高市早苗総務相は4日に記者会見を行い、放送法違反を理由として放送局に電波停止を命じる可能性に言及したことについて、自分の発言は憲法の精神に反していないとして一連の発言を撤回する考えはないと改めて表明しました。
高市氏は、先ず自身の発言は「放送法の運用を説明したに過ぎない」と述べていますが、放送法第4条は倫理規範であって、それを口実に政府が停波するということこそが「運用上の大間違い」です。
また放送法と電波法に関し、政治的に偏った番組を流し続けた放送局に総務相が電波停止を命じられる仕組みになっていると繰り返し述べていますが、一体何が政治的に偏ったことになるのかは高市氏が考えているほど単純なものではなく、それを一定の主張を持った政党で構成する内閣(の担当大臣)が判断できると考えること自体が論理矛盾です。
そして大臣の判断で停波処分ができるとするなどは、憲法21条(表現の自由)に真っ向から反するものです。欧米でもそうした監督権限を行使するのは、放送倫理・番組向上機構BPOのような政府から独立した機関に委ねられているという事実を知らないのでしょうか。
高市氏は電波停止の判断について、「総務大臣が責任を持って判断するという趣旨だ。そこに恣意的な判断が入ってはいけない」と話したということですが、その二つの矛盾するセンテンスを平然と並べる神経は一体何なのでしょうか。そもそも「大臣が政治的公平性を判断できる」と考えるのは、「自分の考えは常に正しい」と思うことと同じ幼稚性の現れです。
一旦言い出したことは意地でも取り消さないという頑迷さは他の女性閣僚でも見られたところですが、いくら繰り返し誤りを指摘されてもどうしてもそれを理解することができないというのは、思考力の低レベル=幼稚性によるものと考える方が良いのかも知れません。
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高市総務相 「憲法上の問題ない」放送法発言で反論
毎日新聞2016年3月4日
高市早苗総務相が放送法違反を理由として放送局に電波停止を命じる可能性に言及し、「憲法の精神に反する」との指摘が出ていることについて、高市氏は4日の記者会見で、「放送法は憲法の規定に沿っている。その運用も厳格な要件の下で行われるので、憲法上の問題はない」と述べた。自身の発言は放送法の運用を説明したにすぎず、憲法の精神に反していないと反論したものだ。また、放送法をめぐる一連の発言について、撤回する考えはないことを改めて表明した。
高市氏は放送法と電波法に関し、政治的に偏った番組を流した放送局に総務相が電波停止を命じられる仕組みになっていると繰り返し説明。国会答弁などで電波停止命令に言及した理由として「どんなに放送事業者が極端なことを繰り返しても何も対応しない、という約束はできない」と述べた。
また、発言が放送局側を萎縮させているのではないかとの指摘に対しては「放送事業者が主義、主張を持って番組を編集することについて(自分は)何らコメントしていない」と主張。電波停止の判断が総務相に委ねられていることについては「大臣が責任を持って判断するという趣旨だ。そこに恣意(しい)的な判断が入ってはいけない」と話した。【青木純】