米国の与野党の有力議員たちは31日、ウクライナ政府に武器を供与すべきだと強く主張しました。
2日の東京新聞によればNATOは、ウクライナに向けて何時でも発進できるように、4千人規模の緊急展開部隊を近く創設するということです。
4日~5日に英国で開かれるNATO首脳会議を前に、欧州連合(EU)はロシアへの追加制裁の発動を合意しました。
米国は16~26日に、ウクライナとの国境に近いポーランド西部で、同盟国との1千人規模の合同軍事演習を実施する予定です。
これらはいずれもロシア軍(約1千人といわれています)が、ウクライナに侵攻したということを口実にして行われているのですが、その肝心な証拠は何も示されていません。普通1千人の部隊が動けば何らかの痕跡や衛星画像が得られるのではないでしょうか。
ウクライナ情勢に詳しい人たちは、それは捏造された虚偽の口実だとしています。
櫻井ジャーナルは、欧米のメディアは「2月のクーデターを“民主化”と規定しているので、いまキエフ軍が戦っている相手をウクライナ国内の義勇軍であるとするわけには行かない。それでロシア軍だということにするという、嘘の連鎖に陥っている」、としています。
そして「キエフ軍がいま戦っている義勇軍には、ウクライナの軍隊、治安機関、情報機関から離脱した人びとや退役兵、最近はギリシャ、フランス、勿論ロシアからも義勇兵が参加していて士気は高い」、それに対して「徴兵で集められたキエフ軍の兵士の士気は低く、NATOの訓練を受けたネオ・ナチ(新ナチス主義者たち)、そしてアメリカやポーランドの傭兵、それにCIA、FBI、アメリカの軍事顧問団に頼らざるをえない状況である」、としています。
米国の著名なコラムニストであるPaul Craig Roberts氏は1日、「欧米各国と、その売女マスコミが流布した1千人のロシア軍兵士がウクライナを侵略したという空想は、愚の骨頂だ。(このような虚報を流す)欧米マスコミに関して導ける結論は二つしかない。完璧に愚昧であるか、完璧に腐敗しているかのいずれかだ」と、同氏の記事の中で述べています。
そして8月30日には、「キエフ軍と戦闘を交えていた(ウクライナ東部の)ドネツク地方は、今や自らの政府を持ったドネツク共和国になり、ここ数日間で、新たに編成されたドネツク共和国部隊が、残っているウクライナ軍のかなりの部分を打ち破り、包囲した」と述べています。
3日夕、日経新聞は「(ドネツク共和国の後ろ盾である)ロシアのプーチン大統領は3日、ウクライナのポロシェンコ大統領と電話協議し、同国東部で続く政府軍と親ロシア派武装勢力の戦闘を恒久的に停止することで合意した。ウクライナ大統領府が発表した」と報じました。
ロイター通信によれば、ロシアは、両大統領がウクライナ東部の和平実現に向けた措置で合意したことは認めたものの、ロシアは東部の戦闘に関与していないので、停戦には合意していないとも表明しました。
ウクライナ国内の情勢は、櫻井ジャーナルやPaul Craig Roberts氏が伝えた通りで、国内の義勇軍側が優勢に闘いを進め勝利をおさめました。
ロシアは、一貫してウクライナは「連邦制」に移行するようにと主張していますが、やはりそれが筋であると思われます。ウクライナのポロシェンコ大統領と、電話協議で電光石火の恒久的停戦を合意したのは、ロシア外交の勝利といえます。
これでまずは一安心ですが、アメリカやNATOそしてEUは、振り上げたこぶしをただで下ろす筈はありません。このようなことで収まってしまっては、アメリカが巨額の資金を投じてクーデターを成功させるところまで来た10年来の意図が遂げられないからです。
今後アメリカがどんなことを主張し、西側のメディアがそれにどんな風に同調するのかを、当面 白けた気持ちで見て行くしかなさそうですが、5月初めにオデッサ地方で、ネオナチを中心とする極右武装勢力が広場の親ロシア派住民を襲撃して、隣接する労働会館に追い込み、警官隊の目の前で放火して住民を大量虐殺するなどの凶暴性を持つキエフ政権が、ウクライナ国民の人心をたやすく収攬できるかは大いに疑問です。
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ウクライナ東部、恒久的停戦で「合意」 ロシア・ウクライナ両大統領
日経新聞 2014年9月3日
【モスクワ=田中孝幸】ロシアのプーチン大統領は3日、ウクライナのポロシェンコ大統領と電話協議し、同国東部で続く政府軍と親ロシア派武装勢力の戦闘を恒久的に停止することで合意した。ウクライナ大統領府が発表した。
ウクライナ和平に向けた措置で合意、停戦には合意せず=ロ大統領府
ロイター通信 2014年 09月 3日
[モスクワ 3日 ロイター] - ロシア大統領報道官は3日、ロシアのプーチン大統領とウクライナのポロシェンコ大統領がウクライナ東部の和平実現に向けた措置で合意したことを明らかにした。ただ、ロシアは東部の戦闘に関与しておらず、停戦には合意していないとも表明した。ロシア通信(RIA)が伝えた。
