NEWS ポストセブンが3日と6日の2回に分けて面白い記事を載せました。
永田町ではいま俄かに「菅官房長官の電撃辞任情報」が飛び交っていて、その“Xデー”については「2月説」と「6月説」があるということです。
安倍首相と菅長官はいまや“家庭内別居”状態だということで、「官房長官交代は総理の意向」と受け止められています。
要するに安倍首相-麻生副総理-今井尚哉主席補佐官ラインが、菅官房長官ー二階幹事長の排除に踏み切ったということで、菅氏のあとは今井尚哉氏が内閣官房長官になり、二階氏のあとは岸田文雄氏が幹事長に就くというものです。
それだけでは何の代わり映えもなく意味がありませんが、「これまで自民党内に反安倍勢力といえるものはなかったが、菅官房長官が更迭れ岸田幹事長となれば、政権中枢を追われた形の菅、二階、それに竹下派や大乱を望む石破派、改憲反対の谷垣グループなど非主流派を加えて党内に大きな反安倍勢力ができるので安倍一強の時代ははっきり終わる」と見られるとのことです。
安倍氏の退陣は何よりも望ましいことですが、菅氏がそのあとを襲うなどは考えたくもないし、石破氏が就いたとしても安倍氏のような滅茶苦茶さはなくなるにしても、改憲に関しても軍備に関しても相当な右翼なので、やはり問題です。
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菅官房長官の電撃辞任情報 辞任Xデーは2月説と6月説
NEWS ポストセブン 2020/2/3
週刊ポスト2020年2月14日号
「影の総理」と呼ばれる菅義偉・官房長官の電撃辞任情報が永田町に飛び交っている。辞任の“Xデー”については「2月説」と「6月説」がある。自民党中堅議員が語る。
「公選法違反容疑で検察の捜査を受けている河井案里・参院議員が起訴され、夫で菅側近の河井克行・前法相まで起訴される事態になれば、菅さんは責任を取って辞任するのではないか。早ければ2月にもその時が来ると囁かれている」
一方、菅氏の気質をよく知る官邸官僚の1人はこんな言い方をした。
「官房長官は天皇御即位に伴う式典委員会の副委員長です。責任感の強い菅さんがその役目を途中で投げ出すとは思えない。即位関連の国事行為は秋篠宮さまが皇嗣になられたと宣明する4月19日の立皇嗣の礼まで続くから、菅さんが進退を決断するとすれば、立皇嗣の礼を終えて国会を乗り切った後の6月の会期末がタイミングではないか」
菅氏は側近議員への捜査やIR汚職、桜を見る会問題などで連日、記者会見や国会で責め立てられ窮地に追い込まれている。とはいえ、本人は進退について一度も言及したことはない。それなのに、いつの間にか政界でも官界でも、菅氏が一連の不祥事の責任を負って辞任することが“既成事実化”し、その時期が注目されている。
そうした見方が強まるのは、菅氏の辞任情報が官邸内部から次々に発信されているからだ。きっかけは官邸の安倍側近の1人が親しい記者たちに漏らしたとされるこんな言葉だった。
「官房長官は『総理の女房役』と言われるが、安倍総理と菅さんはいまや“家庭内別居”の状態だ。今国会が終わる頃までに菅さんが官房長官を辞任する可能性は非常に高い」
安倍首相に近い筋から辞任情報が出れば、記者たちが「官房長官交代は総理の意向」と受け止めるのは当然だろう。
さらに通常国会召集日(1月20日)の前、安倍首相と盟友の麻生太郎副総理が極秘に会談したとの情報がある。首相動静に記録はないが、麻生氏が首相の私邸をお忍びで訪ね、サシで密談を交わすことは過去にもあった。ここでも菅氏の処遇が話し合われたとされる。別の官邸中枢筋の話。
「総理と麻生さんはポスト安倍の後継者問題や解散時期、今後の政治日程などについて突っ込んだ話をしている。2人の構想では東京五輪後の政権の枠組みに菅さんは入っていない」
