2016年3月18日金曜日

18- 金融経済分析会合のいいとこ取りはやめよ

 政府が外国の権威を招いて意見を聴く国際金融経済分析会合は、消費税増税延期などのお墨付きを得るためだということはいまや公然の秘密となっていますが、その勢いを借りて再び増税延期について国民に信を問うとして衆院を解散し、衆参ダブル選に打って出ようというのは全くナンセンスです。
 消費増税を避けることの必要性は自明だからです。
 
 東京新聞は社説で、分析会合から都合のいいところだけを取り出すのではダメだとして、16日の会合でスティグリッツ氏が次のような点を指摘したことを受け止めて、軌道を修正することが必要だとしています。
緩慢な成長の果実が一部のトップ層に偏り、格差が一段と拡大している
賃金上昇と労働者保護を強める
・緊縮財政をやめて教育や若者の健康への政府支出が必要
法人税減税はやめて、炭素税や相続税、株などの譲渡益課税増税すべき
過度に金融緩和に依存する政策はもう限界
 
 小沢一郎氏(事務所)のツィートも併せて紹介します。
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(社説)経済分析会合 いいとこ取りはやめよ
東京新聞 2016年3月17日
 政府が内外有識者の意見を聴く国際金融経済分析会合は、消費税増税延期や補正予算編成のお墨付きを得るためではないか。そんな臆測が強い。都合のいい部分だけを取り出してもらっては困る。
 「消費税を増税するタイミングではない」「緊縮財政をやめ、政府支出の増加こそ望まれている」-。第一回の分析会合に招かれたノーベル経済学賞受賞のスティグリッツ・米コロンビア大教授は、確かに消費税の延期や財政出動の重要性に言及した。
 しかし、格差是正や幸福度の研究に目を向けてきた教授は、世界経済が抱える問題に幅広く提言したはずだ。最も重要な点は、景気は後退または停滞する可能性が高い中で、緩慢な成長の果実が一部のトップ層に偏り、格差が一段と拡大していると指摘したことだ。
 景気低迷の原因は需要不足にあり、平等性を高める政策は需要を増やして効果的だと強調。具体的には賃金上昇と労働者保護を強める政策、財政出動なら教育や若者の健康への政府支出を求めた。
 政権は、参院選を意識して補正予算編成のお墨付きとしたいのかもしれないが、教授はやみくもに財政出動を促したわけではない。むしろ法人税減税は投資に寄与しないから反対し、炭素税や相続税、株などの譲渡益課税については増税すべきだと主張した。
 日銀のいわゆる異次元緩和政策についても「限界が近い」と指摘し、過度に金融緩和に依存する政策に警鐘を鳴らした。こうした「耳の痛い」提言こそ傾聴すべきで、消費税増税延期や補正予算編成の方便だけに利用することは許されない。
 安倍晋三首相は一昨年、10%への消費税引き上げ延期を決めた際に「再延期はない。アベノミクスで増税できる経済環境にする」と明言した。増税を見送るなら、アベノミクスの失敗を認め、速やかに軌道修正すべきだ。有識者の提言を免罪符に増税延期だけ決めるのは筋が通らない。
 
 だからといって、再び増税延期について国民に信を問うとして衆院を解散し、衆参ダブル選に打って出るのなら、ご都合主義も甚だしいと言わざるを得ない。
 そもそも分析会合は、五月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)に向け、世界経済や金融情勢について有識者の意見を聴くというのが政府の説明だ。仮にも消費税増税や補正予算の判断に利用しようというのなら、納税者への裏切り行為ではないか。
 
 
安倍政権の経済政策完全な手詰まり本格的な景気後退に突入
                  https://twitter.com/ozawa_jimusho 
小沢一郎(事務所)2016年3月16日
アベノミクスの「斬り込み隊長」である日銀総裁が、マイナス金利について、「実体経済への波及についてはある程度時間が必要」と発言。
あれだけ自画自賛していた異次元緩和については三年経っても効果が出ていない。
もはや誰も信じていない。いま確実に中央銀行の信用が失われている。その罪は大きい。
 
元TPP大臣は「更に二か月休養する」との自民党の説明。
見事である。物語として完成されている。
業者とURとの交渉に積極的に参加し、見返りに多額の利益供与を受けておいて未だ何の動きもない。誠に考えられない恐るべき事態。
特権を持つ者は優遇される。そんな世の中で、一体誰が法律を守るのか。
 
アベノミクスの人々は、円安が目的でやっていないとしきりに強調。こういう言いぶりがまた不信を生む。
現在の物価も円安で膨らましてきただけ。収益も株価もいわば円安バブル。
それを今度は自己否定するわけだから混乱する。
もはや何がやりたいのか全くわからない。当事者が一番わかっていないのでは。
 
元TPP大臣の一件ついては先進国としては到底信じられないようなおぞましい事態になっているが、
そもそも総理の最側近で、経済政策の最高責任者のところでこれだけのことが行われてきたということについて政権はなぜうやむやにしようというのか。
もはや、TPP交渉そのものの正当性が疑われる事態。
 
総理の経済界への脅しも効かず、春闘は結局厳しい結果となった。
どこの企業も先行き不安を表明している。
実際、これまでの大企業の収益増は大半が円安バブルによるもの。
年初それを破裂させ、未だに円高と株価低迷が続く中ではむしろ自明の理。
状況がますます悪化する中、個人消費が伸びるわけがない。
 
アベノミクスバズーカの何弾目かはもはや知らないが、マイナス金利の評判はすこぶる悪い。
金融機関だけでなく国民の不信感も強い。
大体既にこれだけの超低金利が更に多少下がったところで景気刺激効果など皆無との意見が圧倒的である。
なんで博打を続けるのか。いや続けざるを得ないということだろう。
 
安倍政権のこのところの経済政策についてよく見てみると完全な手詰まりになっている印象。
実は政府内でもかなり懸念が高まっているとの報道もある。
結局賃金はほとんど上がらず、GDPもマイナスが続き、本格的な景気後退に突入している可能性が高い
安倍政権はいい加減経済を真剣に考えた方が良い。