これに先立ち、ウクライナ大統領府は、東部ドンバス地方の「恒久的停戦」でロシアのプーチン大統領と合意したと発表していた。
ロシア大統領報道官は「プーチン大統領とポロシェンコ大統領は、武装勢力とウクライナ軍の停戦につながる措置を協議した。ロシアは紛争に関与しておらず、物理的に停戦に合意することはできない」と述べた。
NATO、緊急展開部隊創設へ ロシアにらみ「4千人」規模
東京新聞 2014年9月2日
【ブリュッセル共同】北大西洋条約機構(NATO)のラスムセン事務総長は1日、ブリュッセルで記者会見し、ウクライナに部隊を投入したとされるロシアの脅威に対抗するため、既存の「NATO即応部隊」の一部を強化した緊急展開部隊を創設する意向を重ねて示した。
米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)によると、緊急展開部隊は4千人規模。招集から48時間以内に展開できる機動性を持たせる方針で、ロシアへの抑止力としての位置付けを強めるのが狙い。英南西部ニューポートで4、5の両日開くNATO首脳会議での合意を目指す。
ロシアがウクライナを侵略したかどうか判断する方法
マスコミに載らない海外記事 2014年9月 3日
Paul Craig Roberts 2014年9月1日
「ドネツク人民共和国※、アレクサンドル・V・ザハルチェンコ首相 談」
(※ ウクライナ東部地方、最近キエフ政権から独立宣言をした・・・事務局)
“もしも、ロシアが、ウクライナに、正規軍部隊を派遣しているとお考えであれば、一言申しあげたい。もしロシアが正規軍兵士を派兵していれば、我々はエレノフカの戦いについて語ってはいなかっただろう。我々は、キエフの戦い、あるいは、あり得るリボフ攻略を語っていただろう。”
リボフは、西ウクライナのポーランド国境近くの都市だ。言い換えれば、もしロシアがウクライナを侵略すれば、戦闘は、ウクライナの東から西へと移動する。
最近のコラム(下掲)で書いた通り、欧米各国政府と、その売女マスコミが流布した1,000人のロシア軍兵士がウクライナを侵略したという空想は、愚の骨頂だ。
そうした主張の馬鹿馬鹿しさにもかかわらず、一部の欧米大衆紙は、欧米の新聞全てが今やそうなっているのだが、この1,000人の兵士は“全面的侵略”だと宣言している。こうしたたわごと全て、ウェールズでの来るNATO会議に向けた尽力だ。虚報は、最終戦争を容易に招きかねない、ロシア国境でのNATO軍事力増強用のヒステリーと正当化をもたらす為に使われているにすぎない。
皆様には、これを自問願いたい。欧米マスコミ全てが、ロシアのウクライナ侵略は、1,000人の兵士(その証拠は誰も見つけていない)では済まないことがわからない程に無知で、無能なのか、それとも、欧米マスコミ丸ごとが、欧米マスコミが、イラクの大量破壊兵器というでっち上げた証拠に基づいて、ジョージ・W・ブッシュのイラク侵略に奉仕したのと同様、アメリカ政府の戦争挑発者連中の為の、プロパガンダ省を、単に自ら務めているのだろうかと。
欧米マスコミに関して導ける結論は二つしかない。完璧に愚昧であるか、完璧に腐敗しているかのいずれかだ。
人類史上最大の戦争原因である欧米は、あらゆる正当性をはぎ取られて立っている
マスコミに載らない海外記事 2014年9月 1日
ドネツク人民共和国は事実を述べている
Paul Craig Roberts 2014年8月30日
“ロシアに剣をもってやってくる度に、剣ゆえに滅びることになろう。”
ソ連共産党指導部が、当時は、全てがソ連の一部だったので、そうしても、全く違いなど無さそうに見えた時代に、うっかりウクライナに帰属させてしまった、旧ロシア領諸州は、今や自らの政府を持った独立共和国になった。アメリカ政府とその傀儡諸国が、かつて囚われていた人々の独立を認めようとしないので、欧米は、そうではないふりをしている。しかし、欧米の世論は、もはや重要ではない。
ここ数日間で、新たに編成されたドネツク人民共和国の部隊が、残っているウクライナ軍のかなりの部分を打ち破り、包囲した。ロシアのプーチン大統領は、ドネツク共和国に、敗北したウクライナ人が、妻や母達のいる故郷に戻るのを許すよう求めた。ドネツク共和国は、ウクライナ人が兵器を置いてゆく限り、プーチンからの慈悲の願いに同意した。欧米のウソとは逆に、ドネツク共和国は兵器不足で、ドネツク共和国は、ロシアから兵器を供給されていないのだ。
キエフのアメリカ傀儡政権は、自国軍兵士に対して差し伸べられた救いの手を拒否し、兵士は死ぬまで戦わねばならないと言った。スターリングラードでのヒトラーを思い出させる。1945年以来、西ウクライナは、ずっとナチズムの保存庫であり続け、アメリカ政府が、自由と民主主義に反対して、同盟を組んでいるのは西ウクライナだ。
(後 略)