夏の参院選の前哨戦として注目される衆院北海道5区補選では、自民は年末に安倍首相が新党大地の鈴木宗男氏を官邸に招いて協力を取り付けるなどして、万全の態勢で臨んだはずですが、5野党統一予定候補の池田まき氏に勢いがあって、自民は大いに危機感を強めているということです。
野党共闘の効果は想像以上で、もしも自民が負ければ参院選、ダブル選などのシナリオが大きく狂う可能性もあるということです。
22日に共産党は暴力革命政党などという時代錯誤の閣議決定をしたのも、鈴木宗男氏の娘の鈴木貴子議員の質問主意書を受けてのもので、当然にこの海道5区補選を意識したものでした。勝つためには何でもするというわけです。
投票率が勝敗を大きく左右するとも見られていて目が離せません。
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焦る官邸 なりふり構わず 大激戦の衆院北海道5区補選
しんぶん赤旗 2016年3月27日
夏の参院選に衆院解散・総選挙を重ねるダブル選の可能性も強まる中、その前哨戦として注目される衆院北海道5区補選は、5野党統一予定候補の池田まき氏と自民党の和田義明予定候補との一騎打ちの構図です。当初、楽勝を予想していた自民党にとって思わぬ大激戦となり、危機感を強めています。
「19日から21日の3連休で行った自民党独自の情勢調査では、野党候補がものすごい追い上げだ」
自民党関係者の一人は生々しい数字をあげました。「これまでダブルスコア以上の差だったのだから、勢いを含め評価すれば互角。官邸は『誤差の範囲』とし危機感を強め、焦っている」
同党閣僚経験者は「無党派層で野党候補支持が伸びている。投票率が上がると非常に厳しくなる。この流れは非常に怖い」と語ります。別の自民党議員は「野党共闘の効果は想像以上だ」と警戒します。
急きょ政見放送
安倍晋三首相は23日に急きょ、衆院北海道5区用の政見放送を党本部で収録しました。関係者によると、候補者を立てる故・町村信孝衆院議長の派閥(現・細田派)だけでなく、自民党すべての派閥に対し「半強制」で「トータルで1000人以上」の秘書を現地投入する“大量動員態勢”を敷いているといいます。
「もし負ければ参院選、ダブル選などのシナリオが大きく狂う可能性もある。何が何でも負けられない」(関係者)という官邸の強い執念を示しています。自民党内には「野党共闘に関心も集まり、市民が前に出始めている」という不安の声が広がっています。
安倍内閣は22日、現在でも日本共産党が破壊活動防止法に基づく「調査対象団体である」などとした政府答弁書を閣議決定しました。日本共産党が「暴力革命」を方針としているかのような悪質なデマ攻撃を政権があげて行うもので、野党共闘の前進に対する焦りの表れです。同答弁書は、北海道5区補選で日本共産党との共闘に反対して民主党からの離党を表明し、同党から除籍となった鈴木貴子衆院議員の質問主意書への返答です。鈴木氏の出身母体である北海道の地域政党・新党大地と安倍政権との謀略的な協力関係を示すものです。
参院選挙に向け、安倍政権は来年4月予定の消費税率10%への増税実施を再延期する検討に入っています。「参院選自体、増税の是非を争点にしては勝てない」(関係者)という思惑です。
党略あけすけに
自民党の溝手顕正参院議員会長は20日のNHK「日曜討論」収録後、記者団に「増税をやるかやらないかという状況のままで参院選に入れない」「来年4月(増税)というタイミングでは良くない。大変だ」と語り、ダブル選について「賛成だ。やった方が参院選には有利だ」と語りました。これに対し自民党内からは、「正直といえば正直だが、あまりに露骨に党略的意図を語るもので、党内や公明党からも批判が出ている」という声が漏れます。(中祖寅一)