2016年3月27日日曜日

時代錯誤!!「共産党は今も破壊活動防止法の調査対象」と政府答弁書

 政府は22日の閣議で、鈴木貴子衆院議員(無所属)の質問主意書に対して、共産党について「警察庁としては現在においても『暴力革命の方針』に変更はないものと認識している」とする答弁書を決定しました。共産党が戦後に合法政党になって以降も「日本国内において暴力主義的破壊活動を行った疑いがあるものと認識している」ともしました。
 
 余りにも共産党の実態からかけ離れていて戦前の特高警察ならばかくもあるか と思わせるような代物です。公安調査庁がなぜいまだにそんな時代錯誤な認識を墨守してるのかは分かりませんが、きっとそうしておかないと自分たちの存在意義がなくなるからでしょう。逆な言い方をすれば、そうした主張を裏付ける証拠は何一つ持っていない筈です。あり得ないことだからです。
 因みにこの件について、「日刊スポーツ」は「共産=暴力革命・・・時代錯誤」の、また「東京新聞」は「進む野党共闘『自民に焦り』」の見出しをそれぞれ付けて、報じています。
 
 共産党は綱領や規約、大会決定等々すべてを公表していますが、暴力革命方針等はそのどこにもありません。共産党は結党以来90年近くになる、日本で一番歴史のある政党で、戦前の大政翼賛会に唯一抵抗して戦争に絶対反対を貫きました。
 戦後のまだ綱領等がない混乱期に、ごく一部の人たちが暴力的路線に走ったことはあったようですが、そうした誤りを党全体でキチンと総括して今日の民主的路線を定着させました。
 
 NHKニュース、BLOGOS、しんぶん赤旗の記事を紹介します。
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「共産党は今も破壊活動防止法の調査対象」答弁書決定
NHK NEWS WEB 2016年3月22日
政府は22日の閣議で、共産党について、現在も破壊活動防止法に基づく調査対象団体であるなどとした答弁書を決定しました。
この答弁書は、無所属の鈴木貴子衆議院議員が提出した質問主意書に対するものです。
それによりますと、昭和57年4月、当時の公安調査庁長官が参議院法務委員会で、共産党が破壊活動防止法に基づく調査対象団体の1つだと答弁したことに触れたうえで、「現在においても破壊活動防止法に基づく調査対象団体である」としています。
そのうえで、「警察庁としては、現在においても共産党の『いわゆる敵の出方論』に立った『暴力革命の方針』に変更はないものと認識している。政府としては、共産党が昭和20年8月15日以降、日本国内において暴力主義的破壊活動を行った疑いがあるものと認識している」としています。
 
「不当な侵害 厳重に抗議」
共産党の山下書記局長は記者会見で、「私たちは、日本の政治社会の変革については、言論や選挙を通じて、国民と共に一歩一歩、進歩させ前進させるという立場に立っており、破壊活動防止法の対象になるようなことは、過去にも、現在にも、将来にも一切ない」と述べました。そのうえで、山下氏は「憲法上の結社の自由に対する不当な侵害であり、改めて厳重に抗議し、答弁書の撤回を求めたい。公安調査庁は、存在意義のない行政機関になっており、速やかに解散すべきだ」と述べました。
 
 
今どき破壊活動防止法で監視するんだと  
志村建世 BLOGOS 2016年03月25日
(熊さん)自民党が共産党を目の敵にしてるのはわかるけど、今でも「破壊活動防止法で監視している」ってのは、どうなんでしょうね。
(ご隠居)共産党のイメージを少しでも悪くしようとして必死なんだな。今の日本共産党の綱領のどこを読んだって、暴力革命に結びつけられるわけはないんだが、不勉強というよりも、共産党は怖いという古いイメージを何としても復活させたいわけだ。すべては次の選挙への対策だよ。野党の結束に共産党が加わった場合の効果が、何よりも恐ろしいわけだ。選挙に勝つためなら何でもするというのは、安倍自民党こそが率先してやっていることだよ。投票率の高い老人に給付金を配るなどは、ずはり賄賂のようなもんだ。
 
(熊さん)でもさ、共産党に戦後の一時期、暴力的な運動があったのは本当なんでしょ。
(ご隠居)労働運動では生産管理とか、地域では山村工作隊とか、中央では政府を倒すゼネストとか、革命をめざした時期があったのは事実だが、それは国民にも支持されなかった。壊滅的な打撃から立ち直った自己批判の上に今があるわけだよ。過去があるから今もだめだというのは、まるで理屈にならないな。そんなことを言うんなら、安倍自民党はどうなんだ。美しい日本を取り戻すだの、戦争のできるふつうの国になるなどの古い日本が何をしてきたか、ろくに反省もしてないじゃないか。
 
(熊さん)破壊活動って言えば、自民党がやってきた憲法を破壊する活動はどうなんですか。あれは防止法に引っかからないんですかね。
(ご隠居)あはは、面白いことを言うね。破壊活動防止法というのは、そもそも昭和27年に吉田内閣が共産党対策として作ったものなんだ。独立後の共産革命を封じるのが目的だったんだね。だから制定前後には反対運動も激しくて、流血の衝突を繰り返す騒ぎだったんだよ。だけど曲りなりにも民主主義が尊重されていた時代だから、内容は妥協を重ねて、警備当局が期待したようなものにはならなかった。だからオウムのサリン事件にさえ、適用は見送られたんだよ。まあ、名前は大げさだが、破壊活動を目的にした政治結社は許さないという、原則を掲げた訓示みたいな法律なんだな。
 
