経済学者の植草一秀氏が各種の指標を示して日本経済が惨状に陥っていることを示しました。
経済成長率は、14年度がー1・0%、15年度は12月時点でー0・4%で、超低迷を続けています。
実質GDP成長率は、民主党政権時は+2・0%であったのに対して、安倍政権では+0・8%に落ちていて、民主党政権下の日本経済よりもはるかに劣悪なパフォーマンスを示しています。
また実質所得の伸び率は12年度~13年度が-0・8%~-1・0%、14年度~15年12月がー0・3%~-0・1%であって国民の所得は減っています。
こうした状況は、アベノミクスが国民の幸福には全くつながらなかったことの証明で、景気が超低迷を続けているなかで消費税率をさらに引き上げれば、消費はさらに減退し日本経済は崩落してしまうと述べています。
あいば達也氏も、GDPのマイナス成長から、日本経済は経済成長どころか既に経済縮小に入っていることは歴然としていて、リーマンショック以上の経済危機が起きていると述べ、これは消費増税を中止する条件を満たしたことになるので、「消費増税中止を争点で解散総選挙」をするのではないかと見ています。
このところ政府は俄かに「保育園落ちた」に関するネット世論に気配りを見せたり、安倍首相が非正規労働者と懇談したり、女性の再婚禁止期間を100日に短縮する閣議決定をしたり、福島の除染強化を表明したり、辺野古の工事中断するなど、選挙対策と思われる見事な変わり身を見せています。
そして選挙に勝てば国民の支持が得られたとして、また強引な極右の政権運営に奔ることになります。
来る選挙では、今度こそそうしたパフォーマンスに惑わされない投票結果を示して欲しいものです。
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アベノミクスで日本経済転落という不都合な真実
植草一秀の「知られざる真実」 2016年3月 8日
日本経済の低迷が続いている。
2014年度の経済成長率は -1・0%だった。
2015年4月以降の経済成長率はどのように推移しているか(いずれも実質前期比年率)。
2015年4~6月期 -1・4%
2015年7~9月期 +1・4%
2015年10~12月期 -1・1%
2014年度の成長率が-1・0%で、今年度に入ってからの成長率が、-1・4%、+1・4%、-1・1%の推移を示している。
誰がどのように見ても、日本経済は超低迷を続けていることは明白だ。
安倍首相は「アベノミクスで日本経済は良くなった」と繰り返すが、現実のデータはその発言を全面的に否定している。
第二次安倍政権がスタートしたのは2012年12月。
当時と比べて改善したと言えるのは、株価 失業率 有効求人倍率 だけなのだ。
日経平均株価は2012年11月14日の8664円から2015年6月24日の20868円に上昇した。ただし、その後は反落して、この2月には15000円を割り込んだ。
失業率は2012年度の4・3%から2016年1月の3・2%に低下した。
有効求人倍率は2012年度の0・82倍から2016年1月の1・28倍にまで上昇した。
安倍政権はこれらのデータを強調して、アベノミクスは成功したと強弁している。
しかし、経済全体の推移を示す実質GDPの数値を見ると、第二次安倍政権下の日本経済が著しく停滞していることが判明する。
民主党政権下の2009年10‐12月期から2012年7-9月期の実質GDP成長率平均値は+2・0%だったが、
第二次安倍政権下の2012年10-12月期から2015年7-9月期の実質GDP成長率は+0・8%にとどまる。
第二次安倍政権下の日本経済は、民主党政権下の日本経済よりもはるかに劣悪なパフォーマンスを示しているのである。
安倍首相が自画自賛する株価、失業率、有効求人倍率の、見かけの良さは、実は日本経済の負の側面を明示するものになっている。
失業率や有効求人倍率の改善は、日本経済のなかで仕事に就く人数が増えていることを意味する。
しかし、その一人一人の所得の状況はどうなっているのか。
労働者の所得を示す経済統計がある。毎月勤労統計である。
この統計が、労働者の基本給、時間外手当、ボーナスの推移を数値で示す。
この三つを合わせたものを「現金給与総額」と呼ぶ。
この伸び率からインフレ率(消費者物価上昇率)を差し引いた実質所得の伸び率を見ると、
2012年度 -0・8%
2013年度 -1・0%
2014年度 -0・3% と推移し、
2015年12月 -0・1% となっている。
こちらの統計は一人当たりの実質所得の伸びを示している。
所得がまったく増えていない。むしろ減っているのである。だから消費が拡大しない。景気が超低迷を続けているのだ。この状況下で、消費税率をさらに引き上げれば何が起こるのかは明白だ。消費はさらに減退し、日本経済は崩落してしまうだろう。
