2016年3月11日金曜日

「保育園落ちた」問題に取り組むと言ってはみたものの

 先月29日民主党の山尾志桜里議員「保育園落ちた 日本死ね!!!」というブログの内容を紹介して待機児童問題の深刻さを訴えましたが、安倍首相はそれを「匿名である以上、実際起こっているか確認しようがない」と軽くいなし、自民党議員からは「誰が書いたんだよ」「ちゃんと本人を出せ」とヤジが飛んで終了しました
 しかしその後、「何が1億総活躍社会だ」、「何が女性の輝く社会だ」と、インターネット上に抗議の声が溢れ国会の前にママたちが抗議に立つようになると、さすがに選挙への悪影響を心配して、安倍首相は「真面目に取り組む」と態度を改めました。何とも見事な変わり身です。
 
 しかしただのリッピサービスではどうにもなりません。保育士が足りないわけではありません。施設がないから保育士が勤められないのでもありません。
 安倍政治によって他の職業よりも月に10万円近くも保育士の給料が安くさせられた結果、なり手がなくなったためなのです。それを改善するためには当面3000億円が必要なのですが、政府はその手当をしようとしません。
 外国にはいくらでもバラ撒けるし、法人税は何兆円でも安くできるのに、そんな肝心な手当一つが出来ないということであれば、こんどこそ選挙で惨敗することになるでしょう。
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「保育園落ちた」問題 塩崎厚労相の“身内の話”に母親ら憤り
日刊ゲンダイ 2016年3月10日
「保育園落ちた日本死ね!!!」――待機児童問題に一石を投じた匿名のブログ記事に共感した母親ら5人が9日夕、2万7682人分の署名を塩崎恭久厚労相に手渡した。塩崎大臣は「(署名を)安倍総理に届ける」と約束。
 ところが、この日の昼から行われた会合で、厚労委員会での塩崎大臣の答弁を視聴した母親たちからは、辛辣な意見が飛び交った。
 
「塩崎大臣は『改善する』と言っていたけど、どうやって改善するのか」
「曖昧な答弁に終始し、話が分かりづらい」
「保育園不足や保育士の給与改善など問題は山積しているが、すぐに解決に向かうとは思えない」
 
 3000億円の財源が必要な子育て支援策について、塩崎大臣が「財源を見つけて実行する」と明言しなかったから、母親たちが怒るのも当然だろう。しかし、最も神経を逆なでしたのは、塩崎大臣が答弁中に披露した「身内の話」だ。
「東京・目黒区に住む私の息子夫婦も、保育園探しに苦慮していました。空きがなかったようで、港区の保育園に目星をつけていたが、4カ月ほど経ったところで偶然、目黒区内で保育園が見つかったようだ。ブログに賛同する女性たちの気持ちが私にも分かる」
 
 身内の苦労話で母親たちにアピールしたかったのだろうが、会合に参加した中央区在住の女性(35)は、生後5カ月の男児をあやしながら本紙にこう話した。
「塩崎大臣のご子息の話については、羨ましい限りです。なぜなら、あっという間に保育園の空きが見つかっているからです。極めてまれなケースだと思います。今は、1年間探し続けても、空きが見つからないような状況が当たり前です。私は、出産してから約20カ所の保育園に問い合わせましたが、空きがなく全て断られました。それが、たったの4カ月で見つかるなんて、信じられません。私は今年の4月から仕事に復帰しなければならず、不安は募るばかり。周りのお母さんたちも似たような状況ですよ」
 
 保育園不足の解消はまだまだ遠い。
 
母親たちの話を聞く民主党の山尾志桜里議員(左)(C)日刊ゲンダイ
 母親たちの話を聞く民主党の山尾志桜里議員(左)