28日のLITERAは、鈴木貴子議員の質問主意書に対する安倍内閣の答弁書で、「日本共産党は、現在においても破壊活動防止法(破防法)に基づく調査対象団体であり、暴力革命の方針に変更はないと認識している」と述べたことを取り上げて、このように事実に反するネガキャン(ネガティブキャンペーン=誹謗中傷)を行って共産党を排除しようとするのはヒトラーと同じ手口だとする記事を載せました。
ヒトラーが率いたナチ党が躍進したのは、第一次世界大戦で敗北したドイツが帝政国家から共和国制に移行して、当時最も民主的とされたワイマール憲法を持して国が自由主義的雰囲気に包まれた中でした。
それでは自由主義的で共産党の支持者も多くいたドイツ共和国で、一体ヒトラーはどのようにしてあの恐るべき独裁権力を握ったのでしょうか。
1932年の総選挙でついにナチ党は比較第1党に躍進しました。そのとき共産党は第2党でした。
ナチ党のヒトラーは右翼の諸党と組んで多数を形成して首相の地位に就くと、その1か月後に起きた国会焼き討ち事件(犯人は不明でしたが、ヒトラーたちが行ったと考えるのが最も合理的です)を口実に、その翌日には言論や集会・結社の自由など、国民の基本的人権のほとんどを失効させる大統領令を発令し、数千人の共産党議員、党員、支持者そして共産党には全く無関係な自由主義的知識人たちを逮捕し投獄しました。
そうしてナチ党への反対勢力を国会から一掃したのちに「全権委任法」を成立させて、その後は思いのままのナチス独裁政治を行いました。
その独裁政治への策動の手始めとして、当時政治勢力的にもナチ党に迫っていた共産党を、でっち上げ事件によって徹底的に壊滅させたというのが、LITERAが言うところのヒトラーの手口です。
LITERAの記事はさらに、ここにきて「安倍首相は一気に9条第2項を争点にする」という見方が現実味を帯びてきていると述べています。
その独裁政治への策動の手始めとして、当時政治勢力的にもナチ党に迫っていた共産党を、でっち上げ事件によって徹底的に壊滅させたというのが、LITERAが言うところのヒトラーの手口です。
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LITERAの記事はさらに、ここにきて「安倍首相は一気に9条第2項を争点にする」という見方が現実味を帯びてきていると述べています。
「政権に体力があるうちに」としきりに進言する勢力があるというのですが、実に身の内外で狂気に取り憑かれている首相・・・です。
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安倍政権が共産党を「破防法の対象」と閣議決定!
露骨なネガキャンと共産党排除はヒトラーと同じ手口だ
LITERA 2016年3月28日
先週3月22日、安倍内閣が日本共産党について、「現在においても破壊活動防止法(破防法)に基づく調査対象団体である」「『暴力革命の方針』に変更はない」との答弁書を閣議決定した。無所属・鈴木貴子衆院議員の質問主意書に対する政府の回答だが、これに対し、ネット上では保守派やネトウヨたちが歓声をあげている。
「そんなテロ政党がドヤ顔で政治家やってるのが放置されてる不思議」「共産党を支持してる人もテロリストw」「日本から消えてどうぞ」「そんな連中と組む民進党w」「なるほど「民共」で暴力革命かw」
毎度のことながらなんという頭の悪さ。こいつらは破防法というのがどういう法律なのか、まったくわかっていないらしい。
破防法とは、「暴力主義的破壊活動」を行った団体に対する規制措置などを定めた法律で、たしかに共産党をずっと調査対象にしてきた。同法とセットで設置された破防法適用のための調査機関である公安調査庁(公安庁)のレポート「内外情勢の回顧と展望」の2016年1月版でも、イスラム国を始め、朝鮮総連、オウム真理教、中核や革マル等の新左翼セクト、一部右翼団体などとともに、現在でも日本共産党について述べられている。
しかし、この破防法はもとももと東西冷戦下の1952年に共産党を排除する政治的な目的でつくられた法律。しかしこの間、なんの具体的な成果も上げられず、破防法も公安庁も、自民党や警察関係者にすら「無用の長物」「予算の無駄遣い」と冷笑されてきた存在なのだ。
長年日本の公安当局を取材している記者が解説する。
「破防法と公安庁に存在価値がないというのは政治的なスタンスとは関係のない客観的事実ですよ。公安庁はその成り立ちから、共産党を取り締まることを最大目的にしてきたが、この60年以上、なんの破壊活動の証拠も掴むことはできなかった。途中で、自民党からも『こんなところに膨大な予算をかける意味がないだろう』という批判が出て立場が危うくなっている。それで、調査対象をシフトして、1995年のオウム真理教事件で初めて団体規制請求をするんだけれど、これも却下されている。最近も、極左過激派が参加しているなどとして、安保法反対運動、反原発運動、沖縄基地反対運動等までもマークしているが、ほとんど妄想に近いような内偵を繰り返しているだけで、なんの成果も上げられていない。そうしたなかで『共産党は今でも調査対象か?』なんて主意書が出てきたら、公安庁の連中は自分たちの存在理由を誇示できるから、大喜びで、イエスと答えるだろうね」