菅氏が追い詰められ、「辞任」への外堀を埋められつつあるように見える。政治ジャーナリスト・藤本順一氏は背景をこう指摘する。
「安倍首相が菅さんについて『国家観がない』と言っているという情報まで出回っている。“総理の器ではない”というネガキャンでしょうが、そうした批判や辞任説が流されているのは、菅さんが総理への忠誠心を試されているとみていい。
森友学園問題で財務省の文書偽造が発覚したとき、財務大臣の麻生さんは辞任せずに汚れ役を引き受けて総理を守った。今その立場にあるのが菅官房長官です。桜を見る会問題は総理の疑惑だが、麻生さんや安倍周辺は辞任説で『麻生は森友で総理を守ったが、お前は辞任して逃げ出すのか』と菅さんの去就を見極めようとしている」
菅氏が辞任すれば一連の疑惑の責任を負わされたうえ、「総理を守らずに逃げた」とのレッテルを貼られる。“辞めるも地獄、残るも地獄”の立場に立たされているといえる。それは踏み絵というより、粛清の手法だ。
菅官房長官辞任なら自民党内で「菅の乱」も 安倍一強終焉か
NEWS ポストセブン 2020/2/6
週刊ポスト2020年2月14日号
自民党の「河井夫妻」をめぐる公職選挙法違反容疑での捜査をはじめ、“影の総理”とまで言われた菅義偉官房長官にさまざまな逆風が吹き、「2月辞任説」と「6月辞任説」という具体的な見立てまで飛び出している。実際、自民党のなかにも、菅氏の辞任を望む声もあるという。
「菅氏を辞めさせたい」勢力には、安倍晋三首相-麻生太郎副総理-今井尚哉官房長官(現在は総理首席秘書官だが、菅氏の次の官房長官との声もある)という新たな政権中枢ラインの形成と、党務は二階俊博幹事長を交代させて岸田文雄幹事長が握る陣容を想定していることが透けて見えてくる。
しかし、ひとたび菅氏が野に下れば、安倍首相にとって強敵として立ちはだかるはずだ。菅義偉という政治家の本質は、体制の変革を求める根っからの改革派で「乱」を好む。
その政治経歴を見ると、小渕派時代は総裁選で小渕恵三氏に反旗を翻した梶山静六氏に従った。その後、宏池会に移ってからは、「加藤の乱」に参加して森内閣不信任案に欠席するなど「造反」の繰り返しだ。それがゆえに党内長老からは“反骨精神が過剰な要注意人物”とも見られていた。
安倍首相には忠実に仕えているように見えるが、それも体制改革で一致したからだ。菅氏は内閣人事局をつくって官僚の人事権を掌握し、官僚主導政治を政治主導に転換させた。それが安倍長期政権の原動力となった。政治ジャーナリストの藤本順一氏が言う。
「いま政治を動かしているキーマンは菅さんです。官房長官を解任すれば、安倍さんは霞が関ににらみが利かなくなる。スキャンダルを防いでいた防波堤がなくなり、間違いなく安倍長期政権は瓦解に向かい始める」
そうなった時、切り捨てられた菅氏が安倍首相に忠誠を尽くし、政権を支える理由はなくなる。菅氏に近い二階派ベテラン議員が“菅の乱”が起きると予言する。
「これまで自民党内に反安倍勢力といえるものはなかったが、菅官房長官の更迭、岸田幹事長となれば、政権中枢を追われた形の菅、二階、それに竹下派や大乱を望む石破派、改憲反対の谷垣グループなど非主流派を加えて党内に大きな反安倍勢力ができる。そうなると安倍一強の時代ははっきり終わる」
総裁選は安倍首相の鶴の一声で岸田氏に決まるという状況ではなくなる。
「菅さんが引き立ててきた河野太郎や小泉進次郎といった発信力の強い政治家の存在感も高まる。自民党に権力闘争が蘇れば政治は安倍の次の時代に進む。だから、“菅辞任情報”は菅さんにとっても都合がいいとさえ言える」(二階派ベテラン)
追い詰められたかにみえる菅氏にとって、官房長官辞任の一手は、実は安倍政治をひっくり返すという大政局の始まりにつながる。そう見ると、辞任情報は逆の意味を帯びる。
「私が辞めたら政権の命運は尽きる。それでもいいのか」
菅氏が安倍首相に突きつけた“最後通牒”かもしれない。