2016年3月23日水曜日

23- 防衛省の大学の軍事研究に応募した大学学長に反対署名を提出

  「大学の軍事研究に反対する学者・市民有志」は、3月に入って、防衛省の研究公募に応募した大学に対し9000余りの大学の軍事研究反対署名を持って申し入れ行動を開始しました。
 以下に同組織が公表した「署名用紙での訴え文」と「防衛省公募に応募した大学への申し入れ書」を掲示します。
 
 なお、新潟大学は昨年10月、軍事に寄与する研究は行わない規定を作成しましので、その旨が署名訴えの文にも、大学への申し入れ書にも記載されています
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防衛省の公募に応募した大学学長に大学の軍事研究反対の署名を提出
2016年3月
 防衛省の研究公募に応募した大学に対し、2016年3月署名を持って申し入れ行動を開始しました。
 
 大学の軍事研究反対の署名が9000余集まりました。この署名と900余のコメント集を持って、防衛省公募に応募した大学に対して申し入れ行動を開始しました。3/14に関西大学、3/15に豊橋科学技術大学と岐阜大学、3/16に東工大と東京都市大学に申し入れしました。これらの活動は朝日新聞、毎日新聞、中日新聞にも紹介されました。 
 
 私たちの願いは、大学の社会的使命について学内でよく話し合い、防衛省の甘言にのらないで欲しいということです。ちなみに新潟大学は「科学者行動規範・科学者の行動指針」(2015年10月16日改訂)を公表しています。 
 
応募大学名        
関西大学 豊橋技術科学大学(採択)岐阜大学 東京工業大学(採択)東京都市大学 東京理科大学 東京農工大学 神奈川工科大学(採択) 日本大学 千葉工業大学 東京電機大学(採択) 山梨大学 静岡大学 愛知工業大学 岡山大学 山口大学 香川大学 鹿児島大学
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(署名用紙での訴え文)
 
大学の軍事研究に反対する署名運動
 戦後70年、大学が公然と軍事研究に手を染めることになりました。
 7月、防衛省の軍事に関する研究の初の公募に全国16の大学が応募したのです。(共同通信調査。東大など9大学が共同通信の調査に応募したかどうか回答せず) 
 
 戦後を画する重大事です。応募した大学(応募しなかった大学)の学長に9000余の署名を添えて以下の申し入れ書(要望書)を届けます。 
 署名賛同とともに多くのコメントが添えられてきました。ぜひ「寄せられた声」ページもお読みください。 
 なお、この署名は 2015年10月から2016年2月20日まで行われ、
Change.org( http://urx.red/p4OK ) とブログ http://dgunk.exblog.jp/ に寄せられたものを集計・整理したものです。 
 
大学名は、共同通信のアンケート調査への回答及び2015/9/25付中日新聞で報道された採択大学名による。回答保留の大学もあり、応募全校は網羅できていない。なお大阪市立大学は応募準備したが最終的には応募しなかったとの回答であった。 
署名運動呼びかけ人省略
 
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防衛省公募に応募した大学への申し入れ書 (書式
 
大学学長     様              2016年3月 日
大学の軍事研究に反対する学者・市民有志  名
 
 昨年、防衛省の軍事に関する研究の初の公募(安全保障技術研究推進制度)があったが、貴学がこれに応募したことが報道機関によって報道された。私たちは以下に述べる理由により、このことに強く抗議する。 
 大学は学問研究の場であり、学問研究の目的は真理の探求を通して、人類社会の発展向上、人類の幸福増進に貢献することにある。人と人が殺し合う戦争は、人類社会の健全な発展を阻害し、人類の幸福を破壊する最たる行為である。学問が戦争に奉仕することがあってはならない。特に戦争放棄を定めた憲法9条を持つわが国において大学が戦争に協力することは許されない。 
 
 時の権力によって学問が歪められた過去の歴史への反省に立って、憲法23条は大学が権力から独立し、自らの良心に従って学問研究を行う自由を保障している。大学は時流に流されることなく、学問本来の目的に沿って研究を行うことが求められている。国民の大多数は大学の研究成果が軍事のために利用されることを決して望んでいない。大学は国民の期待を裏切ってはならない。 
 
 憲法9条及び憲法23条の存在によって、戦後70年間、大学が時の政府によって軍事にかかわる研究を求められることはなかった。今回の防衛省の初の公募が、多くの憲法学者によって憲法違反とされた安全保障関連法の成立と時を同じくしていることは決して偶然ではない。 
 
 防衛省の公募要項には、「依頼する研究内容は、将来の装備品に適用できる可能性のある基礎技術」と明確に書かれている。このような軍事利用が明白な研究の公募に貴学が自ら進んで応募したことは、学問研究の目的を忘れ、そして憲法9条及び憲法23条の意義をも忘れた、大学の自殺行為と言わなければならない。大学がひとたび軍事研究に手を染めれば歯止めを失う。大学が全面的に戦争に加担した70年前の歴史を繰り返してはならない。そのことへの痛切な反省のもと軍事研究との断絶を堅く誓った日本学術会議の声明(1950年及び1967年)をいまこそ思い起こすべきである。 
 
 私たちは、貴学が学問研究の場としての大学の使命、そして戦争放棄を定めた憲法9条および学問の自由を保障した憲法23条の意義に思いを致し、軍事研究とは一線を画し、今後、防衛省の軍事にかかわる研究の公募に応募することのないよう強く申し入れるものである。
以上 
付記 新潟大学は昨年10月、軍事に寄与する研究は行わない規定を作成した。私たちは貴学も同様の規定を作成することを要望する。