高市総務相が政治的公平性を欠いた放送をした放送局に「電波停止」を命じる可能性に言及していることについて、憲法学者らでつくる「立憲デモクラシーの会」は2日、衆議院第二議員会館で記者会見し、「放送事業者の表現活動が過度に萎縮することは免れない」と批判する声明を発表しました。
声明は、放送法第4条の文言を根拠に放送事業者を処分すれば「違憲との判断は免れがたい」とし、公平性に反するかどうかを政党の政治家である閣僚が判断すること自体も問題であるとしています。
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高市氏発言「放送を萎縮」 立憲デモクラシーの会が批判
東京新聞 2016年3月3日
高市早苗総務相が政治的公平性を欠いた放送をした放送局に「電波停止」を命じる可能性に言及していることについて、憲法学者らでつくる「立憲デモクラシーの会」は二日、東京・永田町の衆議院第二議員会館で記者会見し、「放送事業者の表現活動が過度に萎縮することは免れない」と批判する声明を発表した。
声明は、放送法が求める「政治的に公平であること」などの原則は「抽象的な要請にすぎない」と指摘。憲法で表現の自由が保障されているのに、漠然とした放送法の文言のみを根拠に放送事業者を処分すれば「違憲との判断は免れがたい」と主張する。公平性に反するかどうかを政党の政治家である閣僚が判断することも問題視している。
会見で、共同代表の樋口陽一・東京大名誉教授は「なんびとも自分自身が関わっている事柄について、裁判官となってはならないというのは、自由民主主義社会の基本原則」と政府の姿勢を批判。阪口正二郎・一橋大教授は「政治が放送をコントロールすることは危険。政府にとって都合のいい情報しかメディアから入ってこなくなれば、国民が主権者でいられなくなる」と訴えた。
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【声明の趣旨】(立憲デモクラシーの会ホームページより)
2016年2月8日の衆院予算委員会で高市早苗総務大臣は、放送局が政治的な公平性を欠く放送を繰り返したと判断した場合、放送法4条違反を理由に、電波法76条に基づいて電波停止を命ずる可能性に言及した。この高市総務大臣の答弁に象徴されるように、昨今、政府与党による、放送法を口実にした報道への威圧的な介入が相次いでいる。
だがそもそも、放送法や憲法が報道の自由について定めていることとは何なのか、メディアに求められる「中立・公平」とは何を意味するのか。立憲デモクラシーの会として、改めてその見解を報道関係者・市民に示したいと考える。