優良な種子の生産や普及の促進を目的とした主要農作物種子法(種子法)が廃止されたのは、安全な食料を安定的に生産し、供給する権利を侵害するとして、全国の農家ら約1300人が24日、種子法廃止法が違憲であることの確認などを求めて東京地裁に提訴しました。
政府与党は18年4月、主要農作物種子法を廃止しました。1952年、戦後の食糧の安定供給を図るために制定された種子法は、米・麦・大豆の3種類を対象に、奨励品種の選定や原種の生産に都道府県が責任を持つことが定められた法律で、国産の安くて美味い米などの安定供給の実現に貢献してきました。
それをロクな説明も行わず何故突然廃止したのでしょうか。
それは多国籍種子企業が開発した一代限りの種(F1品種)を普及させ、日本の農産品を支配したい外資に取って邪魔だったからで、彼らが自治体に代わってコメなどの種子を大々的に担うことが出来るようにするためです。
もしもF1品種による独占が可能になれば、以後は農民は毎年その種子を購入することになり、農家の費用が増す半面、外資は毎年莫大な収益を挙げることができます。
そうしたことが可能になるように、種子法廃止と同時に成立させた農業競争力強化支援法(8条4項)では、これまで国や県の農業試験場が開発してきたコメの種とその情報を民間企業に提供しなさいとなっていて、それによって多国籍種子企業は売れ筋の日本米の情報を得て、そのF1品種が容易に開発できる仕組みになっています。
対抗措置として現在各都道府県でコメや麦などについて種子の生産、品質の管理、供給などを定めた条例を新たに制定する方法が採られていて、3月議会までの時点で、北海道、山形、新潟、埼玉、福井、富山、岐阜、兵庫、宮崎の各道県が条例を制定しました。
それも有効ですが、より徹底させるためには農業競争力強化支援法の当該条項(8条4項)などを執行停止にすることが重要です。
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「種子法廃止は違憲」と提訴 東京地裁に農家ら1300人
共同通信 / 2019年5月24日 16時45分
優良な種子の生産や普及の促進を目的とした主要農作物種子法(種子法)が廃止されたのは、安全な食料を安定的に生産し、供給する権利を侵害するとして、全国の農家ら約1300人が24日、種子法廃止法が違憲であることの確認などを求めて東京地裁に提訴した。
訴状では、以前は都道府県が管理していた種子を民間企業が独占することで種子の価格が高騰する恐れがあり、遺伝子組み換え作物が出回るなどして食の安全が懸念される、と主張。生存権を定める憲法25条違反だとしている。各地では、同法に代わる独自の条例が制定されているという。