2019年5月21日火曜日

1~3月GDPは+0・5% 偽装のGDPを野党議員が追及

 内閣府が20日発表した13月期のGDP速報値は前期比05%増で、年率換算が21%増でした
 13 日内閣府が発表した「景気動向指数」の速報値は「景気後退の可能性が高い」6年ぶりの「悪化」となっていたのに、な成長率がプラスになったのか、そこには様々な不健全な要因があります。
 この間輸出は減った(-24%)ものの、国内需要の弱さから輸入がそれ以上に減った-46%)ため貿易黒字が大幅に増大しGDPが押し上げられました。その寄与分が+04%分とプラス要因の大半を占めています
 GDPの6割を占める個人消費は01民間の設備投資は03といずれもマイナスでした。唯一、公共投資補正予算執行により5・四半期ぶりのプラスとなGDPのアップに貢献しました。
 要するに国内需要収縮による輸入の減少と、補正予算による公共投資がGDPを僅かにプラスにした主な要因でした。
 
 先の国会では賃金統計の不正その他が問題となりましたが、そうした不正はすべて見掛けのGDPを膨らませるためのもので、当然GDPの落ち込みを防ぐ(誤魔化す)ことに寄与しました。
 (2月20日) 安倍政権 GDPカサ上げで統計38件を改変 (その他多数)
 
 典型的なものに第二次安倍政権が創出した「雇用者報酬」があります。概要は添付した田中龍作ジャーナルの記事を参照ください。
 安倍内閣は第一次政権のときにも、「帰属家賃」というGDP統計でしか使われない珍妙なモノを創出しています。それは「自分所有する住宅に居住する場合も、借家や借間と同じ賃料を払っているものと仮定し、それを「サービス価格」として国内総生産(GDP)に盛り込む」というもので、実態とは無関係に自動的に行われているものです。必然的に「みなしの収入」もその分アップするわけで、驚くべき「融通無碍」「変幻自在」ぶりです。
 
 逢坂誠二、原口一博、山井和則弘田一ら野党議員20日、政府(財務省、内閣府など)を厳しく追及しました。
 田中龍作ジャーナルの記事を紹介します。
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「偽装GDPプラス」は消費税増税の口実となるか
田中龍作ジャーナル 2019年5月20日18:52
 一週間前は「景気は悪化」と言ってたのに、なんで成長率がプラスになるんだろう? 常人であれば首を傾げるはずだ。
 内閣府はきょう、GDP(国内総生産)の1~3月期の成長率を発表した。それによると前期(昨年10~12月期)比05%増。年率換算で21%増。
 13 日、内閣府が発表した「景気動向指数」の速報値は「景気後退の可能性が高い」。6年2ヵ月ぶりの「悪化」となっていた。なのに…
 
 野党は合同で政府(財務省、内閣府など)から事情を聴いた。
 弘田一衆院議員(社会保障を立て直す国民会議)は「不健全な経済成長ではないか」と質した。数字上いちおうプラスにはなったが、個人消費や設備投資などはマイナスだからだ。
 政府側の役人は「雇用者報酬は前年比で増加するなど、雇用所得の環境改善は続いている」と説明した。
 雇用者報酬とは賃金に労働者数を掛けたもの。収入が減って、やむにやまれず働きに出た主婦や高齢者などで労働者数はおのずと増える。個人の所得は全く増えていないのに、総額は増える。数字のトリックである。
 肝心の賃金は毎勤統計からの数字だ。偽装されていたことが、野党の追及で明らかになっている。それに、経済失政が理由で増えた労働者を掛けているのだ。ペテンで膨らました数字なのである。
 
  【写真説明】
官僚が無理な答弁をする時は決まって早口になる。良心の呵責からか、表情も苦しそうだ=20日、衆院第16控室 撮影:田中龍作=
 
 山井和則議員(国民)が続けた。「国民生活の実感と今回のプラスというのはズレている。所得環境が改善していると言うが、雇用者報酬を使っている。安倍政権になって新たに作った不思議な指標を使ってプラスと言っているけれど、名目賃金は1月2月3月とマイナス。さらに実質賃金の伸び率は2015年10月以来3年9か月ぶりの大幅ダウンだ」。
「良い数字だけ出して、いい統計だけつまみ食いして国民に発表して無理やり消費税増税を強行しようとしてるんじゃないかと思う。消費税増税したら家計消費が落ち込む。いま消費税増税するのは無理がある」。山井議員がズバリ指摘した。
 
 原口一博議員(国民)が質問した。「公的資本形成というのが15%と一段と高く出ている理由は何か?」
 政府側は「年度末に補正で上がっているのが出てきているのかな」と説明した。補正予算で公共工事を増やした数字であることを認めたのだ。GDPを押し上げた最大の要因は官製だった。
「無理ムリに作ったGDPの大きさだと言わざるを得ない」と原口議員は本質を突いた。
 政府がいい数字を出すために公共投資で膨らましたに過ぎないのである。
 
 ウソと膨らましで「予定通り増税する」(政府見解)と言われたのでは庶民はたまったものではない。
「消費税廃止、先ずは5%に戻せ」と訴えて全国を駆け巡る山本太郎の運動が、熱気を帯びながら盛り上がっている。
 
 消費税増税は予定通り10月からなのか、それとも3たび延期されるのか。官邸と太いパイプを持つ元政治部記者は「(決定は)会期末をにらんで揺れ動く」と見る。
    ~終わり~