2016年3月6日日曜日

カナダ3都市9条の会 カナダ外相の「安保法歓迎声明」の撤回を求める

 岸田首相は2月12日、カナダのオタワでステファン・ディオン外相と会談し共同声明を出しました。
 
 カナダのモントリオールトロントバンクーバーの各9条の会は連名で、同日の共同声明でディオン外相が日本の安保法制を含めて歓迎すると述べたことについて、カナダの有権者の期待を背負って誕生した自由党政権が、日本国憲法の基本的原則の一つを根本的に脅かすような法案を公的に支持するというのは良心に反した行為であるとしました。
 そしてディオン外相日本の平和安全法制への歓迎」を正式に撤回することと、2月12日付の岸田外務大臣との共同声明を修正することを要求する公開書簡を、トルドー首相とディオン外相に送ったことを明らかにしました。
 
 この情報を寄せたモントリオール長谷川澄氏は、バンクーバー9条の会のホームページ(記事中にURL記載)に掲載されている公開書簡の記事を添付して、読者が日本のカナダ大使館に書簡に賛同する旨メールを送って欲しいと要請しています
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カナダ3都市の9条の会 : 
ディオン外相に「安保法制歓迎発言」撤回を求める声明
    レイバーネット 2016年3月4日
 長谷川澄(モントリオール)   
 2月12日付、オタワ・シチズン新聞(写真:添付省略)によると,日本の外相岸田文雄がカナダ外相ステファン・ディオンと同日オタワで会談し、その後に発表された共同声明でディオン外相は“日本が世界の平和と安定と繁栄のためにより積極的な役割を担うことをその平和と安全の法制(安保法制のこと)を含めて歓迎する”と述べた。その後に外務省の高官が“焦点は世界平和と安全に対する日本の建設的な役割にある”と問題の多い安保法制への言及を意識した火消し発言をした。しかし、岸田外相は外務省で行われた両外相による記者会見で、安保法制に殊更に触れ、“日本は新しく制定された法律の下でより積極的な役割を果たしていく。そのことをがカナダに歓迎された”と述べた
 
 これは私たち、カナダの9条の会の者としては、聞き捨てならないことだ。ディオン外相が日本の安保法制制定の背景や日本の憲法について、どの程度知っているのか分からないが、日本国民の大多数が審議が充分に尽くされていないと感じ、憲法学者の殆どが違憲だと判断し、近隣国が日本の軍国主義の復活を懸念している戦争法をなぜカナダの外相が歓迎しなければならないのか。現政権は前政権のタカ派政策とは一線を画していた。シリア、イラクでのIS拠点空爆から撤退したし、前政権が制定した、重国籍を持つカナダ人がテロやスパイ犯罪に関わった場合、カナダ国籍を剥奪できるC-24法の廃案も決まったばかりだ。そのような現政権に私たちは大きな期待を寄せていた。
 
 また、前政権の間に冷え込んだ中加関係を元に戻そうと、双方が努力している今、中国も警戒している日本の戦争法を歓迎などして、カナダにとって益になることはない。このため、2月24日、カナダのバンクーバー、トロント、モントリオールの3つの9条の会が合同でトルドー首相とディオン外相に宛て、安保法制支持撤回を求める公開書簡を送付した。送付した書簡は英語であるが、バンクーバー9条の会のホームページにはそれの仏語、日本語、中国語訳も掲載してある。
 これに対する、首相、外相からの返事はまだきていない。日本の個人や団体で、この公開書簡に賛同する人はこのサイトを添付して、日本のカナダ大使館に書簡に賛同する旨メールを送ってください
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カナダ ジャスティン・トルドー首相、ステファン・ディオン外相への公開書簡
2016年2月24日
ディオン外相に、日本の違憲「平和安全法制」への支持の撤回を求めます。
 
トルドー首相殿、ディオン外務大臣殿:
私たちは、日本戦後憲法の戦争放棄条項である第9条を支持するモントリオール、トロント、バンクーバーそれぞれの都市の市民グループです。
 
憲法九条
日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
 
去る2月12日、カナダのディオン外務大臣と、日本の岸田文雄外務大臣がオタワで会談し、日加共同声明を発表しました。下記にあるのはその声明からの抜粋です。
 
ディオン大臣は、平和安全法制を含む「積極的平和主義」に基づき日本が世界の平和、安定および繁栄のためにより一層積極的な役割を果たすことを歓迎した。
日本の「平和安全法制」は、昨年9月に不透明かつ非民主的な手続きで国会を通過した法案で、野党からはその違法性を指摘されています。このように大変な議論を巻き起こしている法制を、カナダ政府が正式に「歓迎」すると表明したことに、私たちは驚きを隠しきれずにいます。この法制は、自衛隊の海外での活動を拡大することを目的としたもので、日本がこれまで憲法九条に基づき遵守することを義務付けられてきた「専守防衛」方針に違反するものです。日本の市民の過半数がこの法制に反対しています。また、2015年7月に行われた調査では、日本の憲法学者のほとんどがこの法制を「違憲」と見ています。昨年この法案が成立に至るまでの日々、毎日のように何千、何万もの人々が国会議事堂前で反対を訴えました。抗議活動は現在も続いています。先日の2月19日にも、野党側の5政党がこの法制の廃止を求める法案を提出したばかりです。
自由党政権はより外交的手段を重んじ、軍事には依らない国際紛争や緊張の解決にあたるであろうと、カナダの有権者の期待を背負って誕生しました。この政権が、他国の憲法の基本的原則の一つを根本的に脅かすような法案を公的に支持するというのは良心に反した行為です。これは例えば、カナダで同様に激しい議論を呼んできたC-51法案を日本政府が称賛することに匹敵することではないでしょうか。
 
わたしたちは民主主義と平和の精神にのっとり、ディオン氏に以下の二点を求めます。
(1)ディオン氏が、日本の「平和安全法制」への「歓迎」を正式に撤回すること
(2)(1)にならい、2月12日付の岸田外務大臣との共同声明を修正すること
モントリオール九条を守る会
トロント九条の会
バンクーバー九条の会(http://vsa9.org/
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