2016年3月28日月曜日

「保育園落ちた」ブロガーに官邸や安倍応援団が総攻撃

 「保育園落ちた 日本死ね!!!」は社会の大反響を呼び、山尾議員の質問への初期対応を誤った安倍首相は窮地に立たされました。自業自得で極めて当然の話なのですが、官邸は今回も様々な悪あがきをしているということです。
 
 俗悪番組で知られる『そこまで言って委員会NP』に先週出た俳優・津川雅彦が、「ブログ書いた人間が死ね!」と暴言を吐いて大きな問題になり、当然の批判を受けました。いまや安倍首相の盟友と言われる津川を呼んで、保育所問題で窮地に立った安倍政権を番組ぐるみで擁護しようとした構想が、逆に安倍政権の足を引っ張る結果となった(笑)わけです。
 
 今回も官邸は、新聞や週刊誌を使って保育所問題での批判を抑え込もうと、いろいろなことを画策しました。
 この問題が盛り上がりを見せた3月中旬ころから、「『保育園落ちた』ブログは民主党の山尾志桜里議員の仕込みだった、という話が官邸周辺からやたらに流されるようになったということです。
 新聞記者には首相補佐官レベルの人間がオフレコで語っていたといい、週刊誌記者には内閣情報調査室の雑誌担当がヤラセ説があるんだけど、取材してみたらとしきりにアプローチしていたといいます。
 
 もちろん全くのデマなので煙も立ちませんでした。それで今はひたすらネット右翼による攻撃に頼っているということです。官邸のそうした謀略への算段は実に陰湿でまたマメで、あきれるばかりです。
 
 LITERAの記事を紹介します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
津川雅彦だけじゃない、「保育園落ちた」ブロガーに安倍応援団が
次々卑劣な攻撃! 内調のデマリーク、ネトウヨも
LITERA 2016年3月27日
 
「ブログ書いた人間が死ね!」
 先週、『そこまで言って委員会NP』(読売テレビ)で、が「保育園落ちた」ブログをめぐり暴言を吐いたことが大きな問題になっている。番組自体をBPOに告発すべき、国会でも追及すべきという声もあがっており、読売テレビ内でも「今回はさすがにまずい」という空気が流れ始めたという。
 
 しかも、本サイトでも指摘したように、これはたんにトチ狂ったネトウヨジジイが暴走しただけの話ではない。津川はもともと「安倍晋三総理大臣を求める民間人有志の会」発起人のひとりで、最近も安倍首相から直轄の「日本の美」総合プロジェクト懇談会座長に指名されるなど、安倍首相の盟友とも言える人物。また、発言の舞台となった『そこまで言って委員会』も安倍首相が何度も出演している露骨な安倍応援番組で、実際、この日は津川以外にも、司会の辛坊治郎、コメンテーターの中田宏、金美齢、竹田恒泰などがブログやデモ、国会で保育園問題を取り上げた民主党をひたすら攻撃していた。
 番組に津川を呼んだのは、同番組の制作会社・AZITOの代表、井関猛親氏だという。井関氏といえば、百田尚樹の『殉愛』騒動でさくら夫人の代理人的な動きを見せ、やしきたかじんが遺産を寄付することにしていた団体に、さくら夫人や百田とともに寄付放棄を迫ったことなどでも知られているが、安倍首相を初めて番組に呼び、安保法制の国会審議中の出演を仕掛けるなど、安倍首相と太いパイプをもっていることでも知られている。
「いつもの安倍応援団に加えて、津川さんを呼び、保育所問題で窮地に立った安倍政権を番組ぐるみで擁護しようとしたということでしょう。でも、津川さんがつい本音をしゃべってしまい、逆に安倍政権の足を引っ張る結果となった(笑)」(在阪テレビ局関係者)
 
 実際、津川の発言は安倍政権の本音と言っていいだろう。安倍首相の国会答弁を見てもわかるように、官邸は当初、待機児童問題にまともに取り合う気などさらさらなく、むしろ、姑息な情報操作で批判封じ込めを画策していた。実際、官邸からその「保育園落ちた」ブログへのカウンター情報が新聞・週刊誌に流されていたのだ。
「この問題が盛り上がりを見せた3月の中旬くらいから、『保育園落ちた』ブログは民主党の山尾志桜里議員の仕込みだった、という話が官邸周辺からやたら流れてきたんです。新聞には首相補佐官レベルの人間がオフレコで語っていたようですし、週刊誌には内閣情報調査室の雑誌担当が『ヤラセ説があるんだけど、取材してみたら』としきりにアプローチしていた」(週刊誌記者)
 
