毎日新聞2016年3月19日
安全保障関連法の成立から半年となった19日、各地で廃止を求める市民らが集会を開いた。国のかたちを変える法の施行が29日に予定される中で、若い人たちを含めた市民らが未来に向けてのそれぞれの思いを訴えた。
東京都千代田区の日比谷野外音楽堂では、時折雨が降る中、約5600人(主催者発表)が集まった。野党議員や弁護士らの他に、高校生のグループ「ティーンズソウル」で活動する女子生徒(16)が登壇。「私が大人になっても、戦争がなく、未来の子どもたちが希望を持てる社会であるために行動していきたい」と呼び掛けた。
立ち見席を合わせて約3000人を収容する野外音楽堂が「戦争法廃止!」と書かれたプラカードを持つ参加者で満員となり、会場の外でも声を上げる人たちの姿が見られた。
長女(3)と参加した主婦、関宏子さん(30)は「憲法のことは学校で習ってから考えたこともなかった。子どもを持つ親として、平和の意味を勉強したくて足を運んだ」。
集会後の銀座に向けたデモを少し距離を置いて見守った女性(74)は「安保法制の流れは、戦争の被害者となるだけでなく、加害者になってしまう恐れがある。私にできる方法があれば訴え続けたい」と強調した。
京都市左京区の京都大であった集会では、学生団体「SEALDs(シールズ)」の中心メンバー、奥田愛基(あき)さんが約300人を前に「憲法には主権者は国民だとある。国民が訴えれば、各政党の方針も変えられるかもしれない。デモだけでなく、選挙に行き政治に関わることが必要だと主張していきたい」と話した。
広島市では、改憲論者として知られる小林節・慶応大名誉教授(憲法)が講演し、安保関連法を「『戦争法』以外の何ものでもなく、憲法違反だ」と訴えた。福岡市、長崎市などでも集会やデモ行進があった。【飯田憲、村田拓也、加藤小夜】