今回の主意書は、公安庁にとって、存在を忘れられがちな自分たちをお上にアピールする絶好の機会だったことは想像に難くない。
だが、問題は、内閣がそれを閣議決定までして、答弁書として共産党の名前を明示したことだ。産経新聞は今月23日付の紙面で、政府の答弁書について「政府が調査対象の団体を明示するのは異例」「極めて異例の対応」などと書いていたが、たしかの過去、口頭の質疑で当時の公安調査庁長官が言及することはあったものの、政府答弁書という形はあまり前例がない。
産経は「今回の答弁書決定は、いまだに綱領に『革命』を明記する同党への警戒の表れ」などと、またぞろトンチンカンなことをほざいているが、安倍政権がまことに「警戒」しているのは、近年共産党が、安倍首相の強引なやり口に反発する国民の声を吸収して躍進しており、参院選での野党共闘を呼びかけているからに他ならない。
実際、自民党は「『野党統一候補』=『民共合作候補』」などとするビラまで作成。「WiLL」(ワック)などの安倍応援雑誌にも、共産党批判特集を掲載させるなど、共産党叩きに躍起になっている。そこに出てきたのが、今回の“共産党は破防法調査団体”という閣議決定だった。
これは明らかな安倍政権による参院選対策であり、共産党へのネガティブ・キャンペーンなわけだ。しかも、この主意書の存在自体、“やらせ”である可能性が極めて高い。というもの、主意書を提出した鈴木貴子議員は、元衆議院議員の鈴木宗男・新党大地代表の娘。最近まで民主党所属だったが、民主が共産党と選挙協力することに反対して先月、離党届を提出(処分は除籍)しており、自民党入りは確実視されていたからだ。政治部記者が続ける。
「宗男氏は先月24日にも安倍首相と官邸で面会し、夏の参院選での自民党候補支援などを約束したと見られています。ようは野党の連携を乱すために、『破防法』とか『暴力革命』という言葉で共産党にマイナスイメージをもたせ、自民党への“手土産”にしたということ。国会で政権与党が政府に質問するようなものですから、ほとんど“やらせ”ですし、そもそも今の時代に“反共キャンペーン”なんて、産経以外の記者は冷ややかに見てますよ(笑)」
まあ、こんな安倍政権の策謀に嬉々としてひっかかるのは、それこそ冒頭で紹介したネトウヨのみなさんぐらいしかいないと思うが、しかし、歴史を振り返ってみると、笑って済ませられる話ではまったくない。
たとえば、ナチスドイツが反共を喧伝し、ドイツ共産党などの抵抗勢力を弾圧することで権力を掌握していったのは有名な話だ。1933年、ヒトラーの首相就任から1カ月後の2月27日、国会議事堂が炎に包まれた。犯人については諸説あるが、現場に駆けつけた内相ゲーリングは合流したヒトラーの姿をみるや、即座に大声で断言したという。「間違いなくこれは共産党の仕業ですぞ、首相。議事堂内で最後に目撃されたのは共産党の議員です」。ヒトラーはこう明言したという。「われわれは鉄拳をもってして人殺しのペストを粉砕しなくてはならなん」(『ヒトラー 権力掌握の二〇ヵ月』グイド・クノップ・著、高木玲・訳/中央公論新社)。
国会議事堂炎上事件の翌日、ヒンデンブルク大統領の署名のもと、「国民と国家を防衛するための大統領令」を発令。これは言論や集会・結社の自由など、国民の基本的人権のほとんどを失効させるものだった。さらに、その日のうちに、ドイツ共産党関係者が逮捕された。そのなかには、ほとんど共産党とつながりのない作家や芸術家などの知識人もいたという。続いて、ドイツ共産党とドイツ社会民主党の機関紙がまとめて発禁処分を受けた。だが事件の夜、ドイツ共産党の武装蜂起と判断できるような動きは警察の記録にも一切存在しなかったという。そして、翌月、総選挙を経て反対勢力を国会から追いやったヒトラーは全権委任法を成立させた。国会でドイツ社会民主党の党首からその「迫害」を批判されたヒトラーは、こう反論したという。
「貴君は迫害とおっしゃる。(略)さらに貴君は、批判は有益であるともおっしゃる。たしかにドイツを愛する人であれば、私たちを批判してよいだろう。けれどもインターナショナルを信奉する者に、私たちを批判することはできない!」(前掲書より)
「日本を取りもどす」の御旗のもと、批判する人たちを「反日」として攻撃する、安倍首相の姿そのものだ。先日本サイトでもお伝えした国家緊急権、すなわち自民党が改憲で新設を目論む緊急事態条項についても同様だが、今回、破防法をもち出して共産党を攻撃したのも、まさにヒトラーの手法と重なる。
また、現在は、夏の衆参同日選の可能性が高まっている。ここにきて、安倍首相は一気に9条第2項を争点にするという見方が現実味を帯びてきているという。
「緊急事態条項もそうだし、公明党に配慮した環境権、はたまた発議要件を変更する96条など、安倍首相が在任中に国民投票であれもこれも一気に変えるとなると、さすがに政権は体力がもたない。だったら、最初からいきなり9条2項の戦力の不保持と交戦権の否定をやってしまおうということみたいです。実際、首相に近い議員からは、そのプランをしきりに安倍首相に進言していると聞きます」(前出・政治部記者)
現状、9条の護持をもっとも強く掲げる共産党に対し、露骨な反共キャンペーンを行った理由は、決して安倍首相の頭の中が冷戦時代で止まっているとか、そういう話ではないのだ。名実ともに独裁に突き進む安倍政権。最後に「待て」をかけることができるのは、やはり国民の声しかない。(梶田陽介)