2019年5月17日金曜日

17- 「内奏」の映像公開は天皇の政治的利用

 先の元号制定に際しては、安倍首相は何を勘違いしたのか従来のしきたりを破って専横に振る舞い、「元号の私物化」だと批判されました。元号選定の経過等は数十年間秘匿されるという決まりだそうですが、それも自ら破って、あらかた明らかにしてしまいました。すべては浅はかな自己顕示欲のなせる業でした。
 
 例によって何の反省もないままに、今度は14日に「内奏」が行われた際の映像がTVで公開されました。以前には1度、2ヶ月遅れで写真が公開されたことがあったそうですが、このように即日流されるのは初めてのことです。そんな異例の映像公開は「天皇の政治的利用」としか考えられません。
 映像は宮内庁が公開しました。宮内庁の西村泰彦次長は安倍首相が慣例を破って送り込んだ人物ですが、そんな異例の措置を宮内庁が単独で行う筈はないので、官邸の指示ではないかと見られています。
 
 国民民主党の玉木代表は15日の記者会見で「民主党政権でも内奏の中身について極めて慎重に、外に出さない対応をしてきた。首相官邸の指示だったのかどうか、経緯と事実を明らかにしないといけない」と述べ、主要野党の国対委員長は15日、国会内で会談し「天皇の政治利用だ」との認識で一致しまし
 
 首相は「内奏」のあとで関係者に「前の天皇陛下はいつも座ったままだったが、今の陛下は部屋のドアまで送ってくださって大変恐縮した」と話したということです。
 いずれは上皇陛下のお耳にも達することなので、そんなことまでが軽々しく外部に伝わるというのはあまりにも不用意です。首相がどんな動機からそんな話を出したのか、想像するだけで不愉快になります。
 
 いずれにしても漢字もロクに読めない人間による深みのない「内奏」ではあまりにも失礼です。深く反省して大いに研鑽に励むべきです。
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安倍首相、新天皇に「内奏」 映像公開は官邸の指示か
田中龍作ジャーナル 2019年5月15日18:26
 【写真説明】「この世をば・・・」の藤原道長もビックリ。一連の代替わり儀式も安倍首相の露出を増やす機会に過ぎなかった感がある。=2月、自民党大会 撮影:田中龍作=
 安倍首相が14日、国内外の情勢を天皇陛下に報告する「内奏」を行った。宮内庁が即日、その映像を公開し、テレビ各局は無批判にそれを放送した
 内奏とは天皇の教養を高めるために「閣僚が所管事項の説明を行う」「国情を知っていただき、理解を深めていただくということのためにご参考までに申し上げる」こと。(1973年6月7日衆議院内閣委員会で内閣総理大臣答弁。1988年5月26日参議院決算委員会で宮内庁次長答。Wikiより)
 
 中学生以下の知的レベルしかなく漢字もろくに読めない、あの安倍首相がどうして? と驚いた方も少なくなかったはずだ。
 国民民主党の玉木雄一郎代表はきょう15日の記者会見で疑義を呈した―
 「天皇陛下あるいは天皇制の政治利用を避けなければならない。象徴天皇制をしっかりと維持していくためにも、こういったもの(内奏の映像)を外に出さないようにしてきた」
 「今回、どういう経緯で出したのか、それは官邸の指示だったのか。経緯と事実を明らかにしていかねばならない」。
 
 官邸の指示だったのか、というフレーズに田中の神経は反応した。宮内庁の西村泰彦次長(第19代内閣危機管理監)はアベ友である。
 マスコミの現状を考えれば、安倍首相が天皇を操っているかのような印象操作をすることは、十分可能だ。
 
 過去には内奏の中身を漏らして辞職に追い込まれたり、政治問題を引き起こしたりした例がある
 天皇の代替わりという機会だけに、内奏が行われてもおかしくはない。
 だが、安倍首相が「錦の御旗」を利用し続けてきた長州の血筋だということを考えると、中身は明らかにせずとも映像をメディアに大々的に公開させたこと自体が天皇の政治利用と言えなくはない。
 史上初めて内奏の写真が公開されたのは、2013年10月。これも安倍晋三の “御代” だった。
~終わり~
 
天皇陛下への「内奏」 野党が写真公表批判 「天皇の政治利用だ」
毎日新聞  2019年5月15日21時21分
 天皇陛下に対する安倍晋三首相の国政報告「内奏」の写真を宮内庁が14日に公表したことを野党が批判している。立憲民主党など主要野党の国対委員長は15日、国会内で会談し、「天皇の政治利用だ」との認識で一致した。 
 
 首相は14日、皇居・宮殿で天皇陛下即位後初の国政報告を行った。内容は非公表。写真については、2013年12月に史上初めて公開されたが、この時は前の天皇陛下が80歳の誕生日を迎えられたのに合わせたもので、2カ月前に行った様子だった。即日の公表は異例だ。 
 国民民主党の玉木雄一郎代表は15日の記者会見で「民主党政権でも内奏の中身について極めて慎重に、外に出さない対応をしてきた。首相官邸の指示だったのかどうか、経緯と事実を明らかにしないといけない」と述べ、政府に説明を求める考えを示した。共産党の穀田恵二国対委員長も「天皇が代わられた段階で、このように示すやり方は政治利用ではないか」と指摘した。
 
 一方、首相は14日夜、新元号発表に関わった首相官邸幹部らと会食。関係者によると、首相は「前の天皇陛下はいつも座ったままだったが、今の陛下は部屋のドアまで送ってくださって大変恐縮した」と話した。【東久保逸夫】