 山尾議員といえば、2月29日の衆院予算員会でこのブログのことを取り上げ、安倍首相から「匿名である以上議論しようがない」と突き放した答弁を引き出した議員。その舌鋒鋭い追及に一気に注目が集まり、本日27日に結成される民進党では、政調会長に抜擢されることが決まった。
 このブログを国会で取り上げ質問した山尾議員がヤラセで仕込んでいたとすれば、たしかに一気に流れが変わるだろう。
 だが、結論から言うと、これは完全なガセ情報だった。情報提供を受けて、複数の週刊誌が取材に動いたようだが、ブログ主と山尾議員との接点がまったく見つからなかったのだ。
 当たり前だろう。そもそも、このブログがアップされたのは2月15日だが、拡散した大きなきっかけのひとつは山尾議員ではなく、病児保育に取り組むNPO法人フローレンスの駒崎弘樹氏だった。駒崎氏はむしろ稲田朋美政調会長と会談をしたり、菅義偉官房長官に署名を手渡したり、最近は民主党より自民党に接近している人物。
 山尾議員は、この駒崎氏などが取り上げて大きな問題になった後、2週間も経ってから国会で質問しただけで、ブログ主と接触した形跡もない。
 
 また、「保育園落ちた」のブログ主は、ブログが話題になった後、複数のメディアのインタビューに応じ、ツイッターも始めているが、それを読んでも党派性がまったくないどころか、政界とほとんど無縁であることがよくわかる。
 たとえば、「ハフィントンポスト」のインタビューでは、「この問題はどこの党に所属していようが関係ない日本の問題だと思っていますのでみんな協力していって解決して欲しいと思います」と党派を超えて考えるべきだと主張しているし、ツイッターでは「安倍首相」を「安部」と書き間違えたり、国会中継を今までちゃんと見たことがなかったことも告白している。
 
 この件で取材に動いた前出の週刊誌記者が苦笑しながらこう語る。
「とんだガセをつかまされるところでしたよ。実は、この情報にはディテールもあって、山尾議員の夫が元ライブドアの役員で、現在もIT企業を経営しているためネットに強い。その夫が全面協力して、仕込んだという話でした。これを聞いた時は、一瞬、何かあるような感じがしたんですが、『保育園落ちた』のブログは『はてなブログ』で、ライブドアも今の山尾議員の夫が経営しているIT企業もまったく関係がない。それ以前に、この程度のブログを仕込むのにITの特別な知識や人脈なんて必要ない。考えてみたら最初からかなりいい加減な情報で、ほとんど妄想に近いものでした。まあ、北村滋内閣情報官がトップになってからの内調は完全に安倍官邸の謀略機関と化していますからね。政権に有利に働くとみるや、裏が取れていないデタラメ情報でも、どんどん流してくる。何か一つでもマスコミが裏を取ってくれればめっけもの、というくらいの発想なんでしょう」
 
 しかも、これが不発に終わると、今度は安倍応援団の中でも一番下劣なネトウヨたちが無茶苦茶な論理で、この「保育園落ちた」ブログにからみ始めた。
 東京都が韓国人学校増設に都有地を貸し出す方針を発表したことを受けて、「保育園落ちた」ブロガーに対して「保育所に回すべき土地を韓国人学校に貸した東京都になぜ怒らないのか」と一方的にリプライをとばし、それがブロックされると、「やっぱり政権叩きが目的だった」「『保育園落ちた』はチョンだ」「子供がいない仕込みであることがはっきりした」などと、このブロガーに対して、いわれなき誹謗中傷やヘイト攻撃を展開し始めたのだ。
 保育所問題に困っている人が韓国人学校への土地貸与に関心がなくてもなんの不思議もないし(そんなことを言い出したら、東京都のすべての土地使用に怒らなければいけなくなる)、そもそも待機児童の最大の原因は、土地が足りないことよりも、保育士不足なのだ。ようするに連中は、こんなことも知らないまま、安倍政権を擁護するために必死で言い掛かりをつけ、保育所問題を封じ込めようとしているのである。
 
 ひとりの母親が口にした困窮の言葉さえも、さまざまな卑劣な手口を使って、潰しにかかろうとする安倍政権とその応援団たち。そのグロテスクな謀略体質には、もはや言葉もない。 (田部祥太)