参院選に向けて安倍政権が改憲の動きを強めています。
安倍首相は17日、下村・党改憲推進本部長と会い、「夏の参院選できちんと改憲を訴えていこう」と述べ、全党あげてこれまで以上に有権者に訴える必要があるとの認識で一致しました。
参院選に向けての公約に改憲の「早期実現」を明記する動きもあります。
自民党幹部は16日、衆院解散の大義に改憲の是非を問うことを掲げる意見が党内にあることを相次いで認めました。その一方で、それはごく一部の話で、「憲法、憲法というのは安倍さんだけだ」という声も聞かれます。
衆参の憲法審査会では、自民党から国民投票法改定の与党案の審議と議決を求める執拗な動きが続き、正面突破を図る強い執念が感じられます。
衆院憲法審査会の幹事懇談会で自民党は、23日に審査会を開き、国民投票法改正案の審議と採決を行うことなどを提案し、立憲民主党はテレビ広告の規制などをめぐって、十分な議論を行うことを確約することなどを求めました。
当面は、憲法審査会の動向が注目されます。
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改憲動き急 安倍首相「参院選で訴える」 憲法審に執念 派閥勉強会
しんぶん赤旗 2019年5月18日
参院選に向けて安倍政権と自民党が改憲の動きを強めています。安倍晋三首相は17日、下村博文党憲法改正推進本部長と首相官邸で会い、「夏の参院選できちんと改憲を訴えていこう」と述べました。自民党は全国の小選挙区支部レベルで改憲推進本部の設置を進めており、改憲について、全党あげてこれまで以上に有権者に訴える必要があるとの認識で一致しました。
下村氏は16日には、党内各派閥に対し、改憲に関する議論の機会を設けるよう要請。麻生派は同日昼の派閥会合に合わせ、勉強会をスタートさせています。党改憲推進本部では現在、有識者を招いてヒアリングを実施していますが、「そんなにたくさんの国会議員が参加しているわけではない」(下村氏)という実情をふまえた対応です。
公約明記の報道
また同日、党本部で開かれた参院選向けの全国女性議員政策研究会の懇親会に出席した首相は「大きな課題である憲法改正も待っている」と発言し、憲法審査会の開催と改憲論議の推進を訴えています。首相は、報道では13日の自民党役員会でも参院選へ向け積極的な改憲論議を行うよう求めたとされ、同党の公約作成委員会では月内に公約原案をまとめる動きで、改憲の「早期実現」を公約に明記する動きも報じられています。
衆院の憲法審査会では、自民党の新藤義孝筆頭理事を中心に、国民投票法改定の与党案の審議と議決を求める執拗(しつよう)な動きが続いています。国民投票法改定問題を早々にクリアし、「自由討議」の開催を機に自民党改憲4項目を審査会に提示する狙いです。参院でも、自民党の岡田直樹憲法審幹事が14日、審査会を「速やかに開催せよ」と発言しています。
国会で何が何でも改憲論議を始動し、参院選で改憲を正面から問いながら論議を盛り上げる戦略です。世論と野党の反発で改憲論議が全く進められなかった昨年の状況への「反省」から、世論喚起へ正面突破を図る強い執念があります。
与党内に異論も
他方、自民党内からは「選挙で憲法を正面から掲げることが得策なのか。慎重に考えるべきだ」(参院自民党関係者)「憲法、憲法というのは安倍さんだけだ」(改選議員)という声も漏れます。
公明党の斉藤鉄夫幹事長は17日の記者会見で、改憲を争点にした解散・総選挙の可能性が自民党内で言及されていることについて「国民の間で憲法についての議論が盛り上がっている状況ではない。それをテーマに(衆院)選挙を行うことはあまり適切ではない」と述べています。
3日の憲法集会には6万5000人が集まり、「安倍改憲許さず」の熱気にあふれました。安倍改憲NOの国民世論、市民運動と改憲策動との激突は激しさを増しています。
安倍首相 夏の参院選で憲法改正訴えるべき
NHK NEWS WEB 2019年5月17日13時09分
憲法改正をめぐって、安倍総理大臣は自民党の下村憲法改正推進本部長と会談し、夏の参議院選挙で憲法改正を訴えるべきだという考えを示しました。
安倍総理大臣は総理大臣官邸で、自民党の下村憲法改正推進本部長と会談しました。
この中で下村氏は、推進本部の取り組み状況や党内の各派閥に憲法改正について議論する勉強会を始めるよう呼びかけたことなどを報告しました。
これに対し、安倍総理大臣は夏の参議院選挙で、憲法改正を訴えるべきだという考えを示しました。
「改憲争点にダブル選」自民党内じわり 幹部認める、公明は「一部」と強調
東京新聞 2019年5月17日
夏の参院選に合わせて安倍晋三首相が衆院解散・総選挙に踏み切る衆参同日選の観測に関連し、自民党幹部は十六日、解散の大義に改憲の是非を問うことを掲げる意見が党内にあることを相次いで認めた。
下村博文憲法改正推進本部長は、党本部で記者団に「党内でそういうふうに言っている人が最近増えた」と指摘。甘利明選対委員長も都内で記者団に「そういう考えを持っている人が党内にいることは、よく承知している」と話した。甘利氏は「首相が現時点でその考えに同調しているとは思えない」とも話した。
一方、公明党の北側一雄副代表は記者会見で「極めて一部の話だ。国民から見て、憲法改正の機運が盛り上がっていない」と強調。「改憲解散」に否定的な考えを示した。(清水俊介)
自民 23日の憲法審査会開催を提案 国民投票法改正案の審議など
NHK NEWS WEB 2019年5月17日13時45分
衆議院憲法審査会の幹事懇談会で自民党は、来週23日に審査会を開き、国民投票法改正案の審議と採決を行うことなどを提案し、引き続き協議することになりました。
衆議院憲法審査会の幹事懇談会が開かれ、自民党は来週23日に審査会を開き、継続審議となっている国民投票法改正案の審議と採決を行ったあと、30日に野党側が求めている国民投票に伴うテレビ広告の規制をめぐる質疑を行うことを提案しました。
これに対し、立憲民主党はテレビ広告の規制などをめぐって、十分な議論を行うことを確約することなどを求めました。
そして双方の提案を前提に、引き続き協議することになりました。