大阪市の公益財団法人博物館「ピースおおさか」は、これまで南京大虐殺や抗日戦争のパネル写真などを展示してきましたが、近年これを「自虐的」とする批判が強まり、加害展示を大幅縮小させる改装が決定しました。
この1日から展示内容を改装するため休館し、来春の再開後には日本軍による侵略の歴史をたどる展示がなくなる見通しです。
市民からは「都合の悪いことを隠そうとしている」、「戦争を防ぐヒントが得られる展示が望まれる」などの意見が上がっています。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【平和国家どこへ】 旧日本軍侵略の展示見納め 「戦争防ぐヒントを」
共同通信 2014年9月2日
大阪市の公益財団法人博物館「大阪国際平和センター」(ピースおおさか)が1日から、展示内容を改装するため休館した。来春の再開後には日本軍による侵略の歴史をたどる展示がなくなる見通し。8月31日に来館した市民からは「都合の悪いことを隠す」「戦争を防ぐヒントが得られる展示を」との意見が上がった。
ピースおおさかでは、南京大虐殺や抗日戦争のパネル写真などを展示してきた。近年では「自虐的」と批判され、加害展示を大幅縮小させる改装が決定したが、反対する市民運動も起きている。
「改装後と比較できるよう目を凝らして見ておきたい」。大阪府太子町の元小学校教師 西野平八郎 (にしの・へいはちろう) さん(68)は「日本は加害責任を直視してこなかった。負の側面でも、事実であれば残さないとまずい」と強調した。
韓国・釜山から訪れた 尹祐永 (ユン・ウヨン) さん(28)も展示の継続を求め「過去の不幸な歴史は乗り越えられるはず」と話した。
加害展示がピースおおさかの生命線と訴える大阪空襲の被害者、 伊賀孝子 (いが・たかこ) さん(82)は「空襲に遭い、加害者と被害者、両方の立場に置かれる戦争の本質が分かった」。
吹田市の司書 真木美佐緒 (まき・みさお) さん(48)は、改装自体に異論はないとの立場。ただ「もう少し市民の意見を集約すべきだ。戦争に至るプロセスや戦争を防ぐ手だてを考えられる展示にしてほしい」との注文もつけた。
リニューアルに賛成する大阪府の小学校教員の男性(49)は「何も知らない子どもたちがあの展示だけ見て、戦争を考えていいのか。平和学習としてバランスが取れない」と主張した。
「ピースおおさか」の改装反対を訴える市民団体のメンバー
=8月31日、大阪市中央区