安倍政権は選挙を控えて、2017年4月の消費税再増税の再延期を計画していると見られるが、とても消費税増税を実施できる状況にはないのである。
安倍政権は増税先送りを自公勢力の選挙に有利なかたちで発表しようとしているが、問題は、アベノミクスそのものが、一般国民の幸福にはまったくつながってこなかったという厳然たる事実にある。
(後 略)
(以下は有料ブログのため非公開)
解散総選挙モード突入か リーマンショック以上の日本経済の危機
世相を斬る あいば達也 2016年03月09日
今夜は、“「実体経済から金融経済」 次は「戦争経済」へ突入か?”と云う見出しを書きこんだが、やめた。どうも、野党の連中がウロウロしているのを尻目に、安倍晋三の周りでは、選挙公示日間近の空気感が漂っている。此処数日のマスメディアの関連記事を拾い出しただけでも、その臭いは窺える。以下に、拾い出してみよう。一番目に掲載した記事は、7日の予算委員会における、安倍晋三の発言だが、この発言の逆な現象が、安倍の心の中で起きていると解釈した方が、妥当性がある。
“解散は、まったく考えていない”これは周知のように、日本の首相が言って良いと公認されている「嘘」の一つである。だから、言葉通り受けとめるのはアホウということだ。次に、大震災は、どんな馬鹿でも認知できるので、その通りだが、“リーマンショック”でも起きない限りと云う発言は、曲者だ。なぜなら、既にアベノミクスの大失敗と世界不況の煽りを食い、日本経済は、経済成長どころか、経済縮小に入っていることが、GDPのマイナス成長から歴然としてきた。
これに、経済成長のカンフル剤として投入された、異次元緩和と為替誘導(円安)、官製相場(株高)は、国富を注ぎこんだのと同じ意味なので、にもかかわらず、経済成長どころか、経済縮小の状況になっている。更に、この国富の投入は、更に日銀黒田のマイナス金利と云う荒業まで投入させる事態を招いている。つまりだ、結論を急げば「日本経済はリーマンショック以上の危機にある」となるので、リーマンショック以上の事態が、アベノミクスと世界同時不況の中で起きている。
リーマンショックは頭を殴られた程度だが、あらゆる国富を投じても、日本経済が、根本的に縮小している事実は、これは、リーマンショック以上の経済危機が起きていると云うことになる。本質的、縮小国家の証明に近いのだ。だから、安倍の言葉には、嘘はないのかもしれない。リーマンショック以上に酷い経済状況なのだから、消費増税なんて出来るわけがない。世界のどこかの国が、けん引する経済リーダーとなるのなら、漁夫の利的アベノミクス効果も希望があるが、米国経済の好況感は、金融経済の世界の話で、実体経済主義な日本経済にとって、波及効果は望めない。公認された「嘘」と、リーマンショック以上の事態は、既に起きているのだから、「消費増税中止を争点で解散総選挙」と安倍首相は発言したつもりかもしれない。
≪ 首相、衆院解散は「全く考えていない」 消費税増税は「リーマン・ショックや大震災が発生しない限り予定通り…」 (朝日新聞:久永隆一)
(記事の概要は省略)
≪ 「保育園落ちた」ネット世論で政権一転 首相も軌道修正 (朝日新聞)
(記事の概要は省略)
≪ 安倍首相 非正規労働者と懇談 (毎日新聞:加藤明子)
(記事の概要は省略)
≪ 女性の再婚禁止期間、100日に短縮…閣議決定(読売新聞)
(記事の概要は省略)
≪ 安倍首相、福島の除染強化を表明…参院予算委 (読売新聞)
(記事の概要は省略)
≪ 首相、春闘で「賃上げ実現を期待」…参院予算委(読売新聞)
(記事の概要は省略)
≪ 首相「福島を水素エネ開発拠点に」…五輪で活用(読売新聞)
(記事の概要は省略)
≪ 辺野古代執行訴訟、国と沖縄和解…工事中断指示(読売新聞)
(記事の概要は省略)
≪ 国際金融経済分析会合 16日開催 ノーベル賞学者のスティグリッツ氏招く(毎日新聞)
(記事の概要は省略)
(事務局記 ノーベル経済学賞受賞者のジョセフ・スティグリッツ氏は、これまで安倍政権の経済政策「アベノミクス」に賛意を示し、消費税率アップは時期尚早としてきた人です)
少々羅列し過ぎたきらいはあるが、強権安倍晋三が、マスメディアを掌握したことで、選挙モードへの号砲がなったような動きを見せている。キーポイントは、代執行訴訟における、唐突な安倍首相の和解受け入れ宣言にあるのだろう。和解受け入れが、号砲のように、安倍晋三は国民に揉み手をしながら接近している。これは、どう解釈すれば良いのだろうか。急にものわかりの良い、善政政治家に変身した。衆参W選なら、野党の連携もそれなりに陣容が整うだろうが、解散総選挙を、参議院選前に打つのが、与党としてはベストなので、「揉み手と懐柔」の度を増すに違いない。ファッショな安倍の姿は、当面マスメディアでお目にかかれない。そうなったら、いつ、どのようなキッカケでも、安倍は、解散を決意する様相を呈してきた。