(熊さん)そんな骨董品みたいな法律を持ち出して、共産党を攻撃したわけだ。
(ご隠居)それより、熊公が言った「憲法への破壊活動」という皮肉は強烈だな。そういう法律はないが、憲法の中には第99条というのがあって、天皇以下、総理・国務大臣、国会議員を含むすべての公務員は、憲法を尊重し擁護する義務を負うと定めているんだ。憲法が憲法であるかぎり、憲法を破壊する行為は、誰であろうと許されることじゃないんだよ。 
 
 
「破防法」答弁書 市民が批判 時代錯誤 安倍政権
「共産党への攻撃は市民への脅し」「反共は戦争の前夜」 識者も指摘
2016特報 しんぶん赤旗 2016年3月26日
 日本共産党を「現在においても、破壊活動防止法(破防法)に基づく調査対象団体である」「『暴力革命の方針』に変更はない」などとした安倍内閣の答弁書(22日閣議決定)に、怒りが広がっています。メディアでも「過熱する反共」(「東京」24日付)、「政府の時代錯誤」(日刊スポーツ24日付コラム)と、政府の対応を問題視しています。権力を使った「反共キャンペーン」からみえてくるものは――。(若林明)
 
 「共産支持者ではないが、共産党に破壊(活動)防止法適用のニュースには怒りを感じる。国民の支持を受ける公党への誹(ひ)謗(ぼう)とうつる」、「自民党こそ、日本の平和を破壊しようとしている」。党本部への電話・メールやツイッターなどの投稿で、こんな批判が広がっています。
 
国民は分かっている
 法政大学元教授(政治学)の五十嵐仁氏は、閣議決定に対し「古色蒼然(そうぜん)です。共産党は暴力的な方法で政権転覆を考えていないし、暴力革命を方針としていないことは多くの国民はわかっています」と指摘します。
 日刊スポーツのコラム「政界地獄耳」(24日付)も、「多くの国民が(共産党を)暴力革命を画策する政党とは思っておらず議席も増えている。いつの時代の話をしているのか」との政界関係者のコメントをひき、「政府の答弁書の時代錯誤の方が問題だ」と断じています。
 安倍内閣の答弁書が、日本共産党の綱領路線を百八十度ねじまげ、歴史の事実をわい曲した悪質なデマであることは、22日の山下芳生書記局長の会見や本紙24日付の論評「『議会の多数を得ての革命』の路線は明瞭」で、疑問の余地なく明らかにされています。
 
 日本共産党は戦前も戦後も党の正規の方針として「暴力革命」の方針をとったことは一度もありません。多額の税金を使って不当な手段で「調査活動」を行っている公安調査庁が60年以上「調査」しても、「暴力革命」の「証拠」など、一つもあげることができません。
 
憲法軽んじる内閣が暴力的
 五十嵐氏は共産党へのデマによる誹謗は戦争前夜の声であると指摘します。
 「戦前日本もドイツも、戦争へと突入できるようにするために、もっとも頑強に戦争に反対した共産党を弾圧しました。ナチスは国会議事堂放火事件をでっち上げ、それを口実に共産党を弾圧し、ヒトラーの独裁体制を確立しました。やがてその弾圧は自由主義者やカトリックへと拡大し、ドイツは世界を相手に戦争をする国になっていったのです。同じように、安倍政権は、共産党を狙い撃ちにした攻撃によって戦争をする国づくりをすすめようとしています」と戦前と共通の危険性を語ります。
 まさに「反共は戦争の前夜」との指摘です。
 
 政府答弁書の閣議決定を共産党への攻撃にとどまらないと指摘するのは、同志社大教授の岡野八代さんです。
 「共産党は、安保法制に反対する運動の中で市民と一緒に活動してきました。その共産党を破防法の調査対象団体だという政府答弁書は市民への威圧、脅迫と考えられます。憲法違反の安保法制に反対する市民の活動は憲法を順守した活動です。それにたいして、『違憲内閣』が振り下ろしてきた弾圧が今回の閣議決定です」
 岡野さんは「私たちの人権を守ってくれているのが憲法です。破防法よりも上位にある憲法を軽んじ、憲法改悪を公言する安倍内閣こそ『暴力的』です」と指摘します。
 
野党共闘への焦りの表れ
 なぜ、閣議決定による答弁書という方法まで使って、共産党攻撃に出てくるのか。
 前出の五十嵐氏は「安倍政権は、野党共闘がどれほど大きな政治的転換をもたらすかをわかっています。だから、その推進力となっている共産党へ攻撃を集中している」と分析します。「東京新聞」24日付も「自民党の反共キャンペーンの背景には、野党共闘の進展がある」と指摘します。
 
 自民党は、「『野党統一候補』=『民共合作候補』」と誹謗中傷するビラを作成。「私たちが戦うのは、“ひ弱な野党”ではありません。相手はその裏で確実に勢力を拡大しつつある共産党」と反共主義をむき出しにしています。公明党も根拠もない日本共産党への悪口を並べ立てた『日本共産党のウソを暴く』というパンフレットを「非売品」として流布させています。
 しかし、政界に詳しいメディア関係者は「『合作』や破防法を持ち出すのは古すぎる。これは自民党、公明党の焦りの表れだ」と指摘。自民党関係者からも、「“容共=自由の敵”のような構図は、古い冷戦構造を前提にしたイデオロギーで、現在の状況には合わない。逆効果ではないか」との声ももれます。
 悪質なデマまで使ったなりふり構わない安倍自公政権の反共キャンペーンにどう立ち向かうか。
 岡野さんは「一定の国民の支持を受け国会に議席を有する公党である共産党への弾圧は、結社の自由の侵害、議会制民主主義の破壊です。共産党以外の野党も含めて、市民からも批判の声を上げていくべきです」とのべます。