民会館 アフガンの現状と重ね語る ペシャワール会中村氏
西日本新聞2014年9月7日
アフガニスタンで人道支援を続けるペシャワール会の現地代表で医師の中村哲氏が6日、(北九州市)若松区本町3丁目の若松市民会館で講演した。安倍晋三政権が閣議決定した憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認について「今の状態は大変危険」と指摘。「(日本)政府首脳はアフガニスタンに来て人が死ぬ現実感を知ってほしい」と訴えた。
講演会は、市民団体の代表や宗教家らでつくる「わかまつ九条の会」が主催。約700人が出席した。
中村氏は1984年にパキスタンでハンセン病の治療を始め、86年からアフガニスタン難民の医療支援を本格化。2000年から、大干ばつに襲われたアフガニスタンで井戸の掘削や農業用水路の建設などに取り組んでいる。
この日は「アフガンに命の水を」と題して講演。米国同時多発テロ後、米国がアフガニスタンを攻撃したことに触れ、「米国は自由を与えに来たと言っているが、確かに麻薬の栽培や売春が自由に行われるようになった」と批判。
その一方、現地は近年、干ばつなどで砂漠化が進んでいるとし、「戦(いくさ)よりも水と食料が現地では大事。私は多くの人の生存モデルをつくりたい」と用水路建設にかける思いを語った。
また、現代人の生活についても持論を披露。「欲望と安全は両立しない。人間と自然がほどほどに生きる世界を目指すべきだ」と呼び掛けた。