2020年2月3日月曜日

03- ゴーン氏元弁護人事務所の捜索差押に抗議する声明 2件

 東京地検の検察官ら129日、ゴーン氏の元弁護人ら押収拒絶権を行使して捜索を拒否する意思を明示したにもかかわらず、施錠中のドアの鍵を解錠して法律事務所に侵入したうえ、会議室の鍵を破壊し、事件記録等が置かれている弁護士らの執務室内をビデオ撮影し退去を求められたにもかかわらず、長時間にわたり事務所に居座り捜索を強行した件について、日本弁護士連合会会長が抗議の談話を、また東京弁護士会会長)が抗議の声明を出しました。
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法律事務所への捜索に抗議する会長談話

2020年(令和2年)1月29日、東京地方検察庁の検察官らが、刑事被疑事件について、関連事件を担当した弁護士らの法律事務所の捜索を行った。同弁護士らが、刑事訴訟法105条に則り、押収拒絶権を行使したにもかかわらず、検察官らは、無断で裏口から同法律事務所に立ち入った。検察官らは、再三の退去要請を無視して長時間にわたり滞留した上、法律事務所内のドアの鍵を破壊し、事件記録等が置かれている弁護士らの執務室内をビデオ撮影するなどした。なお、検察官らが押収に至った物は、弁護士らが捜索が始まる前に任意に呈示していた書面等1袋のみであった。 

弁護士には、秘密を委託される業務及びこの業務を利用する市民等を保護するため、押収拒絶権が保障されている秘密該当性の判断は、委託を受けた弁護士の専権に属するものとされている。そして、捜索は、押収物の発見を目的とするものであり、押収を拒絶された場合は、押収対象物の捜索もできない。 

したがって、今回、押収拒絶権が行使され、立入りを拒まれているにもかかわらず、検察官らが、裏口から法律事務所に侵入し、要請を受けても退去せず、法律事務所内のドアの鍵を破壊し、執務室内をビデオ撮影するなどしたことは、正当化の余地のない違法行為である。 

憲法は、被疑者及び被告人の防御権及び弁護人依頼権を保障しており、弁護人は、被疑者及び被告人の権利及び利益を擁護するため、最善の弁護活動に努めなければならない。対立当事者である検察官が、弁護人に対し、その権利を侵害する違法行為に及ぶことは、我が国の刑事司法の公正さを著しく害するものである。 

当連合会は、違法な令状執行に抗議するとともに、同様の行為を二度と繰り返すことのないよう求めるものである。 
 2020年(令和2年)1月31日 
日本弁護士連合会
会長 菊地 裕太郎 


刑事被告人の元弁護人の法律事務所に対する捜索・差押に抗議する会長声明
2020年01月31日
東京弁護士会 会長 篠塚 力
東京地方検察庁の検察官らは、本年1月29日、被告人カルロス・ゴーン氏の元弁護人らの法律事務所に対し、元弁護人らが押収拒絶権を行使して捜索を拒否する意思を明示しているにもかかわらず、法律事務所に立ち入って捜索を強行した。その際、検察官らは施錠中のドアの鍵を解錠して法律事務所に侵入したうえ、事務所内の会議室の鍵を破壊する等の実力を行使したほか、事件記録等が置かれている弁護士らの執務室内をビデオ撮影し、元弁護人らが繰り返し退去を求めたにもかかわらず、長時間にわたり事務所から立ち退かなかった。

およそ弁護士は、業務上委託を受けたため保管し又は所持する物で他人の秘密に関するものについては、権利の濫用と認められる場合等を除き、押収を拒絶することができる(刑事訴訟法第105条)。そして、弁護士によって押収拒絶権が行使された場合には、対象物を押収するための捜索も当然に許されない。
今回の検察官らの行為は、同条の趣旨に反するものであり、明白に違法である。
また、被疑者及び被告人の防御権及び弁護人依頼権は憲法が保障するものであり、弁護人は被疑者及び被告人の権利及び利益を擁護するため最善の弁護活動を尽くすべき義務を負うところ、対立当事者である検察官が弁護人の権利を侵害する違法行為に及ぶことは、弁護士業務の妨害であるにとどまらず、刑事司法の公正を著しく害するものである。

本件の検察官らの行為は、弁護士の押収拒絶権を蔑ろにし、弁護士に秘密を明かして相談し自らの法的権利を守ろうとする一般市民の利益を害することに加え、わが国の刑事司法の公正さを著しく害するものである。
当会は、かかる検察官らの違法行為に対して強く抗議すると共に、昨今、日本の刑事司法の実情について、諸外国より強い批判が向けられている現状の下、かかる違法行為がなされたことにより、国民のみならず国際社会からの日本の刑事司法に対する信頼が失われることを深く憂慮するものである。